人間は2つの心を持っている? 脳内で本能的に生まれる「情動」と理性から生まれる「感情」

私たち人間の心は、脳内から生まれてくるといわれています。そして、脳から湧き起こる心には、本能的に生まれる「情動」と、人間らしく理性が働くことで生まれる「感情」の2つがあるとされています。今回は、「情動」と「感情」という2つの心が、脳内でどのように生み出されているのか、そのメカニズムを紹介します。

まず、1つ目の心である「情動」は、大脳辺縁系で生まれるとされています。感覚情報をもとに、大脳辺縁系の扁桃体では、本能的に瞬時に沸き起こる恐怖・怒り・悲しみ・喜びなどの情動が生まれてくるとのこと。例えば、狩猟採集民族時代では、猛獣に出くわした際に視覚情報などが大脳辺縁系に届けられ、偏桃体で瞬時に「恐怖」という情動が湧きます。こうした情動が本能的に湧くことで、生命維持のために適切な「逃げる」という行動を起こすことができるのです。

また、強い情動が湧き起こると、脳内で記憶を司る海馬において、記憶を強く刻むように作用します(長期記憶へと変わる)。これによって、後に似た状況に対面した際に、瞬時に対処法(行動)を決定することができ、こうした経験の積み重ねで、私たちは行動選択の精度を上げ、生存確率を高めてきたといえます。

一方、2つ目の心である「感情」は、大脳皮質によってコントロールされているとのこと。大脳皮質では、より精密に感覚情報が処理され、正確で冷静な判断によって大脳辺縁系で生まれた一つの目の心(情動)を修正していきます。特に、大脳皮質の中でも前頭葉に位置する「前頭前野」は、偏桃体をコントロールするという大切な役割を担っています。例えば、偏桃体で生まれた「怒り」に対して、「今は怒るような状況ではないから抑えよう」と判断し、偏桃体で生まれた情動を受け流す。あるいは、その怒りを客観的にとらえ、「私は今怒っているけれど、いったい何に対して怒っているのだろう」と、根本的な原因や打開策を分析することで、怒りをスムーズに処理するなどを行っています。

このように、大脳辺縁系で生まれた情動を、大脳皮質では、より人間的な理性のある感情に変化させているのです。しかし、人によっては、怒りをうまくコントロールできずに、そのまま爆発させてしまうケースもあります。発生した感情をどうとらえ対処するかは、その人の前頭前野の発達具合によって異なると考えられています。人間は、人間社会の構図に対応するために、大脳皮質を進化させ、他の動物にはない人間らしい2つ目の心(感情)を作り上げてきたといえるでしょう。(監修:健康管理士一般指導員)


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