サントリー、来年の酒税改正に伴い新ジャンルとして展開する「金麦」の麦芽比率を50%以上に引き上げビールへ移行

左から:サントリー 常務執行役員 ブランド部門長 兼 ビール・RTD本部長の多田寅氏、同 ビール開発生産本部 ビール商品開発研究部 開発主幹 水口伊玖磨氏

サントリーは9月29日、同社のビール事業のマーケティング説明会を開催した。説明会では、来年の酒税改正を踏まえた同社の活動方針や施策について説明。これまで新ジャンルとして展開してきた「金麦」の麦芽比率を50%以上に引き上げビールとして販売する。

サントリー 常務執行役員 ブランド部門長 兼 ビール・RTD本部長の多田寅氏

「今年1月~8月の実績は、ビール類総市場が前年割れと推定も、当社はいずれのカテゴリでもトレンドを上回る実績で着地した」と、サントリー 常務執行役員 ブランド部門長 兼 ビール・RTD本部長の多田寅氏。「今年はビールおよび新ジャンルの両輪で展開。ビールでは、『ザ・プレミアム・モルツ』がリニューアルによる飲用意向が一段階上昇し、消費者からも好評を得ているものの、1月~8月の実績は前年比90%と苦戦。年末のハレの日需要に向け活動を強化し、プレミアム市場の拡大を狙うべく、限定品による消費者接点の強化や、新・品質PR、コミュニケーションを積極展開している」と巻き返しを図る。「『サントリー生ビール』は、“生ビールといえば、サン生”のポジションを獲得し、飲食店での接点も拡大している」と、取り扱い飲食店数は今年8月時点で2万6000店に達した。「定番ブランドとしてのポジションを確立すべく、消費者のファン化、“サン生=生ビール”の訴求、飲食店接点の拡大といった活動を展開している」と、1月~8月の実績が前年比113%と好調であることから、9月~12月にかけても好調を持続させるべく、活動をさらに追い込んでいく。「新ジャンルの『金麦』は、2023年の酒税増加に伴い1月~8月は前年比96%と減少も、“日々、家で飲むのに一番ふさわしいビール類”としてのポジションを確立。9月~12月にかけても、四季の金麦や季節限定商品の展開だけでなく、旬の食との訴求を行っていく」と、「金麦」が確立したポジションの盤石化を目指す。

サントリー ビール類ブランド商品

「来年10月に酒税が改正され、ビールは減税となり、新ジャンルは増税となる。その価格差は縮まる」と、ビールは約9円下がり、新ジャンルは約7円上昇する。「こうした中、カテゴリ別1人当たりの購入量を見てみると(インテージSCI 2025年1~6月(月間平均))、新ジャンルは前年比88%の11.7本であるのに対し、ビールは前年比100%の5.3本となっている。酒類購入時の意識調査(同社調査 2020~2025年(n=9500))では、できるだけ“安価なお酒を選びたい”人は、2020年の32%から2025年は38%と6ポイント上昇。“価格に見合った価値があるか吟味する”は、2020年の54%から2025年は59%と5ポイント上昇した。以上の点から、新ジャンル市場の活性化はきわめて重要であると考える」と、購入量や消費者ニーズの面からも新ジャンル市場は重要なマーケットになると指摘する。「ビール類(缶)の中期市場予測では、酒税増税の影響で新ジャンルカテゴリが半減し、ビール類総市場が縮小するとみられる」と、酒税増税がビール類にとって向かい風になると見通す。

「金麦」ブランドシリーズ

「そこで、当社では来年の10月以降、新ジャンルとして展開してきた『金麦』をビールへと移行する。ビール化しても新ジャンルの価格帯を維持。納得できる価値の強化を図る」と、来年10月以降、「金麦」をビールブランドへ組み込む。「ビールは酒税が下がることで飲用者数は増加するとみられる。新ジャンルは酒税が上がることで、飲用量・飲用者数減少が懸念される。当社はビール類市場全体を活性化させることで、ビールは接点拡大を見込む。そして、ビールへと移行する『金麦』による価値向上で需要を喚起していく」と訴えた。

サントリー ビール開発生産本部 ビール商品開発研究部 開発主幹 水口伊玖磨氏

ビールへと移行する「金麦」の中味について、同 ビール開発生産本部 ビール商品開発研究部 開発主幹 水口伊玖磨氏が説明した。「『金麦』の麦芽比率を50%以上に引き上げてビールへと移行する」と、酒税法上の定義に基づき、麦芽50%未満であった「金麦」を50%以上に引き上げビール化する。「『金麦』は、麦のうまみと澄んだ後味に着目し磨き続けてきた。ビール化によって『金麦』は、飲みごたえを強化しながら、金麦らしいすっきりとした後味に磨きをかけ、美味しさを進化させる」と説明する。「『金麦〈糖質75%オフ〉』では、心地よい麦のうまみと澄んだ後味を磨き続けてきた。ビール化によって、糖質オフと感じさせない、飲みごたえとすっきりとした後味を両立する」と、ビール化に伴うおいしさの方向性を指し示す。

「金麦」ブランドシリーズ

多田氏は、「ビールに移行した『金麦』の試作品を現行品と比べてみてもらった結果、“香りや飲みごたえをすごく感じた”や“ビールとしてのうまみ・適度な苦みが感じられ満足感が高い”といった、期待の声が寄せられた」と、「金麦」のビール化は、消費者からの評価も上々であるという。これらの結果を踏まえて、「来年10月以降に『金麦』をビールとして販売する。発売20年目を迎える『金麦』の進化に期待してほしい」と、「金麦」の新たなチャレンジに自信をのぞかせた。

サントリー=https://www.suntory.co.jp/beer


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