- Drink&Food2025/05/14 16:27
1970年大阪万博をきっかけに誕生した日本初の「プレーンヨーグルト」、発売当時の衝撃的な味わいを明治が再現

いよいよ「EXPO2025 大阪・関西万博」がスタートし、連日多くの来場者で賑わいをみせている。そんな万博が日本で初めて開催されたのは、今から50年以上前にさかのぼる。1970年3月15日に開幕した日本万国博覧会(通称:大阪万博)は、今も残る日本の食文化への影響が特に大きかった催事で、砂糖不使用の「プレーンヨーグルト」が日本に誕生したのも、実は大阪万博がきっかけだったという。今回、日本初のプレーンヨーグルトを発売した明治が、1971年当時の商品を再現。マイライフニュース編集部では、5月15日「ヨーグルトの日」を前に、この再現ヨーグルトを入手し、約50年前のプレーンヨーグルトはどんな味だったのか、現行品の「明治ブルガリアヨーグルト LB81プレーン」と食べ比べてみた。

大阪万博が開催された1970年当時のヨーグルトは、砂糖などで甘みをつけて寒天で固めたデザートヨーグルトが主流だった。プレーンヨーグルトは、後にノーベル賞を受賞したウクライナの免疫学者イリヤ・メチニコフ博士によって、その健康効果は既に世界で注目されていたが、日本ではまだ商品化されていなかった。こうした中、大阪万博「ブルガリア館」において試食で提供されていた本場のプレーンヨーグルトを、明治乳業(現・明治、以下同様)の社員が食べて感動し、日本で広めたいと思い立ったという。この大阪万博での出会いがきっかけとなり、商品化に向けた開発がスタート。1971年に日本初のプレーンヨーグルトが発売された。

ちなみに、大阪万博「ブルガリア館」では、天皇陛下も本場のプレーンヨーグルトを試食していたとのこと。ブルガリアと日本をつなぐヨーグルト外交に詳しい立命館大学 食マネジメント学科 準教授のヨトヴァ氏は、「大阪万博でソ連館に訪問された昭和天皇が、隣にあったブルガリア館を急遽訪問され、予定よりも長時間滞在。後日、宮内庁からブルガリア館に『ヨーグルトをとても気に入ったので再訪したい』と連絡があり、その後、現・上皇上皇后両陛下や、当時10歳だった天皇陛下もヨーグルトを召し上がっていたようだ」と語っている。
一方で、日本で初めて商品化されたプレーンヨーグルトは、発売当時、消費者から「牛乳が腐っている」「酸っぱい」などのクレームが続出したという。では、約50年前のプレーンヨーグルトはどんな味だったのか。今回、編集部では、5月15日「ヨーグルトの日」を前に、1971年当時の味を再現したプレーンヨーグルトを明治から入手し、現行品の「明治ブルガリアヨーグルト LB81プレーン」と味の違いを比べてみた。

この再現ヨーグルトは、社内の企画用に明治の研究所が特別に作ったもの。発売当時使用していたLB51乳酸菌を使いながら、できるだけ当時の味を再現するため、現在採用している「くちどけ芳醇発酵」の工程を入れず、シンプルに発酵させたという。実際に食べてみると、ひと口目から酸味がきつく、「非常に酸っぱいヨーグルト」というのが正直な感想だ。ヨーグルトの酸味自体には慣れているので、「腐っている」といったイヤな味ではなかったが、プレーンヨーグルトを初めて食べた1971年当時の人々にとっては衝撃的な味だったことは容易に想像できる。

次に、現行品の「明治ブルガリアヨーグルト LB81プレーン」を食べると、酸味はあまり感じず、1971年の再現ヨーグルトに比べて、とても食べやすくなっていることを実感した。爽やかな酸味に加え、ミルク感やコクのある味わいによって、最後まで美味しく食べることができた。2024年に採用した独自製法「くちどけ芳醇発酵」によって、口どけがよく、酸味が苦手な人でも食べやすいプレーンヨーグルトに仕上げているという。
また、ヨーグルトは、味わいの進化だけでなく、健康面に関する研究も進んでおり、近年では生活習慣病の予防に役立つことがわかってきている。医薬基盤・健康・栄養研究所副所長 ヘルス・メディカル微生物研究センター センター長の國澤純先生は、「ヨーグルトは、ほぼ完全栄養食品といわれる牛乳の栄養をそのままに、さらに乳酸菌による発酵パワーで各栄養素が消化吸収されやすい状態になっている。また、乳酸菌は、悪玉菌を抑えて善玉菌を増やし、腸内細菌のバランスを整えることで知られている。近年研究の分野では、腸内で行われている『菌のリレー』がもたらす代謝産物に注目が集まっている」とのこと。「このリレーによって、腸内細菌がバトンをつなぎながら代謝物を受け渡して、最終的に作られる『短鎖脂肪酸』は、腸のぜんどう運動を促進し、あらゆる生活習慣病の予防に役立つことがわかってきた。ヨーグルトは、このリレーの走者として欠かせない役割がある。体内に留まる菌ではないため、週3~4回程度習慣化してほしい」と、ヨーグルトの最新研究について解説してくれた。
5月15日「ヨーグルトの日」は、ヨーグルトの健康効果を世界に広めたイリヤ・メチニコフ博士の誕生日で、彼の功績をたたえ、明治が記念日として制定した。メチニコフ博士は晩年、長寿者が多いことで知られるブルガリアのヨーグルトを自らが摂る食事療法を続けていたことでも知られている。
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