- Drink&Food2025/11/10 14:36
富士経済、菓子・デザート・パンなどの市場調査、グミキャンディの2025年の国内市場見込は2024年比14.7%増の1072億円

総合マーケティングビジネスの富士経済は、毎年行っている加工食品の市場調査を7月から開始した。調査は20カテゴリー383品目を対象に、4回に分けて実施する。第1回は、食シーンやユーザー層が広がっている菓子、新フレーバーや差別化商品の発売などで需要喚起の取り組みが見られるスナック菓子をはじめ、デザート、乳油製品、育児用食品、ステープルの6カテゴリー97品目の国内市場を調査した。その結果を「2026年 食品マーケティング便覧 No.1」にまとめた。トピックスとして、グミキャンディの国内市場における2025年見込は2024年比14.7%増の1072億円と予測する。上位各社が新商品の発売やプロモーションなどを継続。インバウンド需要も追い風となり、2032年予測は同31.6%増の1230億円を見込む。参入各社の注力度は高く、設備投資や生産能力増強、新規参入も見られ、中期的に高成長が期待される。
この調査では、対象品目の2014年から現在までの市場動向と、温度帯や用途、チャネル、パッケージの動向、参入企業やブランドの動向などを分析し、2032年までの市場を予想した。また、4回の調査終了後には、その調査結果を総合的、横断的に分析するとともに、加工食品業界の将来を展望する。
グミキャンディは、仕事や勉強、移動の合間に喫食しやすく、子どもから大人まで幅広い層を捉えて、市場は拡大してきた。2020年は外出機会の減少に伴う間食需要の低迷と、インバウンド需要の消失によって前年を下回ったが、2021年以降は参入各社が商品施策やプロモーションを積極的に行ったことで売り場が活性化し、高成長している。
2024年は、引き続き商品施策やプロモーションなど、積極的なアプローチが行われたことで、ユーザー層の間口がさらに広がり、売り場自体の集客力が強まったことや、複数のブランド/商品を購入して楽しむ需要も増えたことで、市場は前年比19.4%増となった。
2025年は、上位各社が新商品の発売やプロモーションなどを継続し注力しているほか、店舗でも棚が広がり露出が増えるなど、売り場が活性化している。インバウンド需要も追い風となっており、市場は引き続き高成長するとみられる。

種類別にぶどう、コーラ、レモン、その他に大別すると、ぶどうやコーラは、定番フレーバーとしてエントリーユーザー獲得にも貢献しており、好調である。その他に含まれる、オレンジやいちご、桃などの果実フレーバーは、期間限定も含めて商品数が増えており、市場構成比が上昇している。
現状、製造が追いつかず供給が上限に達している企業も散見されるが、依然として参入各社の注力度は高く、設備投資などによって販売力を高める動きが続いている。他のキャンディ類やチョコレート使用菓子などの製造を集約することによる生産能力増強も加速しているほか、引き続き新規参入も相次いでいることから、市場は中期的にも高成長が期待される。
米菓の2024年は、各社値上げを実施したが、他の菓子より値ごろ感があることから、市場は二桁成長となった。特に、節約志向の高まりもあって割安感のある大袋タイプ、また、素材訴求の商品が支持を得た。2025年は、米不足の影響から原料米の確保が難しくなっているが、各社主力ブランドを中心とした販促に注力していることから、市場は拡大が続き前年比6.0%増が見込まれる。種類別にうるち米を主原料とするせんべいともち米を主原料とするあられに大別すると、せんべいはブランド数が多いことから市場の三分の二を占める。近年は、せんべい、あられともに伸長している。参入各社が価格戦略から脱して、主力ブランドを中心とする価値訴求による戦略を進めており、今後も市場は堅調に拡大すると予想される。素材にこだわった高価格帯商品やPB商品、また、大袋入りタイプや食べきりの小袋タイプなど、商品や容量のラインアップが豊富に展開されているほか、CVSで若年層の需要取り込みが進んでいることも市場拡大要因になっている。

ヨーグルトの2024年は、前年の値上げにより一部ユーザーで買い控えや購入頻度の減少などがみられたが、フルーツ入りや濃厚さで贅沢感を訴求した商品、一般的なヨーグルトよりもたんぱく質含有量が多い高たんぱく質ヨーグルトなど、高単価商品の好調により単価アップが進み、市場は前年比2.8%増となった。2025年は、プレーンヨーグルトが大容量タイプの経済性の高さやアレンジを楽しめる点が支持されており、高価格帯商品の登場も上乗せとなって堅調に伸びている。また、ハードヨーグルトは各社のロングセラーブランドが堅調で、前年に一時供給を停止した江崎グリコの再販が進んでいるほか、ソフトヨーグルトは各社ブランドのフルーツ入り商品が新規ユーザーを獲得しており、いずれも前年を上回るとみられることから、市場は前年比5.1%増が見込まれる。値上げが進む中で、乳業界では夏場の体づくりなど新たな切り口でのヨーグルトの効果を訴求する取り組みが活発化しており、需要底上げに向けて今後も参入各社で消費者の購入意欲を喚起するプロモーションや啓発活動が行われると予想される。また、新商品の発売が相次いでいるたんぱく質含有を訴求した商品は、ライトな健康やヘルシーなイメージでニーズを捉えていることから、健康志向の高まりに対応したターゲティングが続くとみられる。

