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日本ロレアル、第14回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」の授賞式を開催、物理科学分野と生命科学分野で4名の若手女性科学者を表彰

2019.07.05 18:54 更新

 日本ロレアルは、日本ユネスコ国内委員会と共同で推進する2019年度第14回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」の受賞者発表および授賞式を、フランス大使公邸で7月4日に開催した。「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」は、日本ロレアルが日本ユネスコ国内委員会との協力のもと、日本の若手女性科学者が研究活動を継続できるよう奨励することを目的として推進しているもの。今回は、物理科学分野で京都大学大学院 理学研究科 科学専攻の藤森詩織さんと東北大学大学院 工学研究科 化学工学専攻の渡部花奈子さん、生命科学分野で神戸大学大学院 農学研究科 生命機能科学専攻の岡田萌子さんと甲南大学 自然科学研究科 生体調節学の岡畑美咲さんの計4名が受賞し、表彰が行われた。

 「『ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞』の授賞式がフランス大使公邸で開催されるのは、今回で4回目となる。同賞では毎年、物質科学または生命科学の分野において顕著な功績を挙げた若手の女性科学者を表彰している」と、ローラン・ピック駐日フランス大使が挨拶。「今、世界は多種多様な課題を抱えており、課題解決のためには、技術革新や社会問題、環境問題の中に科学を取り入れることが重要であると考えている。そして、その中で女性の科学者が活躍することで、様々な課題に対する解決策を見出すことができると確信している。今後も、科学分野における国内外のプロジェクトに、多くの女性が参加し、活躍できるよう奨励していきたい」と、科学分野でのさらなる女性の活躍に期待を寄せていた。

 続いて、日本ロレアルのジェローム・ブリュア社長が挨拶した。「ロレアルでは、世界で約4000名の科学者を擁しており、積極的に女性科学者の登用を進めている。そして、ユネスコと協力し、『ロレアル-ユネスコ女性科学者賞』を通じて、女性科学者の地位向上を支援してきた」と、ロレアルのグローバルにおける女性科学者支援の取り組みについて紹介。「『ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞』は、今年で14回目を迎えるが、今回で受賞者の総数は55名に達した。この賞を受賞した日本の女性科学者の多くは、国内にとどまらず世界で活躍している」と、日本から世界へ羽ばたく女性科学者を輩出しているのだと胸を張る。「今回の日本奨励賞を受賞した4名にも、今後さらに活躍の場を広げ、世界で輝いていってほしい。そして、このことが、若い女性が科学の道へと進むきっかけになることを願っている」と、次世代の女性科学者の育成にもつなげていきたいと述べた。

 次に、2019年「ロレアル-ユネスコ女性科学者賞」を受賞した、自然科学研究機構分子科学研究所所長、東京大学名誉教授、日本化学会会長の川合眞紀氏が挨拶。「私は『ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞』の第1回目から、物質科学分野の選考委員会を務めてきた。毎年、素晴らしい受賞者を送り出せていることは、私を含め選考委員会全員の誇りになっている」と、日本奨励賞の選考委員として、長年、女性科学者の躍進を見守ってきたとのこと。「今年の受賞者にも、明るい未来が拓かれていると確信している。今後、研究の中で困難なことにも直面すると思うが、前向きに、あきらめずに続けていくことで自ずと道は開かれていくはず。自分を信じて、選んだ道を進んでほしい」と、受賞者にエールを送っていた。

 そして、第14回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」の授賞式が行われ、物理科学分野では、京都大学大学院 理学研究科 科学専攻(現:産業技術総合研究所 触媒化学融合研究センター 特別研究員)の藤森詩織さんと東北大学大学院 工学研究科 化学工学専攻(現:東北大学大学院 工学研究科 化学工学専攻 助教)の渡部花奈子さん、生命科学分野では、神戸大学大学院 農学研究科 生命機能科学専攻の岡田萌子さんと甲南大学 自然科学研究科 生体調節学の岡畑美咲さんの計4名が表彰された。

