医療最前線

モデルナ、新型コロナウイルス感染症ワクチン3回目追加接種の必要性を解説、第7波を見据えたワクチン戦略の重要性も紹介

2022.03.14 18:52 更新

 メッセンジャーRNA(以下、mRNA)による医薬品やワクチンのパイオニア、モデルナ・ジャパンは3月11日、直近の新型コロナウイルス感染症の状況や同社の取り組みについて、より深く理解してもらうべく、メディアセミナーを開催した。同セミナーでは、国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授である和田耕治先生が、国の「新型コロナウイルスの専門家会合」での議論等を踏まえ、今後の春の見通しや、感染再拡大を見据えたワクチン3回目接種の必要性、Long COVIDリスクなど、最新情報について講演を行った。また、モデルナ・ジャパン 鈴木蘭美社長が、mRNA技術の革新性やパイプライン等について説明した。

 「当社は、米国モデルナ社が持つ新薬のパイプラインを日本にいち早く提供できるよう、昨年設立された。また日本においてもmRNAの新薬を迅速に開発し、さまざまな病の治療や予防を実現することを使命としている。米国モデルナ社が誇るmRNA技術を通して築く新薬パイプラインは、新型コロナウイルス感染症ワクチンを含む感染症、がん、免疫疾患、循環器疾患、希少疾患など多岐にわたる。より多くの人々の健康を守り、一刻も早く患者の命を救うために、たゆまない努力を続けていく」と、医学博士でもある鈴木社長が挨拶。「当社の使命を実現するために、またその過程において、日本の優れた研究や医療を世界に向けて発信していく。日本のイノベーションが、米国モデルナ社とのパートナーシップを通じて世界で開花し、mRNAによるイノベーションを推進しヘルスサイエンスの発展に寄与することを願っている」と、日本の人々の健康に貢献するべく、様々な発信を行っていくと意気込む。

 「当社は、患者のために革新的な次世代型の新薬を生み出し、mRNAサイエンスの約束を果たすことをミッションに掲げ、新型コロナウイルス感染症ワクチンを開発してきた」と、世界に新型コロナウイルス感染症ワクチンを供給してきたと力説する。「流行当初の世界的流行期では、ハイリスク群を守ることに最も重きを置き、大部分が野生株に対するワクチンを開発してきた。昨年から今年の変異株期では、さまざまな変異株による感染の抑制だけでなく、スピードと順応力が極めて重要であった。そしてこれから迎える風土病期では、ハイリスク群の免疫低下に対する季節ごとの予防が重要で、多価ワクチンによる広範な変異株対策を行う必要がある」と、これからは季節ごとの波に対処していかなければならないと訴える。

 「米国モデルナ社製新型コロナウイルス感染症ワクチン『スパイクバックス』の1、2回目接種後は、リアルワールドで高い効果を示している」と、ワクチン接種の重要性を知らしめることができたとのこと。「リアルワールドでのエビデンスから、有効成分量を50μgにした追加接種用ワクチンはオミクロン株感染による重症化(入院)予防の効果を示しているが、抗体価は接種後6ヵ月程度で減衰してしまう」と、現在の追加接種の効果について紹介する。「今年秋頃に予想される追加接種では、全世界的にオミクロン株だけでなく、さらなる変異株にも対応できるようなワクチン開発が必要と考えている」と、4回目の接種では未知の変異株にも対応しうるワクチン開発が求められているのだと述べる。

 「そこで、今年秋頃に予想される追加接種は、変異の多様性を反映し、シーズン中(9月~2月)の予防効果を高めるために、6ヵ月以上の中和抗体価持続を目指す必要がある。米国モデルナ社は、先行的に研究した2価候補のデータを元にVOCに対する抗体価の持続性向上を示唆するオミクロン株用を含む2価追加接種ワクチンを開発している」と、オミクロン株以降に備えた準備も進めているとのこと。「WHOとCEPIによって最大の公衆衛生リスクとして特定されている15種類の病原体を対象とするワクチンについて2025年までに臨床試験を開始する。また、世界中の研究者に新たな協力の枠組であるmRNAアクセスの提供を開始する。研究者はモデルナのmRNA技術を活用し、新たに出現した、または既存の顧みられない感染症に関する研究をそれぞれの研究室で進めることが可能になる。92の低~中所得国を対象とするGavi COVAX AMCにおいて、新型コロナウイルス関連特許の開放を拡大。アフリカ大陸で初のmRNA製造施設を設立するため、ケニア共和国政府と覚書を締結した」と、グローバルな公衆衛生戦略についても語ってくれた。

