- Leisure&Travel2025/12/10 22:41
岐阜県、東美濃の魅力を現地で体感するプレスツアーを開催、中山道の宿場町を中心に国内外で注目のスポットを巡る

全国でも数少ない内陸県である岐阜県。北部の飛騨地方には標高3000m級の山々がそびえ、南部の美濃地方は濃尾平野を雄大な木曽三川(揖斐川・長良川・木曽川)が流れる。そんな豊かな自然に囲まれた岐阜県は、ここ数年、国内外から注目を集めており、昨年の都道府県別宿泊者数では前年比119.2%増と全国トップクラスの伸び率を記録(宿泊旅行統計調査)。訪日外国人旅行者の増加に加え、国内でも“心に残る地方体験”を求める動きが広がるなか、特に美濃焼や木工などの手しごと文化が息づく「東美濃」エリアの人気が急上昇している。そこで今回、岐阜・東美濃の魅力を現地で体感するプレスツアーが開催された。プレスツアーでは、東美濃地域を通る中山道の宿場町巡りを中心に地酒の蔵元、戦国のメインステージ岐阜ならではの山城、陶磁器の工場見学など、現地でしか味わえない「東美濃エリアの魅力」を存分に体験することができた。

日本のほぼ中央、岐阜県美濃地方の東に位置する東美濃は、多治見市・中津川市・瑞浪市・恵那市・土岐市・可児市・御嵩町の6市1町からなる地域。中山道の宿場町や地歌舞伎など、江戸時代の面影を今に伝える文化が息づき、陶磁器や木工などの地場産業、そして四季折々に移ろう自然と共に独自の暮らしが育まれてきた。特に、中山道沿いの宿場町・馬籠宿や中津川宿などでは、歴史と人々の温かさが織りなす原風景が残り、訪れる人を穏やかに迎え入れる。また、五平餅や栗きんとん、地酒など、山里の恵みを活かした素朴な味わいも魅力の一つ。地域の職人や生産者が守り、受け継いできた伝統と創造が交わる東美濃は、日本の原風景と未来の感性が共存するエリアとして、新たな世代や海外からも注目を集めている。

まず向かったのは、中山道の宿場町「御嵩宿」。御嵩宿は、願興寺の門前町として栄えた宿場で、名鉄「御嵩駅」から東へと続く町並みには、御嵩宿本陣跡や商家竹屋など、往時の面影が色濃く残されている。中でも観光スポットの郷土館「中山道みたけ館」では、中山道や御嵩宿の資料はもちろん、原始から現代までの御嵩町に関する資料を豊富に展示。

中山道に関する展示では、御嶽宿の縮小模型を中心に、隣の伏見宿も合わせて、活気にあふれた当時の生活を資料と映像で紹介している。この他に、隠れキリシタンの歴史や明治時代の亜炭採掘に関する展示も見どころとなっている。

また、江戸時代の建築様式を色濃く残す商家竹屋も見学した。商家竹屋は、御嶽宿の街道を人や物資が往来し、大きく賑わいをみせていた頃からの豪商として、宿場内での役割を果たしてきたという。商家にふさわしい質素で風格のある造りの建物で、このうち「主屋」と「茶室」は御嵩町指定有形文化財にもなっている。

御嵩宿の次に向かったのは、大湫宿と細久手宿を結ぶ道のりにある「琵琶峠」。琵琶峠は、美濃の中山道十六宿の中で最も高い峠(標高557m)で、峠の頂上付近には八瀬沢一里塚が昔のまま残っている。また、日本最大級の全長約730mにわたる石畳が再現整備されており、緑の木々と石畳の美しさから中山道を代表するフォトスポットとしても知られている。

琵琶峠の散策中には、岐阜県の郷土料理として「朴葉(ほおば)ずし」と「五平餅」を味わった。朴葉ずしは、朴の木の葉で酢飯を包んだ料理で、地域や家庭によって作り方や具材が異なり、さまざまな味が楽しめるという。朴葉には、殺菌効果があるといわれ、手も汚さず食べられるため、農作業などの携帯食として作られたのが始まりといわれている。

五平餅は、東美濃の郷土食で、気軽な食事やおやつとして地元で長く愛されている。わらじ型やだんご型、ご飯の硬さ、味噌や醤油をベースにした甘辛いタレなど、お店ごとに味わいが異なるので、食べ比べをするのもおすすめとのこと。

琵琶峠を後にすると、歌川広重の浮世絵版画などを所蔵する「中山道広重美術館」へ。同美術館は、歌川広重が中山道を描いた「木曽海道六拾九次之内」など約500点の美術品を収蔵しており、それらを企画展という形で展示している。今回のツアーで訪れた時には、秋季特別企画展「出版190年記念 渓斎英泉・歌川広重 木曽海道六拾九次之内-摺り違いの愉しみ-」(後期)が開催されていた。この企画展では、「木曽海道六拾九次之内」の計192点を3期にわたり宿場ごとに出陳。全点が公開されるのは、2007年以来、18年ぶりになるという。後期では、中津川宿から大津宿までの作品が出陳され、増し摺りにともなう多様なバリエーションや異版(変わり図)など、出版時期によって異なる摺りの表現を徹底比較した。

