医療最前線

ベビーカレンダー、信頼性の高い妊娠・出産関連情報を毎日提供、国内最大級の育児支援サイトに成長した秘訣や今後の展望を安田啓司社長に聞く

2022.04.05 19:22 更新

 日本では、出生数が年々減少傾向にあり、少子化が進んでいる一方で、ベビー関連の市場規模は落ち込むことなく、ほぼ横ばいで推移している。この背景には、女性の社会進出やメニーポケット(叔父・叔母・親戚からの支出)などで子ども1人あたりにかける費用が増加していることが挙げられ、最近ではITで育児を支援する「ベビーテック」にも注目が集まっている。こうした中、ここ数年で急成長を遂げているのが、妊娠・出産・育児情報サイト「ベビーカレンダー」だ。昨年12月には、月間PV(ページビュー)数が2億4000万PV、月間UU(ユニークユーザー)数は1000万UUを突破し、国内最大級の育児支援サイトとなっている。そこで今回、ベビーカレンダーの安田啓司社長に、「ベビーカレンダー」の急成長の要因やサービス概要、今後の展望について聞いた。

 「当社は2015年に、クックパッドが運営していた妊娠・出産サイト『クックパッドベビー』を譲り受け、メディア事業を開始した。その後、2017年にクックパッドから事業譲渡(MBO)を実施。社名をベビーカレンダーに変更すると共に、サイト名も『ベビーカレンダー』とし、妊娠・出産・育児向け情報サイトとしてサービスをリスタートした」と、「ベビーカレンダー」が誕生した経緯を語る安田社長。「当時、インターネット上には、口コミや医学的根拠の不確かな妊娠・出産関連情報が多く氾濫し、正しい情報を判断できにくい状況だった。2016年には、医療情報サイト『WELQ(ウェルク)』が、盗用した記事や不正確な内容の記事を乱造していたことが発覚し、社会問題にもなった。私自身、この状況に危機感を覚え、妊娠・出産に関与しているママ・パパに向けて、正しい情報を発信し続けるネットメディアが必要だと強く感じ、『ベビーカレンダー』の立ち上げを決意した」と、信頼性の高い妊娠・出産関連情報を提供するWEBサイトが求められていたのだと強調する。

 「『ベビーカレンダー』では、“赤ちゃんの笑顔でいっぱいに”をコンセプトに、妊娠してからおよそ1歳までの子どもを持つママと家族、その周りの人々をサポートすることを目指し、サービスやコンテンツを大幅に刷新した。しかし、WELQ騒動の余波は予想以上に大きく、検索サービスから医療関連情報サイト全体の評価が下げられたこともあり、なかなかPVが伸びず、苦戦を強いられた」と、立ち上げは思うようにいかなかったと明かす。「検索サービスの評価は変えようがないので、とにかくママが安心できる正しい妊娠・出産関連情報を提供し続けた。その結果、2018年頃から『ベビーカレンダー』の記事が検索上位に出るようになってきた。そこで、これをチャンスと捉えて、月間の記事制作本数を100本から200本に倍増したところ、PV数とUU数が右肩上がりに伸び始めた。その後も記事制作本数を増やすと共に、さまざまなコンテンツをリリース。直近までのCAGR(年平均成長率)は月間PV数の推移で150.6%、月間UU数の推移で85.4%と飛躍的に成長し、2021年には2億PV、1000万UUに到達した。会員登録数も年間約40万人が登録している」と、正確かつ信頼性の高い情報を地道に発信し続けたことが、現在の成長につながったのだと力説した。

 「『ベビーカレンダー』のニュースコーナーでは、赤ちゃんに関する話題のニュースを提供する他、ママたちのリアルな体験談やマンガ記事、専門家による解説記事、食・レシピ・ライフスタイルなど、すぐに試せるお役立ち情報を毎日配信している。現在は、月間で約750本の記事を制作しており、累計制作本数は約1万8000本に達している」とのこと。「『ベビーカレンダー』の名付けの元となる基本機能『日めくり・医療情報』では、妊娠から出産までの約280日と、子どもが1歳になるまでの365日の計645日、その日ごとに必要な情報を厳選して提供する。医療専門家による妊娠出産育児Q&Aや、医療専門家が監修している基礎知識、ニュースなどを日替わりで届けている。また、『妊娠食・離乳食レシピ』コーナーでは、管理栄養士監修による『あんしん基準』を独自で作成し、その基準を満たすレシピのみを掲載している」と、妊娠・出産から産後、育児までをトータルにサポートするコンテンツを揃えていると紹介した。