 「新たなmRNA医薬品を創る時、大半の場合に唯一必要なのはコーディング領域の変更となる。コーディング領域とは、どのようなタンパク質を合成するべきかリボソームに指示を出す、遺伝子配列そのもの。従って、当社ではmRNA新薬をソフトウェアに例えている。また、ひとつのmRNA新薬の中に複数のタンパク質を合成する遺伝子配列を組み入れることも可能となっている」と、mRNA新薬について言及。「当社の技術基盤は柔軟だ。そしてmRNAはタンパク質の合成において根本的な役割を果たしている。このため、当社はさまざまな疾患の治療や予防につながるmRNAの新薬候補を創出することができる」と訴えた。「まず、他の呼吸器系疾患や免疫腫瘍、循環器疾患、自己免疫疾患、希少疾患などを含む計44の新薬開発プロジェクトが進行中となっている。また、18歳未満を対象にした新型コロナウイルス感染症用ワクチンを開発。変異株への耐用性を高めた追加接種用の2価ワクチンを開発している」と説明する。「サイトメガロウイルス(CMV)感染症ワクチン、MSDと共同開発のがんに対する治療薬、アストラゼネカと共同開発の心臓発作時の損傷を防ぐ新薬、また3種混合ワクチン(新型コロナウイルスとインフルエンザ、RSウイルス)を来年秋までに提供開始できるよう取り組んでいる」と、新薬パイプラインについて紹介していた。

 「コロナウイルス変異株ブースター接種(オミクロン株、野生株、デルタ株)および次世代のワクチンも開発中だ。流感、流感+コロナワクチン、RSウイルス感染症、ヒトメタニューモウイルス+ヒトパラインフルエンザウイルス、RSウイルス+ヒトメタニューモウイルスのワクチンなどを開発している」と感染症ワクチンの新薬パイプラインについて解説。「サイトメガロウイルス(CMV)感染症ワクチン、EBウイルス感染症ワクチン、単純へルペスウイルス(HSV)と帯状庖疹ウイルス(VZV)感染症ワクチン、HIVワクチン、ジカウイルス感染症ワクチン等を開発中だ」と、潜伏ウイルスおよび公衆衛生への脅威に対するワクチン開発も行っているとのこと。「がん、免疫疾患、循環器疾患、希少疾患等の開発も行っている」と述べていた。

 「そして、男子と女子リーグの8つの有力サッカークラブと協力し、新型コロナウイルス感染症ワクチンの3回目接種を支援するため、SNSを活用した『Go!Go!Go!3回目接種!』のメッセージ発信を開始する。この取り組みでは、男子プロサッカー5クラブ、女子リーグの3クラブから合計約60名の選手が、日替わりで一人ずつ、所属クラブの公式Twitterアカウントから、『Go!Go!Go!3回目接種! 自分のために、みんなのために』のメッセージのもと、3回目接種を支援するツイートを発信する。若い世代を含めて広く人々に、3回目接種が、自分自身や家族、友人など周りの人を新型コロナウイルス感染症から守るために大切であることを啓発し、理解を促すことを目的としている。期間は3月11日から5月10日で、参加クラブは、北海道コンサドーレ札幌、FC東京、名古屋グランパス、セレッソ大阪、サンフレッチェ広島、北海道リラ・コンサドーレ、サンフレッチェ広島レジーナ、セレッソ大阪堺レディースとなる」と3回目接種促進メッセージの発信を行っていくとのこと。「3月13日からエディオンアリーナ大阪において開催される大相撲三月場所に、懸賞旗を掲出する」と、日本で生活する幅広い世代の人々に向けて、啓蒙・支援活動を展開していくと述べていた。

 次に、国際医療福祉大学医学部公衆衛生学の和田耕治先生が、「第7波を見据えたワクチン戦略」と題した講演を行った。新型コロナウイルス感染症ワクチン3回目接種が遅れていることについて和田先生は、「ワクチン3回目の効果と意義が伝わっていない。また、ワクチン接種のラストワンマイルと接種提供の確保と、遅くとも高齢者は3月末までにといったタイムラインを区切っていない」ことを挙げる。「3回目の接種によってオミクロン株に対しては7割から8割まで発症予防効果が上がる」と、変異株への予防効果も期待できると力説する。「発症予防効果は、1回目、2回目をファイザー社、3回目をモデルナ社の接種が今のところよい効果が得られているようだ」と、3回目も1、2回目と同じメーカーのワクチンを接種する必要性はないと訴える。「3回目の接種によってオミクロン株に対して入院予防効果は8割から9割へ引き上げられている」と、3回目の接種で重症化リスクを回避できるのだと述べていた。

 最後に和田先生は、「ワクチン接種の3回目を高齢者と基礎疾患のある成人にいかに早く接種するかが急務となる。その後はさらに接種を広げる」と、ワクチンの3回目接種は必須であるとのこと。「今後のワクチン接種の発症予防効果は課題がある。重症化予防は比較的長く続くことには期待があるが、いずれ下がるのではないか」と予測する。「ワクチン接種によるLong COVID(後遺)の予防効果も徐々に示されている」と、ワクチンを接種した方が、感染後の後遺症に悩まされる恐れも減るとのこと。「第7波は第6波よりも高くなる可能性がある。それによって困るのは、病気+コロナをどうするか、院内感染予防ができるか」と、今から第7波に向けた対策が必要なのだと力説する。「今年の冬の前には4回目も必要になる可能性はある。そして、新たな変異株にも想定が必要となる」と、風土病期に向けた戦略が求められているとも語っていた。

モデルナ・ジャパン=https://www.modernatx.com/


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