「NISAの日記念イベント」を開催、「資産所得倍増プラン」をテーマにパネルディスカッション、岸田総理からのメッセージ動画も

左から:日本取引所グループの清田瞭取締役兼代表執行役グループCEO、野村證券の永井浩二会長、中島淳一金融庁長官、フリーアナウンサーの馬場典子氏、読売巨人軍前監督の高橋由伸氏、木原誠二内閣官房副長官、コモンズ投信の渋澤健会長、日本証券業協会の森田敏夫会長、投資信託協会の松谷博司会長、とうしくん

日本証券業協会、日本取引所グループ、投資信託協会は、2月13日「NISAの日」であることを踏まえ、2月11日に「NISAの日記念イベント ~資産所得倍増に向けて~」を開催した。イベントの第1部では、木原誠二内閣官房副長官、中島淳一金融庁長官、コモンズ投信の渋澤健会長、野村證券の永井浩二会長、投資信託協会の松谷博司会長によるパネルディスカッションが行われ、「資産所得倍増プラン」について意見を交わした。第2部のトークセッションでは、特別ゲストに読売巨人軍前監督の高橋由伸氏とフリーアナウンサーの馬場典子氏を迎え、証券投資初心者として、日本証券業協会の森田敏夫会長から資産形成の重要性やNISA制度について学んだ。

昨年11月、政府において「資産所得倍増プラン」が取りまとめられ、NISAの抜本的拡充や金融経済教育の充実などの方向性が示されるとともに、令和5年度税制改正大綱では、NISA制度の抜本的拡充・恒久化などが明記された。このように、国全体で「証券投資」に関する機運が高まってきている中で、日本証券業協会、日本取引所グループ、投資信託協会では、今回のイベントをきっかけに、証券業界を挙げて「資産所得倍増プラン」を盛り上げるとともに、新しいNISA制度の普及を推進していく考え。

岸田文雄内閣総理大臣のメッセージ動画

第1部パネルディスカッションの開催に先立ち、岸田文雄内閣総理大臣からのメッセージ動画が上映された。「岸田政権では、今年を『資産所得倍増プラン元年』と位置づけ、貯蓄から投資へのシフトを本格的に進めていく。日本の家計金融資産は大きく拡大するポテンシャルがあり、これを幅広い層で実現させることが重要だと考えている。そのため、NISAの抜本的拡充・恒久化と制度改革を行うとともに、顧客本位の業務運営、金融経済教育の充実、消費者が信頼できるアドバイスの提供といった総合的な取り組みを行っている」と、資産所得倍増に向けて本腰を入れて取り組んでいると力説する。「特にNISAについては、制度の恒久化を実現し、金融商品から得た利益が非課税となる期間を無制限とする他、年間投資額や非課税保有限度額の上限を大幅に拡大する。また、すでにNISA口座を保有している人は、新制度に移行する手続きは不要となるため、今からNISA口座を開設することで、さらに大きな非課税枠を利用できるようになる」と、新NISA制度のポイントを紹介した。「『資産所得倍増プラン』では、現在のNISA口座数1700万口座と累計買付額28兆円を5年間で倍増させ、その後、家計による投資額の倍増を目指し、長期的には資産運用収入そのものの倍増を見据え、政策対応を図っていく。これによって、企業成長と資産所得の好循環を実現していく」と、今後の展望を語った。

コモンズ投信の渋澤健会長

続いて、「資産所得倍増プラン」をテーマに、コモンズ投信の渋澤健会長がファシリテーターを務め、木原誠二内閣官房副長官、中島淳一金融庁長官、野村證券の永井浩二会長、投資信託協会の松谷博司会長によるパネルディスカッションが行われた。

木原誠二内閣官房副長官

まず、木原内閣官房副長官が、「資産所得倍増プラン」を立ち上げた狙いについて、「成長の果実を国民に享受してもらうこと」と「新しい中間層を生み出すこと」の2点を挙げ、「この20年間で日本企業の収益は約3倍に拡大し、配当も3倍近く伸びている。しかし、株主が少ないため国民の手には十分にわたっていないのが実状である。できれば一億総株主になってもらい、成長の果実をしっかり受け取ってほしい。また、これから新しい中間層を生み出していくためには賃金を上げると共に、金融所得を増やすことが重要になると考え、『資産所得倍増プラン』をとりまとめた」と説明した。

中島淳一金融庁長官

「資産所得倍増プラン」では、来年中に金融経済教育推進機構の設立を予定しているが、同機構が担う役割について中島金融庁長官は、「『資産所得倍増プラン』は、今まで投資をしたことのない人に、投資を始めてもらうことが目的となっている。そのためには、なぜ投資をする必要があるのかを、広く国民に納得してもらう必要がある。そこで、投資に関する基本知識や安定的に収益を上げるノウハウなどを一人でも多くの国民に普及させるべく、金融経済教育推進機構を新設することとした。金融庁がリーダーシップを取り、官民一体となって、国民への金融経済教育を推進していく」と述べた。

野村證券の永井浩二会長

野村證券の永井会長は、NISA制度の抜本的拡充・恒久化の取り組みに関して、「従来、投資をするのは資産を持った50代から60代以上の人が中心だったが、ここ1~2年で30代から40代、さらには20代の若年層がNISA口座を開設するという新しい動きが出てきている。これは、私が40数年証券マンをやってきた中でも初めての経験だ。今回のNISA制度の抜本的拡充・恒久化をきっかけに、こうした新しい流れを加速させていきたい。また、年間投資枠が合計360万円に広がることは、多くの金融資産を持っている60代以上の人にも有効であり、貯蓄から投資への動きを後押しするものと期待している」と、これからの時代に必要な新しいお金の循環が生まれることに期待を寄せた。