また、浮世絵ナビルームの「重ね摺り体験コーナー」では、浮世絵の「摺り」の工程を疑似体験でき、歌川広重の「木曽海道六拾九次之内 大井」や葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」など、浮世絵の名作を自分の手で再現することができた。

次に訪れたのは、中津川宿の老舗造り酒屋「はざま酒造」。江戸中期から酒造りを始め、以来200年以上にわたり「美味しい酒造り」にこだわってきた。

はざま酒造が造るのは純米酒「恵那山」。すべて小仕込みで吟醸造りをしており、米と水を原料にしたフルーティで香り高い味わいが特徴となっている。「日本酒をもっと多くの人に楽しんでもらいたい」との想いから、新たな挑戦としてワインコンペティション「インターナショナル ワイン チャレンジ(IWC)」の「SAKE」部門に出品。「純米酒部門」と「純米吟醸酒部門」でシルバーメダルを受賞している。

また、日本酒ギャラリー「酒游館」を併設。江戸情緒たっぷりの館内には昔の酒造道具が展示され、仕込み水に使用している恵那山の伏流水も流れている。館内の見学は無料で、きき酒体験コーナーでは有料で「恵那山」の飲み比べを楽しむことができる。

この他、中津川宿では、11月7日にオープンした旅の拠点バー「HIGASHIMINO STAND by meet tree meets Nakasendo」も紹介された。同店では、中山道沿いの地酒やクラフトビール、クラフトジン、地元ロースターのコーヒー、地域食材を使ったおつまみなどを提供。さらに、インバウンドを中心に旅人と中山道をつなぐ旅の拠点として、「茶農家でのお茶のテイスティング体験」、「お寺での坐禅/書道/茶道体験」、「酒蔵での日本酒テイスティング体験」などの体験型アクティビティの手配・販売も手がけ、地元の交流窓口としての役割も担っていくという。

そして、関ヶ原の戦いの前哨戦の舞台にもなった山城「苗木城跡」は、中津川を代表する観光スポットの一つとして知られる。苗木城は戦国時代、中津川市内を東西に流れる木曽川の右岸に一段と高くそびえる城山に築かれた。急峻な地形を有効に活かし、木曽川から山頂の天守跡までの標高差は約170mあるという。

全国でも珍しいといわれる苗木城の石垣には、自然の巨岩がそのまま活用されており、「野面積み」「打込接ぎ」など年代によって積み方の異なる石垣も見どころの1つとなっている。

また、天守跡に設けられた展望台からは、恵那山や木曽川をはじめ中津川市街を360度見渡すことができる絶景が広がっている。さらに、晩秋の早朝などには木曽川から霧が立ち込め、幻想的な雰囲気を漂わせることから「霧ヶ城」とも呼ばれている。

苗木城跡の次は、歴史的な寺院が点在する落合宿へ。慶長5年(1600年)に創建された善昌寺を訪れ、心静かにお経を書き写す写経体験を行った。

善昌寺は、門の脇にある「門冠の松」で知られ、落合宿のフォトスポットの一つとなっている。樹齢450年といわれるこの松は、創建当時の山門を覆っていたことから「門冠の松」と呼ばれるようになったという。現在は、門から道路に飛び出すように伸びており、宿場に入る目印にもなっている。

落合宿の次に向かったのは、多くの観光客で賑わう人気宿場の馬籠宿。石畳が敷かれた坂に沿う宿場町で、坂道の両脇に軒を連ねる風情ある街並みがノスタルジックな雰囲気を醸し出している。また、馬籠宿にはカフェや飲食店、みやげ屋など様々なショップが集まっており、せんべいやおやき、五平餅などの食べ歩きも楽しめる。宿場の中間地点には、文豪・島崎藤村の生家跡(本陣)を資料館にした「藤村記念館」があり、馬籠を舞台とした歴史小説「夜明け前」などの作品原稿を見ることができる。

そして、坂を上り切った先の見晴台からは、恵那山を真正面に一望できる大自然の絶景が広がっており、馬籠宿随一のビュースポットとなっている。

東美濃の特産品「美濃焼」の中心地である土岐市は、全国有数のうつわの産地であり、陶磁器生産量で日本一を誇っている。今回、2023年1月にオープンした、うつわの複合体験施設「KOYO BASE」を運営する光洋陶器の製造工場を見学したほか、絵付体験のワークショップを行った。工場見学では、熟練した職人の技と最新のオートメーションが融合した製造ラインを間近で見ることができた。高品質を保ちながら、多品種小ロットのうつわ製造を実現した仕組みを解説しながら、普段使う食器がどのように作られているのかをわかりやすく教えてれた。

また、絵付体験のワークショップでは、お皿、マグカップ、丼などの素焼きのうつわに専用の絵具を使って、好みのイラストや文字を自由に描いていった。絵付けしたうつわは、本焼きした後、完成品を郵送で届けてくれるとのこと。

なお、「KOYO BASE」では、光洋陶器製のプロユース食器を中心に幅広いラインアップを取り揃えたショップや、地元の食材を存分に使った「ちょっと贅沢な、ふだんの料理」を提供するカフェダイニングも展開しており、うつわの魅力を五感で味わうことができた。

岐阜市=https://www.pref.gifu.lg.jp/
東美濃観光ガイド=https://higashiminokanko.com/
















