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[ドクター連載 第6回]病状は5段階のステージで進行、早期発見・早期治療で腎機能の低下を抑えることが重要に--慢性腎臓病(CKD)編(その2)

2012.08.28 05:51 更新

  慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の働きが低下していく慢性病で、自覚症状がほとんどなく、症状が出た時にはかなり進行しているケースが多いというやっかいな 病気です。しかも、腎臓は一度悪くなってしまうと、自然に治ることはないので、早期発見・早期治療が何より重要になります。早期発見ができれば、回復させ ることはできないまでも、生活習慣の改善や薬物治療により病気の進行を遅らせることができるからです。今回は、慢性腎臓病(CKD)が進行していくステー ジ別に、病状の特徴と対策を見ていきます。

 慢性腎臓病(CKD)は、重症度に応じて、ステージ1からステージ5までの5段階に分けられ ます。その指標となるのが推算糸球体濾過量(以下、eGFR)です。これは、老廃物を尿に排泄する能力が腎臓にどれくらいあるかを示すもので、この値が低 いほど腎臓の働きが悪いということになります。eGFRは、血清クレアチニン値と年齢と性別から計算することができ、eGFRの値が90以上であれば、腎 機能は正常と診断されます。

  ただ、eGFRが90以上であっても、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満、喫煙、腎臓病の家族歴などがある人は慢性腎臓病(CKD)になる リスクが高いので、「予備軍」に位置づけられます。そして、たんぱく尿が出て、これが持続するようになると、慢性腎臓病(CKD)の「ステージ1」に入り ます。ここまでは、まだ腎機能は正常に働いていますので、これ以上、病状を進行させないように原疾患の治療や生活習慣の改善に努める必要があります。

 しかし、たんぱく尿が持続した状態で、eGFRの値が60以上90未満に下がると「ステージ2」に進み、いよいよ腎機能の低下が始まります。ここからは、医師の指示に従って、慢性腎臓病(CKD)の原因を調査し、その原疾患の治療に努めるようにします。

  eGFRの値が30以上60未満に低下すると「ステージ3」へと進みます。このステージでは、尿異常の有無を問わず、eGFRの値により慢性腎臓病 (CKD)と診断されます。腎機能は、中等度低下した状態となり、原疾患の治療に加え、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の予防や、腎機能低下によって 生じる様々な異常(貧血、ミネラル異常、骨の異常など)のチェックと治療を行うことが必要です。さらに、eGFRの値が15以上30未満まで低下した状態 が「ステージ4」となります。ここまで進むと、腎機能はかなり低下しており、透析療法や移植についての教育を受け、将来のライフスタイルを早めに考えるこ とが重要です。

 そして、eGFRの値が15を下回ってしまうと、最終段階の「ステージ5」に入り、“末期腎不全”の状態となります。こ こでは、もはや人工透析の導入は避けられません。透析直前の体の状態は非常に不安定なので、体調には十分注意し、専門医と相談しながら、スムーズに透析療 法への移行を目指します。

 このように、慢性腎臓病(CKD)は、症状がないからといって放置していると、着実に腎機能が低下していき、 やがて人工透析へと至ります。後戻りはできません。そこで、早期発見のポイントとなるのが、慢性腎臓病(CKD)のスクリーニング検査です。スクリーニン グ検査といっても難しいことはありません。一般的な健康診断で行われている「尿検査」と「採血」を受ければよいのです。次回は、慢性腎臓病(CKD)の早 期発見に欠かせないスクリーニング検査のポイントや、慢性腎臓病(CKD)にならないための予防対策についてご紹介します。(医療法人偕行会本部 透析事業本部 管理部長 熊澤ひとみ)

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