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JMAM、和歌山県田辺市の企業と地域課題に取り組むラーニングワーケーション事業「ことこらぼオンライン」の成果発表会を開催

2021.09.08 20:30 更新

 日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM(ジェイマム))は、9月7日に、首都圏企業×地元事業家のコラボで地域課題の解決に取り組む、次世代リーダー育成プログラム「ことこらぼオンライン」の参加者による成果発表会を開催した。「ことこらぼオンライン」は、多様な業種・職種の人々がチームを組み、和歌山県の地域課題を解決する取り組みをしている地元の事業家と課題解決の企画を練り上げる4ヵ月のプロジェクト型プログラムとなる。今期のプログラムには、国内大手企業8社から12名の若手リーダーが参加。「梅」を活用した新商品開発、日本酒「關の葵 交」の販路拡大、「梅」製品のマーケティングというテーマで、3つのチームにわかれ、グループワークと全体共有を繰り返しながら、考えを深めた。そして今回、その成果を和歌山県田辺市の行政担当者や地元事業家などの関係者に対して発表した。

 「越境学習とは、境界を越える、往来する学び。『ことこらぼ』では、越境学習によって、日常から他日常に飛び込むことで、地域の生の課題に向き合い、ひとりの実践者となって解決する活動過程で学びを得るプログラム。ケーススタディやシミュレーションではなく、生きた課題が教材となっていることが特徴となっている」と、発表会の進行を努めるJMAM 新事業開発部の川村泰朗部長が「ことこらぼ」について紹介する。「都市圏の企業人は地域の当事者と共に、課題解決への取り組みを通じて、双方のクリエイティビティを刺激し、イノベーションのきっかけになることを目的としている」と、地域課題をテーマに当事者と共に事業成長のための課題解決に取り組むプログラムなのだと説明した。

 「次世代リーダー育成プログラム『ことこらぼオンライン』とは、“越境”して学ぶ4ヵ月のプロジェクト。多様な業種・職種の人々とチームを組み、社会課題に立ち向かう実践家のビジネスを共に推進する。ケースワークではない、生きた事例に取り組む中で、次世代リーダーとしての素質を実践から学んでいく」と、4ヵ月間で何にどこまで取り組むのか合意形成を行い、自身のスキルやノウハウを活かしながら、検討を深めて、企画立案で終わらせず、その後の施策実行に向けた第一歩を実践し、地域関係者へのプレゼンを行うのだという。

 「越境学習の地に和歌山県田辺市を選んだ背景には、世界遺産『熊野古道』や世界農業遺産をはじめとする多くの地域資源に恵まれている。その一方で、少子高齢化にともない、空き家や空き店舗が増加するとともに、地域の担い手が不足するなどの地域課題を抱えている。田辺市では、こうした地域資源の活用と地域課題の解決に向け、企業の営利活動との共通項を探し出し、本業を生かしてできるビジネスモデルの創出、ビジネスリーダーの育成を目指した『たなべ未来創造塾』を平成28年度に創設、これまで5期にわたり59名もの修了生を輩出してきた」と、自社の課題と地域社会の課題を同時に解決するビジネスモデルを創出してきたのだと力説する。「『ことこらぼオンライン』では、たなべ未来創造塾メンバーの事業推進を通じて、机上の空論で終わらない“生きた”地域課題解決を実践する」と、社会課題の最前線で行われる最先端の取り組みについて教えてくれた。

 「今回のテーマはまず、新開発地酒のマーケティング。地域資源(熊野米<食用>)を使用し、地元の人と関わりながらブランディングした日本酒『關の葵 交』(せきのあおい こう)の販路開拓を地域事業者と共に取り組む」と、地域実践家 堀忠商店の堀将和氏が現在抱える課題解決に取り組む。「もう一つは、世界農業遺産に『みなべ・田辺の梅システム』として認定された梅づくりを取り巻く地域課題の解決に向け、農作物へ新たな付加価値をつける活動に地域事業者と共に取り組む」と、梅をテーマに新商品・新サービスの企画・開発を行うとのこと。「地域実践家の濱田 濱田朝康氏は、梅産業の低迷や農家の後継者不足、高齢化によって、耕作放棄地が増えていることを懸念。一方で梅酒を含むリキュールの国内市場、輸出市場は共に伸びており、世界を相手に戦えることを示している。梅栽培のやりがい発信や付加価値の創出によって、地域課題の解決に挑みたい考えをもつ」と、日本の暮らしに寄り添う梅文化の創出に挑むのだという。「新開発地酒のマーケティングと梅をテーマに新商品・新サービスの企画・開発という課題から、新開発の地酒『關の葵 交』のプロモーションを考えるチーム、新しい梅商品の企画を考えるチーム、梅製品のプロモーションを考えるチーム、に分かれて4ヵ月間、課題解決の企画を練り上げた」と、プロジェクトの概要について説明した。

