医療最前線

オムロンヘルスケア、高血圧患者の20%が脳・心血管疾患の要因となる「心房細動」を発症、併発メカニズムと今から始められる対策を解説

2022.03.08 21:16 更新

 オムロン ヘルスケアは、「脈の日」(3月9日)に先立ち脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などの「脳・心血管疾患」に関するセミナーを3月3日に開催した。同セミナーでは、昨年2月に実施した「体調の変化と心房細動の認知、健康感度」調査から判明した結果を紹介するとともに、京都府立医科大学 循環器内科学 不整脈先進医療学講座 講師の妹尾恵太郎先生が、心房細動について解説し、その予防対策と高血圧との関連メカニズムについて講演を行った。

 「世界最大の死因は『虚血性心疾患』で全体の16%を占める。そこで、関東在住の脳梗塞・脳出血、心筋梗塞、心房細動、狭心症を発症したことがない30代~70代の男女1098名にインターネットで調査を行った(2021年2月16日~19日)」と、オムロン ヘルスケア 循環器疾患商品事業部の足達大樹氏。「その結果、脳梗塞や心筋梗塞は認知度も高く、高血圧でない人の79.8%が認知しており、高血圧の人では94%の認知に達した。一方、心房細動は高血圧でない人が57.9%、高血圧の人は72.4%という認知度となった」と認知度に違いが見られたという。「脈の乱れを感じた時の行動は何もしていないが77.6%、高血圧の人でも62%が何もしないと回答した」と、脈の乱れは身体への影響の緊急性を感じていないと思われる回答が目立つ。「また、急性心筋梗塞の1日あたりの入院費は14万4360円、1週間で約100万円に達する。脳梗塞は1日あたりの入院費が5万3337円で、1週間で約40万円となる。介護が必要になった主な原因として、脳血管疾患(脳卒中)が21.5%と最も高く、心疾患(心臓病)が3.9%となった」と家族に与える影響について紹介した。

 日本人の死因トップ3に入る脳・心血管疾患を引き起こす要因として、「不整脈」が挙げられる。不整脈の一種である「心房細動」患者数は、国内で推定100万人超いるとも予測されており、65歳以上で有病率が大幅に高くなるという。一方で、国内に約4300万人、人口のおよそ3人に1人といわれている高血圧患者は、脳・心血管疾患を併発するリスクが高いといわれている。高血圧患者の10~20%は心房細動を有するというデータもあることから、より一層注意が必要だ。それだけに足達氏は、「心房細動経由の脳梗塞を発症すると後遺症など、その後の生活に及ぼす影響も大きい」と語っていた。

 京都府立医科大学 循環器内科学 不整脈先進医療学講座 講師の妹尾恵太郎先生は、“3人に1人が高血圧の日本人、死因トップ3に入る「脳・心血管疾患」との関係とは”と題した講演を行った。「不整脈とは、心拍数やリズムが一定でない状態のこと。不整脈には様々な種類が存在し、全く自覚症状をともなわない不整脈もあるが、ある種の不整脈は生命の危機をともなっており突然死の原因ともなりえる。ただし、普通の人でも体調不良時に不整脈を起こしていることはよくあり、また常時不整脈を起こしている人でも日常生活には何ら問題ない場合も多い。高齢者に多いが、各世代に不整脈を持っている人は普遍的に存在している」と解説。「不整脈は心臓のリズムの障害。健常者は1分に60~100回、規則正しく拍動しているが、これが速くなったり、遅くなったり、リズムが乱れたりする心臓の異常な拍動を不整脈という」と成因・病態について教えてくれた。

 「日本の心房細動の患者数は推定100万人超とされ、高齢化にともない、これからさらに増えていくことが予想される」と80歳代では10人に1人が心房細動ともいわれているとのこと。「心房細動とは、心房内に流れる電気信号の乱れによって起きる不整脈の一種で、心房が摩擦したように細かく震え、血液をうまく全身に送り出せなくなる病気」と、不整脈の病気であると説明する。「心房細動になると、死亡リスクは1.5~3.5倍となり、20~30%が心不全を合併する。脳梗塞の20~30%は心房細動が原因とされ、認知症リスクは1.4~1.6倍になる。また、60%の患者の生活の質が下がっている」と、様々なリスクの上昇がみられる疾患なのだと語っていた。

 「高血圧と心房細動の関係性は強く、高血圧患者に潜在的な心房細動患者が多いのではないかといわれている」と心房細動の4割が無症状とのこと。「短時間だけ起きて元に戻る発作性心房細動から始まり、だんだん頻度が増え、持続時間の長い持続性心房細動に移行して慢性化する。軽い息切れや動悸の症状を見過ごしているうちに、徐々に体が慣れてしまい、症状を感じなくなるケースもある」と力説する。「不規則なライフスタイルの人は心房細動になりやすいとされている」と生活習慣の見直しも重要とのこと。「また、軽い息切れや動悸の症状を見過ごさない。自分で脈を調べる(検脈)。自宅で手軽に心電図を測れる家庭用心電計の導入や、今後はスマートウォッチの活用で心房細動の早期発見が可能となる」と心房細動を早期発見できる方法についてアドバイスしてくれた。

 「心房細動の治療は、抗不正脈薬という心房細動を抑えるもので、早い段階で使ったほうが効果が期待できるものがある。また、カテーテルアブレーションというカテーテルを足の付け根から心臓まで入れ、異常な電気信号を出している部位を焼灼する方法で、根治を目指すことができる」と説明する。「ただし、約30%の患者に再発リスクがあり、そのうちの約半数以上が無症状であるため、持続的なモニタリングが必要となる」と教えてくれた。

オムロン ヘルスケア=https://www.healthcare.omron.co.jp/


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