- Study&Work2025/07/10 19:01
Hubble、伴走型AIエージェント「Contract Flow Agent」をリリース、契約業務フローにおける進行や意思決定を支援

Hubbleは、契約業務・管理のクラウドサービス「Hubble」において、日本初(同社調べ)となる契約業務フローにおける進行や意思決定を支援するAIエージェント「Contract Flow Agent(コントラクト・フロー・エージェント)」をリリース開始することを発表した。7月10日に行われた新製品発表会では、「Contract Flow Agent」の全体像を初公開すると共に、開発に至った技術的な観点を含む背景や製品の独自性などについて説明した。

「当社は、『契約書のコミュニケーションや管理を円滑にし、あらゆる人が積極的に契約と向き合える世界を作る』ことをプロダクトミッションに掲げ、契約業務をテーマにAIとクラウド技術を駆使したサービスを提供している。これまで、主力製品の『Hubble』を通じて、契約業務の効率化や盤石な契約書管理体制の構築を支援してきた」と、Hubble CEOの早川晋平氏が挨拶。「近年、働き方改革の推進に加え、早期退職制度の拡充、人材の流動化、リモートワークの定着など、企業を取り巻く環境は大きな変化を遂げている。これにともない企業内における業務遂行ノウハウや独自の背景知識といった“暗黙知”、すなわち属人的な知識の蓄積・継承が難しくなってきている。中でも契約業務は、関わる人が多く、業務が複雑で分散することから属人化しやすく、各プロセスで『誰に何を確認すべきかわからない』『過去の交渉や協議の経緯がわからない』『次にどう進めていいかわからない』などの課題が山積している」と、契約業務のすべてのプロセスで課題を抱えていると指摘する。
「当社が実施したアンケートによると、契約業務や契約書の保管・管理が原因で取引に支障が出た経験があると66%が回答していた。また、そのうちの79%が、契約業務に関して質問しづらいと答えている。これらの問題は一過性のものではなく、今後も続いていくことになり、こうした“小さな詰まり”の連鎖が、組織全体の生産性を損ね、業務停滞の一因になっている」と、契約業務の問題は組織全体の生産性にも影響を及ぼしているのだと訴える。「現在、各企業でAIを活用した生産性向上の取り組みが加速しているが、契約業務におけるAIの活用は、これまでAIレビューと呼ばれる契約書の条文チェックなど、限定的な文書処理にとどまっていた。一方で、実際の契約業務は、法務部門と事業部門の連携や交渉、承認、管理、更新といった複層的かつ文脈依存のやりとりで成り立っており、単に助言を提示するだけのAIでは、かえって判断の遅延やプロセス全体の非効率化を招くことになってしまう」と、契約業務においてAIの活用が進んでいない理由について説明した。

「当社では、契約業務の判断や意思決定は人が担うべきことであり、AIにはその前後の業務プロセスを円滑にし、迷いなく前に進めるための支援を担わせるべきだと考えている。特に生成AIは、繰り返し発生する定型的処理や意思決定の前提となる情報の整理といった、“業務を前に進める”ための支援においてこそ真価を発揮する。そこで今回、当社がこれまで築いてきた契約業務の基盤である『Hubble』に生成AIの力を掛け合わせ、新たなAIエージェント『Contract Flow Agent』を開発した」と、「Contract Flow Agent」をリリースするに至った経緯を語る。「『Contract Flow Agent』は、契約業務フローで起こりうるボトルネックを解消し、契約業務の進行や意思決定を支援するAIエージェントとなっている。『Hubble』上に蓄積された契約業務の履歴、やり取り、承認プロセス、社内判断基準などをAIが横断的に参照し、『次に何をどう進めるべきか』を提示する。これによって、従来の『契約書を見る(レビューする)AI』ではなく、『契約業務を前に進めるAI』という新たなカテゴリを創出していく」と、「Hubble」を使った契約業務フローにおける進行や意思決定を支える伴走型のAIエージェントなのだとアピールした。
「『Contract Flow Agent』は、社内に蓄積されたナレッジを元に、その時点における最適な次のプロセスをナビゲートする伴走者として機能し、人が本来の価値ある判断に集中できるよう支援する。この的確なナビゲーションを実現しているのが、『Hubble』がサービス開始当初から構築してきた情報管理基盤『一貫したデータフロー』だ。『Hubble』では、契約業務全体を統合的に設計し、データを一貫したフローとして管理しているため、より高度でセキュアな支援を行うことが可能になっている」とのこと。「契約業務は、ビジネスにおける権利義務の意思決定そのものであると考えている。当社がリリースする『Contract Flow Agent』を通じて、日本のビジネスの新たな意思決定基盤を構築し、スピード感のあるものに変えていきたい」と、「Contract Flow Agent」の将来展望を語った。

続いて、Hubble CTOの藤井克也氏が、「Contract Flow Agent」の開発秘話や製品の独自性について説明した。「『Contract Flow Agent』の構想は2017年からスタートしたが、当時は大量なAI学習データの確保が困難だったため、将来を見据えて契約書の変更点である“差分データ”を収集する基盤作りに注力した」と、リーガルテック黎明期からAIエージェントの構想・開発を進めていたと明かす。「そうした中で、2022年にChatGPTが登場したことを機に、『データの量』ではなく『データの質』が重要視される時代となった。ここで、構想期からデータ管理基盤を構築してきた長年の戦略が、契約業務におけるAIエージェント開発の強固な土台として結実することとなった」と、ChatGPTの登場が開発の大きなターニングポイントになったと振り返った。

「『Contract Flow Agent』は、従来型のリーガルテックとは設計思想そのものが違っている。契約業務全体を『面』の文脈構造として捉え、ユーザーアカウントごとの契約業務における判断の背景や論点が凝縮されたデータを活用することで、AIが交渉の経緯といった『判断の背景』までを深く理解できる点が最大の強みとなっている。これは単なる業務効率化ではなく、人とAIが対等なパートナーとして協働する『共創』の実現を目指すものである」と、「Contract Flow Agent」の独自性を強調。「今後は、自社データベース内の情報連携にとどまらず、法令ライブラリや法人番号APIなどの外部APIとの連携も視野に入れている。LangCain思想をベースに、当社独自の“つながるAI”を構築することで、人とAIがともに成長し、より良い成果を生み出すことができる未来を創っていきたい」と、契約業界において同社が目指すビジョンを示した。
「Contract Flow Agent」は、今年10月以降を目安に、主要機能の段階的なリリースを予定しており、一部機能はβ版としてすでに提供を開始している。各機能の正式提供時期は、ユーザーからのフィードバックや開発状況に応じて順次調整していく予定。詳細なリリーススケジュールについては、確定次第、順次同社サービスサイトで公開していくという。
Hubble=https://hubble-docs.com/about
「Hubble」サービスサイト=https://hubble-docs.com/
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