- Cosme&Beauty2025/04/23 19:45
矢野経済研究所、国内のエステティックサロン市場に関する調査、2024年度の市場規模は前年度比98.3%の3043億円の見込

矢野経済研究所は、国内のエステティックサロン市場を調査し、都道府県別や施術別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。その結果、2024年度のエステティックサロン市場規模は前年度比98.3%の3043億円の見込であることがわかった。脱毛サロンの経営破綻によるレディス施術市場への影響が続くとみられる。
2024年度のエステティックサロン国内市場規模は、前年度比98.3%の3043億円(事業者売上高ベース)と5年連続のマイナス推移となる見込みである。
分野別に市場をみると、レディスの施術(美顔、痩身・ボディ、脱毛、その他の合計)市場は1,918億円(前年度比97.4%)、メンズエステ市場が155億円(同100.6%)、物販・その他サービス市場については970億円(同99.9%)と全体の6割超を占めるレディス施術分野後退の影響が大きい。
レディスの施術分野を近年牽引していた脱毛市場では、2024年もリージョナルチェーン・中堅規模の企業の経営破綻が続いた。突然のサロン閉鎖や返金トラブルは、毎年複数件報道される事態が続いている。
厚生労働省は、2024年6月に医師免許を有していない者がハイフ(HIFU : High Intensity Focused Ultrasound)機器を使用して施術を行うことを全面的に禁止するガイドラインを発表した。
ハイフ(HIFU)とは「高密度焦点式超音波」を意味し、皮下組織・SMAS筋膜の一点に超音波を集中させ、表面の皮膚を火傷させることなく、熱で引き締める仕組みで、肌のたるみを根本的に改善する。超音波を身体にあてるだけで、外科的アプローチ無しで小顔やリフトアップを実現するとして、エステティックサロン市場において関心を集めていた。
しかし、ハイフ(HIFU)を用いた施術において健康被害が多く報告されるようになったことで、エステサロン側も自主的にハイフ(HIFU)のメニューへの掲載や施術を行わないようにすることが求められるところとなり、消費者庁からも注意喚起がなされた。
エステサロンはその責任を果たすために適切な対応を取るべきとされ、大手美容ポータルサイトでは、2023年12月から当該メニューに関係する屋号やコースメニュー名などの情報掲載が禁止されている。
利用者の安心安全を守る対応としては適切であるが、こうしたこともエステティックサロンから美容医療へと利用者が流れる要因の一つとなっている。
2025年度のエステティックサロン国内市場規模は前年度比100.1%の3046億円になると予測する。2025年度以降の市場予測にあたっては、マイナス面ではレディス脱毛市場の回復遅れ・影響の長期化、プラス面ではメンズエステ市場への伸長期待が挙げられる。2024年も脱毛サロン経営企業の破綻が続いた。現在も脱毛サロンを運営している企業での広告費未払い問題の発⽣やそれに伴う広告凍結などもあり、脱毛サロンのTV-CMや屋外広告などを見かける機会は減っている。経営体力のある企業を中心にタレントを起用したネット広告の出稿が続いているものの、経営破綻に伴うネガティブな報道のエステティックサロン市場への影響は当面収束しそうにない。一方、メンズエステ市場については、こうした影響を受けながらも、美容に関心を持つ男性層の拡大という伸びしろの大きさから、市場成長が期待される。
「調査要綱]
調査期間:2024年11月~2025年2月
調査対象:エステティックサロン、エステティックサロン関連商材取扱企業等
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング、ならびに文献調査併用
[小売価格]16万5000円(税込)
矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp