医療最前線

クラシエ薬品、「COPDとフレイルの関係」をテーマにプレスセミナーを開催、COPD患者のフレイルに対する漢方薬の有用性など解説

2022.11.11 19:59 更新

 漢方薬を中心とした一般用医薬品と医療用医薬品を販売するクラシエ薬品は、世界各国でCOPD(慢性閉塞性肺疾患)への関心が高まる「世界COPDデー」(11月16日)に合わせて、「COPDとフレイルの関係」をテーマにしたプレスセミナーを11月2日に開催した。今回のセミナーでは、呼吸器・アレルギー領域における世界的権威である昭和大学病院 病院長 昭和大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー内科学部門 主任教授の相良博典先生が、COPDの早期介入による健康寿命の延伸の可能性や、COPDによって悪化するフレイルと漢方薬の有用性などについて講演を行った。

 「近年、日本国内における一般用・医療用漢方薬の市場規模は着実に拡大している。その中で当社は、医療用漢方製剤において唯一の1日2回タイプである『KB2スティック』をはじめ、ライフスタイルに応じた幅広いラインアップを揃えて製品展開している」と、クラシエ薬品の草柳徹哉社長が挨拶。「当社の調査によると、コロナ禍で増えている不調に対して、約3人に1人は、通院していても受診目的と異なる不調や悩みを相談できていない実態がわかった。そこで、当社のMR(医療情報担当者)は、この現状を医師に伝え、患者が潜在的に抱えている不調に対して、医師からアプローチを促し、患者に寄り添う医療を提案している」と、コロナ禍で増加する「暮らしの不調」をキーメッセージとして患者の暮らしに寄り添う医療用漢方薬を展開していると説明する。

 「高齢者医療に関する取り組みとしては、フレイル漢方薬理研究会とのタイアップにより、医療従事者向けの学術集会や疾患啓発のための市民向けセミナーを開催するなど、フレイルの疾患啓蒙に力を注いでいる」と、フレイル漢方薬理研究会と協力し、高齢者のフレイル予防を推進しているという。「また、当社の調査から、コロナ禍において、喫煙指数の高い高齢者ほど、フレイルと関連する3指標『食事量』『疲労感』『運動量』の低下した人が多いことが明らかになった。このまま悪化するとフレイルに陥る可能性がある」と、コロナ禍の影響で喫煙指数の高い高齢者におけるフレイルのリスクが高まっていると訴えた。

 続いて、昭和大学病院 病院長 昭和大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー内科学部門 主任教授の相良博典先生が、「COPDとフレイルの関係」をテーマに講演を行った。「11月16日は世界COPDデーで、COPDの世界的な組織GOLDが毎年11月第3水曜と定めている。COPDは、主要な死亡原因の一つでありながら、社会的な認知は十分とはいえない疾患である。そのため、医学会、専門医、患者団体などが協力し、世界COPDデーに向けて、COPDへの関心を高めていく活動を行っている」と、世界COPDデーの主旨について紹介。「COPDとは、主に長年の喫煙習慣などのために肺に炎症が起きる病気である。肺に炎症が起きると空気の通り道である気道や気管支が狭くなったり、気管支の先のぶどうの房状の肺胞が壊されたりして、呼吸機能が低下していく。COPDの症状は長引く咳や痰、労作時の息切れなど。これらの症状が約3ヵ月以上続いている場合は、COPDが疑われ、慢性気管支炎や肺気腫を起こすリスクがある」と、COPDとはどのような病気なのか解説してくれた。

 「COPD患者は、気流制限やエア・トラッピング、肺の過膨張によって労作時息切れを起こす。そして、活動性や運動能力の低下により骨格筋の廃用が進み、さらに労作時息切れがひどくなるという悪循環に陥る。これがQOLの低下を招き、進行すると併存症が悪化し、死に至るケースもある。実際に、身体活動レベルが低いCOPD患者ほど生存率が低いという研究結果も出ている」と、COPDの改善には身体活動性を高めることが重要なのだと指摘する。「COPDの問診に当たっては、喫煙歴、咳・痰・喘息、労作時の息切れ、風邪をひいたときの症状、呼吸器疾患の既往歴などを確認することが重要になる。また、COPDは肺固有の疾患であると共に全身性炎症性疾患でもある。COPDによる全身への影響としては、全身性炎症、フレイル、サルコペニア、栄養障害、心血管疾患、糖尿病などの併存症がある。肺に限局した肺合併症としては、肺がんや肺炎、喘息、気胸などを起こすことが多い」と、COPD患者は様々な全身併存症と肺合併症を起こすリスクが高いと説明した。

 「COPDの全身並存症で、近年注目されているのがフレイルである。フレイルは、加齢にともなう食事量や食欲の低下による慢性的な低栄養や筋肉量が減少した状態で、病気と健康の中間状態といえる。早い段階で介入すれば健常な状態に戻せるが、介入しなければ要介護になるリスクが高まる。これは漢方でいう『未病』の段階であり、ここに漢方薬を活用する意義があると考えている」と、フレイルの予防に漢方薬が重要な役割を担うのだと強調する。「フレイルの兆候となる『食欲がない』や『疲れやすくて、体力がない』等の症状の人には、不足している要素を補う漢方薬を用いる。フレイル予防に有用な漢方薬としては、『補中益気湯』と『人参養栄湯』の2つが挙げられる」とのこと。「『補中益気湯』は、疲労倦怠、食欲不振を感じる人に適している。疲れやすい、食欲がない、無気力で四肢がだるい、食後眠くなる、息切れがするなどの症状を改善する。一方、『人参養栄湯』は、強い疲労や体力低下を感じる人に適している。強い疲れや長期の入院、術後、出産後などの体力回復に効果的とされている」と、フレイルの予防におすすめの漢方薬を紹介してくれた。

「また、呼吸器症状における代表的な漢方薬としては『麦門冬湯』『麻杏甘石湯』『小青竜湯』の3つがある。『麦門冬湯』は乾いた咳、『麻杏甘石湯』はかなり激しい咳、『小青竜湯』は水のような鼻汁の書状に適している」と、COPDに関連する呼吸器症状に用いる漢方薬にも言及。「COPDの病態は多くの場合進行性であり、長期管理が必要となるため、『現状の改善』と『将来リスクの低減』の2つの管理目標を設定することが重要になる。そして、この管理目標を達成するためにはフレイルからの脱却が必須となる。フレイルを早期発見し、対策を講じることで、将来的な患者の増悪予防・死亡率低減につながると期待している」と、COPDの管理目標にはフレイルの予防が必要不可欠なのだと訴えた。

クラシエ=https://www.kracie.co.jp/


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