- 健康管理!教えて!!2025/07/31 21:01
骨髄は免疫細胞「B細胞」の教育機関を担っている? 卒業するには2つの条件クリアが必須

骨髄は、骨の中に存在するゼリー状の柔らかい組織で、成人で約2600g(体重の約5%)あるといわれています。白血球やリンパ球などほとんどの免疫細胞のもととなる造血幹細胞を作るほか、免疫細胞「B細胞」を成熟させて血中に放出する教育機関としての役割も担っています。では、骨髄はどのようにB細胞を教育しているのでしょうか。
B細胞はリンパ球の一種で、抗体を武器に戦う免疫細胞です。再度同じ異物が侵入してきた時に素早く対応できるように異物の情報を記憶しています。骨髄には、多数の血液細胞とその間に網目のように入り込んだ間質細胞があります。この間質細胞は「骨髄ストロマ細胞」と呼ばれており、造血幹細胞が骨髄ストロマ細胞の上でB細胞に分化します。
骨髄ストロマ細胞上で生まれた前駆B細胞は、分化する過程で教育され、未熟(ナイーブ)B細胞になることができれば、ここを卒業して末梢組織に向かいます。しかし、卒業するためには2つの条件をクリアする必要があります。
1つ目の条件は、「適切で多様な抗原受容体を作れること」です。造血幹細胞から分化した前駆B細胞は、今後無数の異物と出会い戦うため多様な抗原を受け取る受容体を作り出す試験に挑みます。この時、適切な抗原受容体を作れないB細胞は合格できません。
2つ目の条件は、「自己を攻撃しないこと(負の選択)」です。第一試験に合格した前駆B細胞は、自己を攻撃するB細胞を取り除く試験に挑みます。分化したばかりの前駆B細胞の中には、自己に対して攻撃してしまう細胞も存在しています。そのため、骨髄で自己の成分(自己抗原)に反応し、攻撃する可能性があると判明した前駆B細胞はこの時点で脱落してしまいます。
最終的に、この2つの試験を突破して、未熟B細胞となれるのは、生まれてくるB細胞の数%といわれています。難関をくぐり抜けて骨髄ストロマ細胞を卒業した未熟B細胞は、免疫細胞として全身を巡り、体内をパトロールしていきます。(監修:健康管理士一般指導員)