 「編集部には、雑誌編集経験者を中心とした約20名が在籍し、雑誌クオリティの記事を制作している。また、医師や助産師、管理栄養士、保育士、子育てアドバイザーなど、幅広い分野の専門家が約40名所属。名前と顔、所属までを明示した上で情報を提供しており、医療情報が含まれるコンテンツはすべて専門家が監修している。医療制度に変更があった場合には、すべてのコンテンツを見直し、最新情報に更新している」と、徹底して信頼性の高いコンテンツ制作に取り組んでいるのだと力を込める。「『ベビーカレンダー』のサイトでは、各分野の専門家への無料相談サービスも用意している。初めての出産・育児では、産婦人科の先生に聞くほどでもないが、ちょっと気になることがたくさん出てくる。また、聞きたいことがあっても、診察の時にうまく聞けないママも多い。こうしたママたちの悩みを解消するべく、50名以上の専門家と契約し、無料で何度でもチャット形式で気軽に相談できるようにした」と、専門家への無料相談サービスもユーザーから高い評価を得ているとアピールした。

 「ベビーカレンダー」を中核としたメディア事業の急成長にともない、同社の業績も好調に推移。昨年3月には東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たし、2021年度の売上高は10億4200万円(前年比117%)まで拡大している。この好調な売上高を支える基盤となっている事業が、産婦人科向け事業であると安田社長は話す。「産婦人科向け事業では、少子化により患者数が減少する中で、産婦人科施設が抱える『集患』の対策と、『業務効率化』の課題をインターネット技術を活用して解決する。妊娠時の産婦人科選びから通院期、入院期、産後まで、すべての局面をワンストップで支援するサービスを提供している」と、産婦人科のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進にも力を注いでいると述べた。

 「産婦人科向け事業の主なサービスとしては、産院向けデジタル情報提供サービス『ベビーパッドシリーズ』を展開しており、全国460院以上に導入実績を持っている。従来の産婦人科では、先生が患者一人ひとりに個別で対応する必要があったため、業務負荷が大きかった。そこで『ベビーパッドシリーズ』では、妊婦健診での通院時や入院時に、産婦人科から患者に伝えたい情報を個別にカスタマイズしてコンテンツを作成し、インターネット上で提供する。病院案内や問診票、授乳表など、今まで紙で管理していた書類をデジタル化することで、ペーパーレス化を図ると共に業務効率化を実現する」と、「ベビーパッドシリーズ」のサービス概要について紹介した。

 「動画コンテンツも豊富に用意しており、沐浴指導や授乳の仕方、通院・入院時の準備などのオリジナル指導動画を約100本提供し、患者のセルフスタディをサポートする。また、通院時に超音波エコーで撮影した胎児の動画を閲覧できる『エコー動画館』や、産まれたばかりの赤ちゃんの動画や画像を閲覧できる『おぎゃー動画館/写真館』のサービスを展開。特に『おぎゃー動画館/写真館』は、コロナ禍で分娩室での立ち会い出産ができない状況の中で、利用者から好評を得ている」と、動画コンテンツが充実している点も「ベビーパッドシリーズ」の魅力であるという。「さらに今後は、分娩シーンや出産直後の赤ちゃんをライブ撮影し、家族がリアルタイムに喜びを共有できる『赤ちゃんカメラ』のリリースを予定しており、現在テストを実施している」と、新たに提供する動画サービスについても教えてくれた。

 この他に同社では、3つ目の事業の柱としてWebマーケティング事業にも取り組んでいる。Webマーケティング事業では、総合病院をはじめとする医療施設を中心に、Webサイト制作、SNS広告、ロゴ・キャラクター制作、またグラフィックデザインの制作など、多角的なWebマーケティングのサポートを通じて、さまざまな経営課題を解決するソリューションをワンストップで提供している。

 今後の展開について安田社長は、「『ベビーカレンダー』のPV数とUU数を2倍、3倍と増やし、妊娠・出産・育児領域でのさらなる成長を目指していく。そのために、『ベビーカレンダー』のコンテンツを拡充し、もっと役立つサイトに進化させていく。新たなコンテンツとしては、今年中にユーザー投稿型のコーナーをオープンする計画だ。例えば、同じ誕生日の赤ちゃんを持つママが集まり情報交換するなど、会員同士のコミュニティの場を提供していく」と、「ベビーカレンダー」のコンテンツをさらに充実させていくと意気込みを語る。「また、『ベビーカレンダー』で培ったノウハウを生かし、次のフェーズでは、女性のライフステージにおける課題を解決する領域に事業を拡大する。現在、生理情報サイト『ムーンカレンダー』、アンチエイジング情報サイト『ウーマンカレンダー』、介護情報サイト『介護カレンダー』を立ち上げており、これらのサイトを『ベビーカレンダー』と同規模まで持っていきたい」と、妊娠・出産・育児だけでなく、女性の一生をサポートする企業へと事業領域を広げていく考えを示した。「長期目標としては、性別・年代を問わず、すべての生活者に向けて、人生の節目に後悔しない笑顔を提供する企業を目指していく」と、多様化が進む未来を見据え、将来のビジネス展望を語った。

ベビーカレンダー=https://corp.baby-calendar.jp/


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