投資信託協会の松谷博司会長

投資信託協会の松谷会長は、資産を運用する立場から、「一人ひとりのライフプランに合わせて投資できるようになった新NISAは素晴らしい制度であると感じている。運用会社としては、大切なお金の投資先である企業が世の中の課題を解決すると共に、企業成長につなげていくという重要な役割を担っており、その責任の重さを痛感している」と、長期投資となるだけに運用する側の責任も大きいと強調した。

「資産所得倍増プラン」の今後の展開について木原内閣官房副長官は、「『資産所得倍増プラン』では、NISA口座数と累計買付額を今後5年間で倍増させ、最終的には運用収益の倍増を目指す。NISA制度についても、今回の抜本的拡充・恒久化で終わりにするのではなく、常に見直しを行い、人生100年時代に向けて長期スパンで取り組める制度として育てていく」と、NISA制度を継続してバージョンアップさせていく考えを示した。

左から:コモンズ投信の渋澤健会長、木原誠二内閣官房副長官、中島淳一金融庁長官、野村證券の永井浩二会長、投資信託協会の松谷博司会長

中島金融庁長官は、「今回のNISA制度の拡充は、証券会社や投信会社、投信商品を販売する銀行にとっても大きなビジネスチャンスになると思っている。各事業者には、それぞれの強みを生かして、質の良いサービスを競い合って提供してほしい。NISA制度は、国民の預けた資産が将来的に増えることが目的なので、これを実現するためのビジネス展開に期待している」と、資産所得倍増に向けて高品質の金融商品が提供されることを願っていた。

野村證券の永井会長は、「NISA制度は、認知度は高まってきているものの、実際に利用している人は少ないのが実状だ。これには、投資に対して『難しそう』『わからない』『損したら怖い』など、正しい理解が進んでいないことが背景にある。来年には公的な機関として金融経済教育推進機構が設立されるが、民間の証券会社としても金融経済教育に力を入れ、貯蓄から投資への動きを促進していく」と、民間側からも投資に関する知識の底上げを図っていく必要があると話していた。

左から:日本取引所グループの清田瞭取締役兼代表執行役グループCEO、日本証券業協会の森田敏夫会長、中島淳一金融庁長官、投資信託協会の松谷博司会長

投資信託協会の松谷会長は、「投資信託を始める際には、あまり難しく考えずに、まずはスタートすることが重要だと考えている。特に、つみたてNISAは長期投資に適した商品なので、少額から無理のない範囲で始めて、慣れてきた段階で『大人の投資』を意識してもらいたい。投資信託は個人の投資を、未来を変える力に変換できる仕組みであると思っている。長く投資を続けるほど資産が形成でき、住んでいる社会もよくなって、リターンも増えるという好循環につながる。自分のことだけなく、社会の変革に寄与することも考えた、ちょっとかっこいい『大人の投資』を広めていきたい」と、投資のイメージを変える取り組みにも力を注いでいくと訴えた。

読売巨人軍前監督の高橋由伸氏

第2部では、特別ゲストに読売巨人軍前監督の高橋由伸氏とフリーアナウンサーの馬場典子氏を迎え、日本証券業協会の森田敏夫会長を交えたトークセッションが行われた。トークセッションでは、高橋氏と馬場氏が証券投資初心者として、森田会長から資産形成の重要性やNISA制度について学んだ。

フリーアナウンサーの馬場典子氏

高橋氏は、「最近、NISAについて耳にすることが多く気にはなっているが、なかなか詳しい内容がわからず、一歩が踏み出せないままでいる」とのこと。馬場氏は、「私もNISAを始めなければと思っていながら、まだ利用するには至っていない。個人的には、新しいNISA制度は、現行制度と併用できる点が魅力だと感じている。また、売却した場合の非課税保有限度額が復活するのも画期的なことだと思っている」と、NISA制度に高い関心を示していた。

日本証券業協会の森田敏夫会長

そんな二人に森田会長は、「証券投資初心者がNISAを始める際には、新制度の『つみたて投資枠』の利用を推奨している。つみたて投資は、同じ投資信託を毎月同金額コツコツ継続していく仕組みで、中長期に運用するとパフォーマンスが上がりやすいといわれている。また、自動的に投資が行われるので、忙しい人でも続けやすい制度になっている」とアドバイスしてくれた。

左から:フリーアナウンサーの馬場典子氏、読売巨人軍前監督の高橋由伸氏、日本証券業協会の森田敏夫会長

高橋氏は、「プロ野球選手は成績によって収入が左右され、現役時代も短いため、引退後の不安を抱えながらプレーしている選手も多い。それだけに、若いうちから投資によって資産形成をしておくことは非常に重要だと思う。私自身、今日学んだことを後輩に伝えていくと共に、プロ野球界全体としても入団当初から投資に関する教育を行っていく必要があると感じた」と、厳しいプロの世界こそNISAを利用した安定的な資産形成が必要なのではないかと話していた。

日本証券業協会=https://www.jsda.or.jp/
日本取引所グループ=https://www.jpx.co.jp/
投資信託協会=https://www.toushin.or.jp/


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