医療最前線

「慢性腎臓病」の早期発見・治療に向けた生活者への提案、早期発見・治療に向けて「健康診断」に着目し健診結果で見るべきポイントを解説

2022.04.08 19:18 更新

 アストラゼネカ、日本腎臓病協会、小野薬品工業は、4月6日に、「『慢性腎臓病』の早期発見・治療に向けた生活者への提案-『健康診断』結果から紐解く慢性腎臓病-」と題するメディアセミナーを開催した。同メディアセミナーでは自覚症状がほとんどない慢性腎臓病(以下、CKD)の早期発見・早期治療に向けた生活者への提案として「健康診断」に着目し、健診結果で見るべきポイントについて、川崎医科大学 副学長 腎臓・高血圧内科学 教授および日本腎臓学会 理事長、日本腎臓病協会 理事長の柏原直樹先生が講演を行った。

 「日本は総人口が減少する中で高齢化率は上昇を続けている」と柏原先生。「それにともない心不全の患者が増加。慢性透析患者と有病率も増え続けており、人工透析に係る医療費は年間総額約1.57兆円(2015年推計)となっている」と紹介する。「心腎病は、腎代替療法と血液透析療法があり、日本は世界で二番目に血液透析療法を行っている患者が多い」と、欧米では腎代替療法が主流の中、日本は血液透析療法が一般的であると解説。「腎不全患者は多くの重大合併症を有し、導入後も生命予後は必ずしも良好ではない」とのこと。「そこで、欧米では保存的腎臓療法も行われている。研究では腎代替療法と保存的腎臓療法の予後に大きな違いはみられなかった」と、療法選択の重要な情報も出てきていると述べていた。

 「こうした動きを受けて、高齢腎不全患者に対する腎代替療法の開始および見合わせの意思決定プロセスと最適な緩和医療・ケアの構築に関する研究を発足。高齢腎不全患者のための保存的腎臓療法『CKMガイド』を作ったり、セミナーを開催するなどしている」と療法選択について情報を伝える活動も行っていると教えてくれた。

 「腎機能低下とアルブミン尿・タンパク尿が心臓病、脳卒中等と関連する。そのため、尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在は明らかとなる。特に0.15g/gCr以上のタンパク尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要となる。また、GFR<60ml/分/1.73m2も重要で、いずれか、または両方3ヵ月以上持続すると、CKDと診断される」と、CKDの定義について解説。「世界的に末期腎不全による透析患者が増加しており、医療経済上も大きな問題となっている。日本の成人人口の約13%、1330万人がCKD患者である。糖尿病、高血圧などの生活習慣病と高齢化が背景因子となって発症するCKDが多い。CKDは、心血管疾患、脳卒中のリスクが高く、国民の健康を脅かしている。それだけに予防が最重要となる」と、CKD予防の重要性について語ってくれた。

 「CKDは、検尿と血液検査によるクレアチニン値で発見することができる」とのこと。「血糖の管理や減塩による血圧管理、肥満を避けるなど体重適正化、禁煙、脂質管理、適正な食事がCKDの予防、重症化抑制につながる」と、生活習慣の見直しが大切なのだと力説する。「日本の10~13%、1330万人がCKD患者であるが、糖尿病、高血圧などの生活習慣病と加齢が要因とされている。腎不全、脳卒中、心血管疾患のリスクが高く、寝たきりの原因となり、国民の健康を脅かしている。透析患者が増加しており、医療経済上も大きな負荷となっている。懸命に働いてきた市民の晩年に訪れる不条理もある」と、CKDの予防がなぜ重要なのかを説いてくれた。

 「このため、健康長寿実現におけるCKDの重要性を啓発していく。腎臓病は無症状な点も知らしめる必要がある。そして、検尿異常、eGFR値を軽視しないことも大切だ。かかりつけ医受診を勧奨したり、保健指導の実施を行うなど検診も重要となる。さらに、全国でかかりつけ医と専門医の連携体制を構築していく必要もある」と、CKD対策の課題について言及してくれた。

 「厚生労働省では、CKDを早期に発見・診断し、良質で最適な治療を実施・継続する。CKD重症化予防を徹底する。CKD患者(透析、腎移植患者を含む)のQOLの維持向上を図ることを目標に掲げている」と、腎疾患対策のさらなる推進のために指針を掲げているとのこと。「内閣府においても、経済財政運営と改革の基本方針2020において、慢性腎臓病の予防・重症化予防を多職種連携によって一層推進するという一文もある」と、CKD重症化予防の重要性を訴えているという。「日本腎臓病協会においても、全国各地域でCKD普及・啓発活動を行い、診療連携(かかりつけ医・専門医・多職種)、行政との連携体制の構築の他、各地に医師会、行政と連携可能な核(司令塔)を構築している。さらに、厚生労働省政策研究班と協議し、各地の普及・啓発活動として、市民公開講座やセミナー等を能動的に支援している」と、CKD対策の普及啓発、医療提供体制の整備を行っていると説明していた。

 「CKD診療(重症化予防とQOL維持)には、生活・服薬・栄養を含む総合的な療養指導を継続的に行っていく必要がある。CKD診療においては、多職種によるチーム医療、医療連携が鍵となる。しかし、CKD療養指導を担うメディカルスタッフが不足している。CKD診療目標は治療ガイドに示されているが、十分に達成できていない」と課題を述べる。「CKD診療を普及させるためには、CKD療養指導に関する職種横断的な基本知識を共有し、チーム医療と医療連携を正しく実践できるメディカルスタッフを幅広く養成する必要がある」と、腎臓病療養指導士の設置を検討していく必要性もあると教えてくれた。

アストラゼネカ=https://www.astrazeneca.co.jp/
日本腎臓病協会=https://j-ka.or.jp/
小野薬品工業=https://www.ono.co.jp/


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