 各チームの成果発表を前に、和歌山県企画部の横山達伸部長が挨拶した。「県の人口は減少傾向にあり、年間1万人の人口が流出している。特に若者の首都圏や近畿圏への流出が顕著なため、県内の産業は脆弱化している」と、地元産業を強化することで、人口の流出に歯止めを掛けたいと訴える。「しかし、こうした課題解決には、地元の知見だけでは限界がある。そこで、都市部の人々の知恵を借りながら、魅力ある県へと発展させていくことができればと考えている」と、「ことこらぼオンライン」を通じて、都市部の人々の新たな発想や考えを吸収していきたいと述べていた。

 そして、各チームが課題解決の企画を発表した。まず、新しい梅商品の企画を考えるチームが発表。濱田の梅製品を試食していく中で、「石神の恵みの数だけ幸せ」というスローガンを掲げた。このスローガンを旗印に、現状分析や消費者状況などを考察。濱田の強みを分析した結果、素材の価値を活かした新しい商品で、梅の魅力を発信するべく、梅の加工品に注目したのだという。濱田が製造する梅酒では、つけた梅を廃棄しており、これを商品化することで、無駄をなくすことにもつながると考えたとのこと。

 梅酒づくりに使われた梅を商品として展開するために、市場を分析した結果、ドライフルーツに大きなポテンシャルがあることを見出し、「紀州たなべ南高梅 極みドライフルーツ(香壌栽培)」を試作した。香壌栽培とは、和歌山県の特別栽培基準に沿って肥料を与え、完熟の状態に仕上げた濱田独自の栽培方法。その完熟梅を、和三盆を使用した梅酒につけた後、乾燥させた。素朴な甘さと半生の果肉が際立つ、飽きのこないおやつに仕上がった。濱田では、売上の主力である梅干しの需要が減少。これを補う商品として「紀州たなべ南高梅 極みドライフルーツ(香壌栽培)」を育成していくとまとめていた。

 「關の葵 交」のプロモーション考えるチームは、3C分析等を行い、多くの人に「關の葵 交」を飲んでもらうべく、「熊野に訪れる観光客」をターゲットに想定。田辺市の宿泊施設等にヒアリングを行い、日本人観光客はシニア層が多いという意見を得たことから、熊野に訪れる40~60代の観光客をターゲットに販売戦略を検討することにした。数ある土産品の中で、「關の葵 交」を選んでもらうために、着目したのが熊野の森再生事業。堀忠商店では、熊野本宮大社の境内で拾ったどんぐり(ウバメガシ)を専用コンテナで2年間育てて苗木にし、熊野の山に植える取り組みを行っている。これを「關の葵 交」とリンクさせるべく、販売した「關の葵 交」1本につき、どんぐり1個を育てて熊野の山に帰すというアプローチを行うことにした。

 そして、この取り組みを伝えるために、化粧箱、B5サイズのPOP、シールを刷新。「關の葵 交」を飲めば熊野の力になれること、「關の葵 交」はSDGsに貢献する、ここでしか飲めないお酒であることを伝えるためのキービジュアルを作成し、検討中の3案を公開した。さらに、「關の葵 交」を告知するためのサイトリニューアルを提案。リニューアルでは、誕生3年後の内容に最新化するだけでなく、買い手側の視点や価値を追記。さらには、強みであり、差別化が図れる、ストーリー性・SDGsの観点を強調するなどアップデートを図ることにした。またSNSを活用した販促を行うことも発表した。

 梅製品のプロモーションを考えるチームは、濱田の企業分析を経て、主戦とする市場の現状を分析した結果、EC・通販の購買層をターゲットに、ギフト需要を創出するマーケティングを提案。濱田では、梅ギフト検索者に、リスニング広告で商品を提案しているのだが、商品画像だけでは、チャンスロスが発生していることが明らかとなった。このロスをなくすべく、梅ギフト診断を開発。梅ギフト診断では、他の人に拡散したくなるような面白い質問を数問回答してもらった後、診断結果を出力し、診断結果に沿ったおすすめ商品を紹介することで、商品購入に誘導するツールとなっている。梅診断ギフトは、売上アップや新商品販促に貢献するだけでなく、梅の認知度や活性化にもつなげるツールとしても開発。地域への貢献にもつなげていくという。この梅ギフト診断の導入で、濱田のサイト訪問者を10%引き上げたい考えを示した。

 最後に、田辺市商工観光部の丸山勝司部長は、「コロナ禍ということもあり、4ヵ月間のプロジェクトをすべてオンラインで行い、苦労も多かったものと推察される。それでも課題に向き合い、アイデアを持ち寄りながら素晴らしいプレゼンテーションを聞くことができた」と、3チームとも優れた発表であったと紹介する。「参加者たちの濱田の梅および堀商店の『關の葵 交』への愛も感じられた」と、田辺市の製品に惚れ込んでくれたことに感謝している様子。「新型コロナウイルス感染症が落ち着いた暁には、ぜひ田辺市に来てもらいたい。そして、梅酒で乾杯し、『關の葵 交』で歓談、焼酎お湯割りに梅干しを入れて、カラオケを楽しみたい」と、田辺市の特産品でもてなしたいと語っていた。

日本能率協会マネジメントセンター=https://www.jmam.co.jp/
JMAMのラーニングワーケーション「ことこらぼ」=https://hatarakikata.design/koto-collabo/


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