 藤森さんは、世界で初めてベンゼンのアニオンの炭素を重い元素に置き換えた「重いフェニルアニオン」の合成と性質を解明したことで、物理科学分野における日本奨励賞を受賞したという。「今回、3回目の応募で受賞することができた。私の研究分野は基礎研究なので、大勢の人に知ってもらうのが難しいのが実状だった。この賞を受賞したことで、専門外の科学者や一般の人にも私の研究内容を知ってもらえたらうれしい。また、私の研究室では女性が数名しかいないので、これをきっかけに若い世代の女性が科学や基礎研究に興味を持ち、研究に取り組んでほしい」と、基礎研究に携わる女性科学者がさらに増えることを願っていた。

 渡部さんは、世界で初めて外部刺激により構造が自在に変化する新しい微粒子材料を開発したことで、物理科学分野での日本奨励賞を受賞した。「今回、卵のような形をした卵型微粒子を開発し、これを集めた新しい材料構造を提案した。今後は、この材料構造の実用化を目指してチャレンジを続けていく。また、自分の研究に没頭するだけでなく、次世代の研究者を育成することにもフォーカスしていく。現在、学部にいる学生を教えているのだが、みんな純粋で好奇心旺盛で、教えることに楽しみを感じている」と、教育者としても科学分野の発展に貢献していきたいと話していた。

 岡田さんは、野生コムギとマカロニコムギの雑種が育たない原因遺伝子の特定と機能を解明したことで、生命科学分野において日本奨励賞の受賞となった。「コムギのDNA情報は約15億といわれ、これは地球5周分に相当する情報量となる。その中で、私が研究対象としている野生コムギは、DNAの文字列の解読も始まっていないのが現状で、ほとんど研究が進んでいなかった。今回の私の研究成果を通して、野生コムギの良さが広く使われるようになり、最終的には食糧危機に対抗できる『スーパーコムギ』を育成したい」と、未知の部分が多いコムギ研究の第一人者になるべく、引き続き研究に取り組んでいくと意欲を見せていた。

 岡畑さんは、環境の酸素情報が温度受容ニューロンの神経活動を制御するメカニズムを解明したことにより、生命科学分野での日本奨励賞を受賞した。「私は、この研究中に出産を経験し、現在も育児をしながら研究を続けている。妊娠中、研究室に行けないときには、自宅で論文を執筆していた。安定期に入った頃に追加実験を行い、出産までに研究をまとめることができた。こうして、研究と出産・育児を両立できていることは、研究室のメンバーや家族の理解とサポートがあってこそと思っている。ただ、お金の面は非常に苦しいので、出産後も安心して研究を続けられるよう、社会的なフォローも必要だと感じている」と、女性科学者にとって研究と育児の両立は非常に大きな課題になっていると指摘していた。

 授賞式の後には、2019年「ロレアル-ユネスコ女性科学者賞-国際新人賞」を受賞した、名古屋大学 遺伝子実験施設 助教の野元美佳氏が挨拶した。「女性科学者の在り方は一つではなく、多様性こそが科学の進歩に寄与すると考えている。様々なかたちの女性科学者が、世界のどこかで誰かの研究をサポートし、それによって後進が生まれてくると思っている。今回、日本奨励賞を受賞した4名も、それぞれ自分らしく研究を続けていってほしい。そして、また新たな研究成果が発表されることを楽しみにしている」と、様々な分野に女性科学者の活躍が広がっていくことを期待していた。

 最後に、文部科学省大臣官房国際課長/日本ユネスコ国内委員会の奈良哲副事務総長が挨拶。「女性がイキイキと輝ける社会を作ることは、日本とユネスコにおいても重点的に推進すべき課題の一つとなっている。今回の受賞者には、中高生をはじめ、次に続く将来の女性科学者のロールモデルとなってもらえるよう、さらなる活躍を期待している」と、これから科学者を目指す女性たちの目標となる存在になってほしいと語った。

日本ロレアル=http://www.nihon-loreal.jp/
日本ユネスコ国内委員会=http://www.mext.go.jp/unesco/


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