医療最前線

浅田レディースクリニック、不妊治療の実情と今後に関するラウンドテーブル開催、4月から保険適用範囲が拡大する影響などについて解説

2022.02.04 20:51 更新

 不妊治療専門のクリニック 浅田レディースクリニックは、4月から保険適用範囲が拡大する不妊治療について正しく理解をしてもらうべく、保険診療の実態と生殖医療ガイドラインから推測する今後の不妊治療について解説をするメディア限定ラウンドテーブルを2月4日にオンラインで開催した。

 不妊治療は長らく保険適用ができず、助成金で患者の経済的負担を軽減してきた。現在まで保険適用外とされていた理由を知るためには、保険医療制度について正しく理解することが重要となる。また、今回の保険適用で各クリニックの治療内容が大きく変わると考えられる。今回のラウンドテーブルでは、浅田レディースクリニック院長の浅田義正先生から、専門機関として日々向き合う現場の様子や実情、今回の保険適応制度による影響について詳しく解説してもらった。

 「卵子というのは、生まれる前に1回だけ作られて2度とつくられない特殊な細胞であるといえる。産まれた時にいちばん数が多く、その後は数が減っていく」と、卵子の老化について解説。「精子は、約3ヵ月前から作られはじめた常に新しい細胞」と、卵子と違い精子はすぐに新しいものが作られはじめるのだと指摘する。「卵子の老化は、一つの細胞の生きる限界で、体全体の老化は、細胞の集合体として、細胞が入れ替わり、長い年月をかけてゆっくりと進む。そのため卵子の老化とは異なる」と、卵子の老化と体の老化の違いについて説明する。「しかも、生まれる前の胎生6ヵ月の時に卵子の数が最大でその後減少していく」と、卵子は増えることがなく、どんどんなくなっていくのだと教えてくれた。

 「妊娠率というのは35歳くらいからどんどん減っていく。40歳近くになっている人が来年の保険適用のために半年待っていると、その間に妊娠率が低くなり、より治療が不利になるということを考える必要がある」と、保険適用を待つ必要はないと指摘する。「また、不妊治療を開始する時期については、もともと不妊症でなければ、3ヵ月で6割、半年で7割、1年で8割妊娠するといわれている。何歳であっても不妊治療の定義は、1年避妊していないにもかかわらず妊娠しない場合を不妊症と定義しているので、結婚して普通に夫婦生活があっても妊娠できなければ、不妊治療はどの年齢においても開始すべきだと思われる」と、年を重ねるごとに妊娠しにくくなることは明らかなのだと紹介した。

 「20~30年前の不妊治療は、卵管が詰まっている、精子が少ないなど原因がある人を不妊症として治療していた。しかし現在は外来患者の平均年齢が40歳くらいとなり、多くの人が卵子の老化による原因不明不妊として治療されている」とのこと。「不妊治療では、受精卵ができにくい人に受精卵ができる手助けをする」と、一般不妊治療と高度生殖医療で対応していると説く。「できた受精卵の遺伝子をコントロールして育てることや、受精卵を育ちやすく遺伝子操作することはできない」と、不妊治療でもできないことがあると説明した。

 4月から保険適用範囲が拡大する不妊治療について、浅田先生は、「現在でも、不妊症治療に保険適用が認められている検査や治療はあるが、実際は医療機関から請求しても審査が通らないことが多々ある。医療費抑制という基本方針の下で、保険審査よりも保険請求は抑制されてきた」と、保険適用されたからといって無条件に健康保険が使えるわけではないと警鐘を鳴らす。「保険適用範囲の拡大については、ガイドラインが不十分で、薬剤の適応を公知申請するというイレギュラーな対応となっている。また混合診療を先進医療で対応するようになっている。これでは、体外受精・顕微授精の心臓部であるラボ(培養室)での資材機材の認可・胚培養士の資格・長期凍結保存等について検討が不十分」と、問題点について語気を強める。「一般の人や不妊患者は、保険適用で今までと同じ治療が安く受けられると誤解している。実際は、限定的な治療しかできなくなることを大いに懸念している」と、保険診療の実態を知っているからこそ感じる懸念を訴えた。

 「体外受精は、卵巣を刺激して成熟卵を採り体外で受精させる。精子を振りかける、あるいは精子を1匹、顕微授精の手法で卵子の中に入れて受精卵を作り、しばらく培養してから子宮に移植する」と、体外受精治療について解説。「体外受精・顕微授精の心臓部はラボとなる」と、しっかりとした培養室の確保が体外受精のカギとなる。「しかし、ラボには地震、台風などによる停電に対処する非常電源の確保や、窒素等のボンベ庫、培養士によるすべてのプロセスのダブルチェック、長期間にわたる安定した管理システムなどが必要となる」と、安心できる安定した凍結管理システムが体外受精・顕微授精には重要なのだと強調する。「排卵数・成熟卵数にともなって妊娠率は高くなる。卵巣予備能に見合った受精卵を獲得することが大切な戦略となる」と、調節卵巣刺激は非常に大切なだけに、卵巣予備能に見合った獲得卵子数が妊娠に不可欠な要素であると述べていた。

浅田レディースクリニック=https://ivf-asada.jp/


このページの先頭へ