- 健康管理!教えて!!2025/06/24 23:35
呼吸器による防御システムの仕組みとは? 2段階の防御で体内に侵入する異物を排除

呼吸器は、鼻や口から空気中の酸素を体内に取り込み、体内で発生した二酸化炭素を排出する器官です。呼吸で口や鼻から空気を取り込む際に、外部環境から細菌やウイルス、花粉、アレルギーなどの異物が一緒に入ってくる恐れがあるため、それらが体内に侵入しないように防御をしています。
では、呼吸器による防御システムの仕組みをみてみましょう。まず、鼻では、鼻腔に存在する鼻毛が異物の侵入を防いでいます。鼻毛は邪魔者扱いされがちですが、空気中の異物を絡めとって体内への侵入を防いだり、鼻粘膜の乾燥を防いだりするなど、防御システムにおいて必要な存在です。また、鼻腔内に異物が侵入すると神経が刺激され、くしゃみや鼻水として体外に排出されます。しかし、小さな異物の場合は、鼻毛をすり抜け奥へ進んでしまうため、そこから先は線毛が働きます。
線毛とは、鼻腔から気管支までの気道の内壁に存在しており、細い毛のような構造をしています。その上には、粘液の産生を担う杯細胞から分泌された粘液が存在しています。気道内に異物が入ると、咽頭や鼻腔側に向かって、線毛が波を打つように1秒間に15~17回程度小刻みに動きます。この動きを線毛運動といい、粘膜内に入ってきた異物が線毛運動によって生じる粘液の流れに取り込まれると、気道上部へと押し上げられ、咳や痰、鼻水として体外に排出されます。また、咽頭に送られて消化器に入った場合は、胃液によって分解されます。
線毛は乾燥に弱いため、空気が乾燥していると粘液が少なくなり、線毛の動きが鈍くなります。水分補給をしたり、マスクや加湿器を使用したりして乾燥を防ぐのは、線毛の働きを助けることにもつながります。
しかし、この防御で捉えきれない極めて小さい異物などは、気管支の先にある肺胞にまで辿り着いてしまうこともあります。ここまでくると、咳や痰などで排出することはできなくなるため、第二防御機構である自然免疫が働きます。そこで活躍するのが、免疫細胞である「肺胞マクロファージ」です。
気管支の先は、木の根っこのように枝分かれしており、その先には約3億個もの袋状の肺胞があります。肺胞では、肺胞内の空気と毛細血管内の血液との間でガス交換が行われています。しかし、第一防御を突破して、極めて小さい異物が侵入してくることがあり、肺胞の働きを阻害してしまいます。そこで働くのが肺胞マクロファージで、異物が侵入してきてもガス交換を正常に行えるよう、異物を貪食してくれます。異物を食べて細胞が真っ黒になっていることから、別名「ゴミ細胞」とも呼ばれています。(監修:健康管理士一般指導員)