矢野経済研究所、飲料用容器市場に関する調査、2025年の国内市場規模は前年比98.3%の760億7000万本の見込み

矢野経済研究所は、国内の飲料および食品用容器の市場規模を調査し、製品セグメント別や参入企業の動向を明らかにした。ここでは、飲料用容器の国内出荷量について公表する。その結果、2025年の飲料用容器の国内市場規模は、前年比98.3%の760億7000万本の見込みであることがわかった。2030年の「その先」につながる製品開発、事業戦略が容器メーカーの力となるとみられる。

2025年の飲料用容器市場規模(国内出荷量ベース)は、前年比98.3%の760億7000万本を見込む。飲料用容器の市場は、中身である飲料市場の成熟によって出荷量の増減幅が縮小している。

種類別に2025年の増減幅をみると、前年比で最も減少幅が大きい見込みのアルコール飲料用アルミ缶は前年比4.4%減、最も大きな成長が見込まれる食品用紙カップで同3.1%増と増減の幅は±7.5%にとどまる。また、飲料用スチール缶が同4.1%減、清涼飲料用アルミ缶が同3.5%減の下げ幅を示すが、その他の飲料用容器はいずれも前年比1~2%程度の変動率にとどまる。

近年では容器に求められる機能は一通り満たされ、新たな容器の開発も難しくなってきている。加えて、中身である清涼飲料や食品の市場が成熟したことで容器の需要にも大きな動きは見られず、当面の間は現状維持か小幅な増減にとどまるものと予測する。

近年、リキャップ機能やバリア機能、電子レンジ対応など容器の機能向上や、リサイクル材やバイオマス材の採用による環境対応など、容器に求められる機能面や環境面でのニーズは一通り満たされ、新たな容器の開発も難しくなってきている。加えて、中身である清涼飲料や食品の市場が成熟したことで容器の需要にも大きな動きは見られず、当面の間は現状維持か小幅な増減にとどまる見込みである。容器市場では今後大きな変化が期待できないようにも見える。

しかし、視線を足元から2030年に向けてみると、容器を取り巻く社会の状況は確実に変化しており、その変化は容器にも大きく影響する。

例えば、政府の環境方針や海外の包装にかかわる環境規制、また、容器のユーザーであるブランドオーナーやコンビニエンスストア(以下、CVS)、スーパーマーケット(以下、SM)各社の環境目標の多くは、2030年を一つの区切りとして容器のリサイクル対応やバイオマス材の採用拡大を求めている。

また、容器の最終的な利用者である消費者の少子高齢化と人口減少も進んでおり、少子高齢化は単身・少人数世帯の増加につながる。こうした社会では、容器に対して弱い力でも開けやすい設計、中身や賞味期限、食べ方などの表示のわかりやすさ、高齢者や単身者世帯に対応した小容量化が求められる。

環境対応や少子高齢化とは別の切り口では、インバウンド(訪日外国人客)のさらなる拡大が見込まれる。日本政府は2030年に訪日外国人旅行者数6000万人を目指す計画を打ち出しており、インバウンドの拡大はお土産・ギフト需要の拡大につながる。

足元ではやや低迷しているものの、最近は訪日外国人客に日本酒が人気であり、お土産として持ち帰る際に、従来のガラスびんに代わり軽量で割れない、パーソナルサイズのアルミ缶が注目されている。また、カジュアルなお土産として日本のスナック菓子の人気は高く、持ち歩いても中身が割れにくい紙カップのニーズも増えてくるものと考えられる。

2030年の市場に向けて、容器メーカーが取り組む課題は多い。環境対応や少子高齢化、インバウンドの増加などの社会環境の変化は、従来のような「ボリュームゾーンはPETボトル」「乳飲料・果汁飲料は紙カートン」「炭酸飲料、ビール・RTD(Ready to Drink:開封してすぐにそのまま飲める酒)は缶」「日本酒・ワインはガラスびん」という容器の棲み分けが今一度見直されることにもつながる。

2030年は、CVSやSM各社、容器のブランドオーナーなど容器ユーザーの環境対応や政府によるインバウンド拡大といった目標のゴールの一つとして設定されている。また、少子高齢化は今後ますます進展する見込みである。容器メーカーには、ユーザーの環境問題対応をアシストする容器の開発・提案や、訪日外国人客という新たな消費者層のニーズを満たす製品開発、少子高齢化に伴う高齢者や単身者世帯の増加に対応する、もう一段のユニバーサルデザイン対応といった取組みが求められている。

現在から2030年までの4~5年で容器市場が劇的に変わるとは考えにくいが、2030年に向けて開発された製品、技術、導入した設備は、2030年以降の市場においても容器メーカーの力となる。容器メーカーではこれまで、成熟市場の中で足元の売上やシェアの維持・拡大に力を入れてきた。しかし、今後は足元の売上や販売数量拡大への取組みは継続しつつ、多くの容器ユーザーが一つのゴールとして目指す2030年と、さらにその先を見据えた事業戦略が求められている。

[調査要綱]
調査期間:2025年11月~12月
調査対象:飲料容器および食品用容器メーカー等
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
[小売価格]19万8000円(税込)

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp


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