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[ドクター連載 第3回]脳卒中につながる危険な症状とは? 前兆を見逃さずに早めの対処を--脳卒中編(その2)

2012.06.26 05:59 更新

  脳卒中は、脳の血管が詰まる、もしくは破れることで発症する脳血管障害の総称で、高齢者にとって気をつけたい重大疾患の一つです。そして、この病気が恐ろ しいのは、前ぶれもなく、突然発症することが多いという点です。ただ、前兆がまったくないというわけではなく、実際は脳卒中につながる危険な症状を見逃し ているケースも少なくありません。そこで今回は、脳卒中につながる症状をいくつかピックアップして、脳卒中を引き起こすリスクやその対処法などをご紹介し ます。

 まず、脳卒中が疑われる代表的な症状として、しびれ、感覚障害や麻痺があります。脳卒中によるしびれ、感覚障害は、脳の頭頂葉にある感覚野から視 床そして末梢神経の間に障害が起こった際に生じる症状ですが、慢性的に手や足がしびれる場合は、脳卒中とは関係ない場合があります。手のしびれは、頸椎症 などの首に関わる疾患、足のしびれは、、腰椎症など腰に関わる疾患が影響していることがあります。脳卒中の場合は、しびれ、感覚障害だけが単独で発症する だけでなく、運動障害や言語障害などの症状が複合的に出てくることが多く見られます。しかし、単独の症状が出たということで、もちろん、脳卒中を否定する ことはできませんので、とくに、急性発症の場合は、頭部、頸部、腰部の中枢から末梢にかけて検査する必要があります。

  麻痺については、顔や手・足の片方だけが突然動かなくなる「片麻痺」が起こった場合は、脳梗塞を起こしている危険性があります。脳梗塞によって右脳にダ メージを受けると左片麻痺が起こり、反対側の左脳にダメージを受けると右片麻痺が起こります。症状としては、体の片側が動かなくなる半身麻痺に加え、左脳 梗塞では失語症、右脳梗塞では左半側空間の認知障害や服がうまく着られない(着衣失行)などを伴うことがあり、脳卒中の早期発見の参考にしてください。

 次に、脳幹部における脳梗塞の症状として気をつけて欲しいのが、食べ物や飲み物をうまく飲み込めなくなる「嚥下障害」や、口のもつれである「構音 障害」です。特殊なものとして、脳幹部にある延髄に生じた脳梗塞によって生じる「ワーレンベルグ症候群」や、ラクナ梗塞が多発して起こる多発性脳梗塞での 「仮性球麻痺」などの症状として、嚥下障害が起こります。とくに高齢者の場合、嚥下障害によって誤嚥性肺炎を引き起こす恐れもありますので、誤嚥をしない ように周囲のケアが大切です。

  また、脳卒中の症状として、頭痛を懸念する人もいますが、一般的に起こる頭痛は、緊張性頭痛や片頭痛など、脳出血や脳梗塞などの一般的な脳卒中とは直接関 係ないものです。ただし、突然の激しい頭痛とともに、吐き気、嘔吐、意識障害をともなう症状が表れた場合は、くも膜下出血を起こしている可能性がありま す。こうした症状が起こった際は、一刻も早く病院で検査、治療を受ける必要があります。

 このほかに、めまいも脳卒中の症状として見逃せません。脳幹や小脳の梗塞、出血を発症した場合、足元がフラフラして、立ったり歩いたりできなくな るといった運動失調が起こることがあります。一般的なめまいに比べて、身体症状をともなうことが多いので、この症状を見逃さないようにしてください。

 ここまで、「しびれ」「麻痺」「嚥下障害」「頭痛」「めまい」と脳卒中に関わる症状を紹介してきましたが、これらの症状がすべて脳卒中に直接つな がるわけではないのも事実です。しかし、脳卒中は、症状が起こってからでは遅いのです。そこで、脳卒中の予防のためにも、定期的に「脳ドック」を受けるこ とが推奨されています。MRI(磁気の力で脳内の状態を検査)やMRA(頭部の血管の様子を立体的に検査)を行えば、脳に梗塞や動脈瘤があるかどうかを事 前にチェックすることができるからです。次回は、脳卒中の検査と治療のポイントをご紹介します。(医療法人偕行会グループ 名古屋共立病院 脳神経外科部長 青山国広)

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