アイスクリーム類の2024年は、気温が高い日が続き需要期が長期化したほか、100円前後から購入できる割安感が支持された。また、外出機会の増加でパーソナルタイプであるノベルティアイスクリームの好調もあり、市場は拡大した。2025年は、段階的な値上げで店頭回転率が鈍化するブランドもみられるが、気温が高い日が長期間続くとの予報に対する対策としての商品改良、他社ブランドとのコラボレーションによる新規ユーザーの開拓も図られていることから、市場は拡大し、前年比3.7%増が見込まれる。種類別にアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓に大別すると、「ハーゲンダッツ」(ハーゲンダッツ ジャパン)をはじめとするアイスクリームが、市場のおよそ3割を占める。消費者の低価格志向が逆風となっていたが、2025年は各社商品ともに伸びていることから、現状の市場構成比を維持するとみられる。アイスミルクは、乳脂肪分が高いアイスクリームと比較しあっさりとした味わいから、夏に需要が増加する。猛暑が続いたこともあり2025年も堅調に伸びている。ラクトアイスは、スパウト付きパウチを採用している商品が、外出時に屋外でも喫食しやすい点が支持され好調である。アイスクリーム類に対する許容価格を超えた場合、ユーザー離脱が起こる可能性もあるが、今後も市場は拡大推移が予想される。

調査結果の概要として、菓子は、2025年見込が1兆4595億円(2024年比104.2%)、2032年予測が1兆5447億円(2024年比110.2%)の見通し。スナック菓子は、2025年見込が4479億円(2024年比が105.5%)、2032年予測が5112億円(2024年比120.4%)の見通し。デザートは、2025年見込が1兆4442億円(2024年比103.5%)、2032年予測が1兆5059億円(2024年比107.9%)の見通し。乳油製品は、2025年見込が7742億円(2024年比100.8%)、2032年予測が7924億円(2024年比103.2%)の見通し。育児用食品が、2025年見込が906億円(2024年比101.0%)、2032年予測が894億円(2024年比99.7%)の見通し。ステープルは、2025年見込が1兆5573億円(2024年比102.6%)、2032年予測が1兆6402億円(2024年比108.1%)の見通し。
菓子は、チョコレートや米をはじめとした原材料価格高騰の影響を大きく受け、他品目と比べて値上げの頻度が高いものの、インバウンド需要を底堅く獲得しているほか、おやつだけでなく食事代替としての需要を獲得するなど、食シーンやユーザー層の広がりによって、市場は続伸するとみられる。
スナック菓子は、比較的安価で、かつ値上げ幅が少ないことから一定の需要を獲得している。参入企業は新フレーバーや差別化商品の発売など、需要喚起に積極的に取り組んでおり、新たなユーザー層の開拓にもつながっていることから、市場はプラスで推移するとみられる。
デザートは、アイスクリーム類が猛暑による冷菓ニーズの高まりや値ごろ感が支持され好調で、ヨーグルトもフルーツ入りや濃厚で贅沢感を訴求した商品、高たんぱく質を訴求した商品がユーザーのすそ野を広げ伸長するなど、両品目がけん引し市場が拡大するとみられる。
乳油製品は、輸入原料や油脂の価格高騰、国産生乳も乳価改定や生産量不足など、近年、原料事情の厳しい状況が続いているものの、インバウンド需要の増加で外食やホテル業態が好調となり業務用が伸長していることから、市場はわずかながらではあるが拡大を続けている。
育児用食品は、出生率の低下がマイナス要因となっているが、共働き世帯の増加で簡便性に優れる育児用液体ミルクが伸長を続けているほか、2024年は複数発生した地震・災害を背景に防災備蓄需要が高まり、有事への備えとして育児用調製粉乳が需要を獲得していることから、2025年までは市場の拡大が続くとみられる。
ステープルは、市販用で値上げが実施されて以降、単品の菓子パン・惣菜パンのコストパフォーマンスの良さが目立っている。市場は、価格優位性の高いPBは引き続き好調を維持するとみられる一方で、上位企業がNBのテコ入れやプロモーションの強化に取り組んでいることから、さらなる拡大が期待される。
[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]7月~9月
[小売価格]
書籍版:16万5000円
書籍/PDF版セット:19万8000円
書籍/PDF+データ版セット(全体編):22万円
ネットワークパッケージ版:33万円
(すべて税込)
















