- Drink&Food2026/01/21 15:39
矢野経済研究所、冷凍パン生地・冷凍パン市場に関する調査結、人手不足を背景に2029年度の市場規模は約2329億円へ拡大

矢野経済研究所は、国内の冷凍パン生地、冷凍パン市場を調査し、セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。その結果、人手不足を背景に2029年度の冷凍パン生地・冷凍パン市場規模は約2329億円へ拡大すると予測する。

2024年度の冷凍パン生地・冷凍パン市場規模は事業者売上高ベースで、前年度比104.0%の2028億4900万円となった。市場は拡大基調を維持しており、主な要因は人手不足による省力化ニーズの高まりである。パン製造や調理の現場では熟練した職人の確保が困難となっており、その解決策として加工度の高い冷凍パン生地や冷凍パンが求められている。特に焼成後冷凍パン(製品冷凍)や発酵工程を省略し解凍後に焼成するだけで提供可能な高加工度商品の採用が広がり、インストアベーカリーをはじめ外食産業や宿泊関連施設での導入が進んだことが市場を牽引した。
また、国内消費の回復と訪日外国人客(インバウンド)の増加に伴う宿泊や外食需要を受けて、冷凍パン生地・冷凍パンにおける業務用需要が堅調に推移している。チャネル別でみてみると、量販店のインストアベーカリーが市場の中核を担い、リテイルベーカリー(地域密着型の小規模ベーカリーチェーンからチェーン展開する路面店までを含む、パンを焼成し店舗で直接消費者に販売する業態)やホテル、レストランなどの外食チャネルがそれを補完する構造となっている。
最も顕著な動向は、人手不足の深刻化に伴う製造コストの構造変化である。従来、パン製造の現場では、生地玉や成型冷凍生地を用い、店内で発酵や焼成を行う工程が一般的であった。しかし、熟練したパン職人をはじめ、人材の確保が難しくなる中、製造現場では労務費の抑制が経営上の重要課題となっている。
パンの製造原価は、加工度が高まるほど原材料費は上昇する。現在のように人手不足と人件費高騰が同時進行する環境下では、原材料コストの上昇を許容してでも、加工度の高い原材料を選択せざるを得ない状況が生まれている。
こうした製造コストの構造変化を背景に、製造工程の簡素化や作業時間の短縮につながる高加工度商品の位置づけは大きく変化している。これらは単なる原材料の選択肢ではなく、安定した店舗運営を維持するための運営手法の一つとして認識されている。
2029年度の冷凍パン生地・冷凍パン市場規模は、2024年度比114.8%の2328億5000万円に達すると予測する。国内のパン市場全体が横這いで推移する中、冷凍パン生地・冷凍パン市場は2025年度から2029年度までは年率2~3%程度の拡大が続く見通しである。
この成長を牽引するのは、引き続き半焼成冷凍、および焼成後冷凍(製品冷凍)である。市場拡大の要因は、訪日外国人客(インバウンド)の増加に伴う宿泊や外食需要の回復と、慢性的な人手不足への対応である。特にホテルやレストランなどの外食産業においては、省力化と安定供給を実現する高加工度商品への依存度がさらに高まると考える。一方で、原材料や物流費の高止まりによる価格上昇が懸念材料となるが、パン製造や調理の現場のオペレーション維持という強いニーズが市場を下支えする構造が継続するとみる。
[調査要綱]
調査期間:2025年7月~9月
調査対象:国内メーカー、輸入商社等
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話等によるヒアリング調査ならびに文献調査併用
[小売価格]27万5000円(税込)
矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp
















