医療最前線

シーメンスヘルスケア、フォトンカウンティング搭載の次世代CT「NAEOTOM Alpha」導入による医療現場での変化や課題を報告

2022.08.16 18:56 更新

 シーメンスヘルスケアは、日本初(同社調べ)のフォトンカウンティング検出器を搭載した次世代CTとして1月26日に製造販売認証された「NAEOTOM Alpha(ネオトム アルファ)」の国内初号機が東海大学医学部付属病院に導入された。今回、「NAEOTOM Alpha」導入による診療の変化などについて、東海大学 医学部 画像診断学領域主任 教授の橋本順先生と、同 医学部付属病院 診療技術部 放射線技術科(CT部門)の吉田亮一係長を迎えて、8月9日にセミナーを開催した。セミナーでは、「NAEOTOM Alpha」について紹介した他、同製品を使用した診断によって、患者への最適な医療の提供と画像診断のさらなる発展が見られた点などについて発表した。

 「今年1月、東海大学医学部付属病院に『NAEOTOM Alpha』の国内初号機が導入された。そして8月には国内二号機が導入される。『NAEOTOM Alpha』の導入によって、高性能な画像診断を必要とする患者へ、迅速で適切な医療貢献が進むことを期待している。そしてこの製品のベネフィットは臨床の現場で作り出していく必要がある。それだけに東海大学医学部付属病院で使用された最新の診断情報が届けられることを嬉しく思う」と、シーメンスヘルスケア ダイアグノスティックイメージング事業本部の桜井悟郎事業本部長がセミナーを前に挨拶した。

 そして、橋本先生が「『NAEOTOM Alpha』導入による診療の変化」と題した講演を行った。「フォトンカウンティング搭載の次世代CTとは、CTの長所をさらに進化させつつ、究極の高精細を実現。MRIの特性にもせまろうとする多彩なコントラストを表現できる」と、CTとMRの機能を併せ持ったものが、フォトンカウンティング搭載の次世代CTなのだと解説する。「従来のCTでは、X線を光に変換してから電気信号に変換して検出していたが、フォトンカウンティング搭載の次世代CTでは、X線を直接電気信号に変換して検出。X線光子1つひとつのエネルギー情報が得られる」と、従来のCTとではX線の検出方法にも違いがあるという。

 「フォトンカウンティング搭載の次世代CTは、高精細な画像で、検出部に光を遮る隔壁の設置が不要となっている。また、被ばく量も大幅に低減でき、光への変換を介さないため、低ノイズ、高感度となっている。さらに、物質選択的なイメージングが可能で、X線光子のエネルギー情報を利用して特定の物質を選択的に強調あるいは除去できる」と、フォトンカウンティング搭載の次世代CTは医療現場に大きなインパクトをもたらすものだと強調する。「追加のデータ収集をせずにエネルギー情報が得られるため、被ばくの増加がないDual Energy法が可能。異なるエネルギー情報が同時に検出されて位置ずれがないため、より精度が高いDual Energy法が可能となる」と、フォトンカウンティング搭載の次世代CTのメリットについて紹介した。

 「フォトンカウンティング搭載の次世代CTでは、Dual Energy法以外にもさまざまなエネルギー情報の利用法がある」と、モノクロマティックイメージやk吸収端イメージングについても言及していた。「エネルギー情報を利用して多彩なコントラストを付けることも可能で、MRIの特性に近づくCTがフォトンカウンティング搭載の次世代CTといえる」と、40keV画像やヨードマップを使用することで腫瘍の視認性が向上するのだと教えてくれた。

 「今後使用していくことで、高精細な画像で、従来のCTの長所をさらに発展させると思われる。被ばく量の大幅な低減も期待でき、従来のCTの短所を抑えてくれる。そして、光子のエネルギー情報の利用で、MRIのような多彩なコントラスト表現の追求もできるようになる」と、フォトンカウンティング搭載の次世代CTの今後の方向性について言及した。

 次に、吉田係長が「『NAEOTOM Alpha』導入による診療の変化」について発表した。「これまで、患者が入室した際は、診療放射線技師が目視し、手作業で患者をCTにポジショニングさせていた。『NAEOTOM Alpha』では、AI技術によって開発されたFAST 3D Cameraを天井に設置。カメラが患者を立体的に捉え、最適な位置にオートポジショニングしてくれる」と、入室から検査開始までに大きな変化があったとのこと。「1回の撮影における画像出力も多種にわたり、従来に比べて低被ばくで、体幹部を1秒未満で撮影。1度の撮影で様々な情報を提供できる」と、例えば、石灰化を取り除いた画像を出すことができ、血管の狭窄度を正確に確認することができるのだと述べていた。

 「NAEOTOM Alpha」は、Siemens Healthineers(ドイツ・エアランゲン)が、半導体メーカーであるアクロラドとの15年の研究開発の末、実用化された。高齢化社会の進行と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などで日々切迫する日本の医療現場において、病気の早期発見や正確な診断、患者の負担軽減などへの貢献が期待されている。

 同製品は、Siemens Healthineersがアクロラドとともに開発した「フォトンカウンティング検出器」を搭載しているとのこと。主に被ばくを低減しつつ高分解能な画像を臨床利用できるという点で、従来のCT装置から大きなイノベーションを果たした。

 フォトンカウンティング検出器は、従来の検出器のようにX線光子を可視光に変換するのではなく、各X線光子とそのエネルギーレベルを直接検出するため、より少ない放射線量で高解像かつ有用なデータを提供することができる。また、被ばくを抑えることができるため、患者や検査を受ける人の負担を減らしつつ正確で包括的な検査が可能となる。その応用範囲は、腫瘍や心臓の診断から肺のフォローアップ検査まで、幅広く多岐にわたる。

 従来のCTでは困難であった、血流や骨を識別する精度の高い画像診断の実現によってCOVID-19感染症など増大する臨床現場の医師と患者の負担軽減が期待されている。また、「NAEOTOM Alpha」の導入でより迅速、安全、精度の高い医療実現を目指すとしている。

シーメンスヘルスケア=https://www.siemens-healthineers.com/jp


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