医療最前線

日本メドトロニック、房室ブロック治療に寄与するペースメーカ「Micra AV」を販売開始、心臓ペースメーカの歴史からひも解く不整脈治療について解説

2022.02.03 20:05 更新

 日本メドトロニックは、徐脈性不整脈の治療に用いられる「Micra(マイクラ)経カテーテルペーシングシステム」(以下、Micra AV)の製造販売承認を昨年7月29日に取得し、同年12月1日に保険収載された。今回、同製品を1月から販売を開始した。1月31日にオンラインで行われたセミナーでは、心臓ペースメーカの歴史からひも解く、不整脈治療の進展をテーマに、体外式ペースメーカから最新のリードレスペースメーカまでを解説した。

 「当社は、痛みをやわらげ、健康を回復し、生命を延ばすことをミッションに掲げ、人生を変えるようなテクノロジーで、70種類以上の健康課題に対する治療法を提供している」と、日本メドトロニック カーディアックリズムマネジメント&ダイアグノスティックスの芳賀聡バイスプレジデントが挨拶。「当社は、単なる医療機器メーカではなく、グローバルヘルスケアテクノロジーのリーダーになるべく、カーディオバスキュラー(循環器領域)、メディカルサージカル(外科領域と低侵襲治療・診断領域)、ニューロサイエンス(神経科学領域)、ダイアビーティス(糖尿病領域)で患者と向き合ってきた」と、様々な疾患への取り組みを行っているという。「カーディオバスキュラーでは、ペースメーカ、植込み型除細動器、植込み型心臓再同期療法デバイス(CRT)、遠隔モニタリングシステムを提供している」と、製品について言及。「当社は、60年にわたってペースメーカにイノベーションを起こしてきた」と、ペースメーカのオピニオンリーダーとしてこれからもイノベーションを導入していく考えを示した。

 次に、杏林大学医学部附属病院 循環器内科の副島京子先生が、「心臓ペースメーカの歴史からひも解く、不整脈治療の進展~体外式ペースメーカから最新のリードレスペースメーカまで~」と題した講演を行った。「心臓の電気的系統に異常が生じ、規則正しい心臓の動きや脈拍が乱れてしまう状態を不整脈という。なかでも、脈が遅くなる徐脈性不整脈(徐脈)では、血液が全身に届かなくなる時間が生じることで、めまいやふらつき、動悸、失神などを起こす」と、徐脈性不整脈について解説。「徐脈の主な原因として、房室(ぼうしつ)ブロックや洞不全症候群(どうふぜんしょうこうぐん)という病気がある。房室ブロックは、心臓を収縮させる電気信号の伝達が房室(心房と心室)間で損なわれることで、脳や全身に必要な血液が十分に行きわたらなくなり、意識を失う、または生命にかかわるような状態となる場合もある」と、徐脈の原因およびそれに付随する疾患について説明する。

 「房室ブロックを有する患者に対して、心房と心室の両方を監視して電気信号を発するデュアルチャンバ型のペースメーカを用いて、心臓の正常なリズムを回復させ、心房と心室の電気的活動を調整する治療が行われている」とのこと。「従来型のペースメーカは、上胸部、鎖骨下の皮下に本体を植え込み、リードと呼ばれる細いワイヤーを使用して心臓につなげ、電気信号を送っている。しかし、リードの断線、リードを留置する静脈の閉塞、ペースメーカ本体を植え込んだ胸部の皮下ポケットの感染症などの合併症が問題とされていた」と、植込み後に様々な課題が見られていたという。

 「2017年に誕生したリードレスペースメーカは、従来型ペースメーカの10分の1のサイズで、本体とリードが一体化されたカプセル型のペースメーカとなる。心室内から心房の動きを検出する独自のアルゴリズムを備えており、心房の動きに合わせて心室を収縮させることで、より正常な心臓収縮の動きに近い生理的なペーシング療法を提供する」と、非常に小さなペースメーカなのだと訴える。「カテーテルを用いて直接心臓内に送り込み、右心室内に植え込む。皮下にリードや外科的なポケットを必要としないため、それに関連する潜在的な合併症がないほか、外見からはデバイスが植え込まれていることがわからない」とのこと。「皮下ポケットやリードによる生活制限がないといったメリットがあり、多くの患者の生活の質の向上に寄与してきた」と、皮下に本体があってリードが静脈を介して心臓内に留置されるといったペースメーカの概念を一変させるものだったと説く。

 「ただし、リードレスペースメーカは、右心室に留置されるシングルチャンバ型であり、心房と心室の両方を監視できる製品の導入も望まれていた」と、デュアルチャンバ型リードレスペースメーカの登場が期待されていたという。「今回登場したデュアルチャンバ型リードレスペースメーカ『Micra AV』では、心房に同期して心室ペーシングを行うことができるため、より多くの患者がリードレスペーシングの恩恵を受けられることが期待される」と述べていた。

 ペースメーカは、徐脈性不整脈に対する治療機器。ペースメーカは心臓を24時間監視しながら、必要に応じて人工的に電気を発し、心臓の働きをサポートする。ペースメーカには、心房と心室の両方を監視して電気を発するデュアルチャンバ型、どちらか一方を監視して電気を発するシングルチャンバ型がある。「Micra AV」は右心室内に直接留置されるデュアルチャンバ型のペースメーカとなっている。

日本メドトロニック=https://www.medtronic.com/jp-ja/


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