医療最前線

田辺三菱製薬、視神経脊髄炎スペクトラム障害治療に関するメディアセミナーを開催、再発予防の新たな治療薬として「イネビリズマブ」に期待

2021.11.12 20:40 更新

 田辺三菱製薬は、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)治療に関するメディアセミナーを11月10日にオンラインで開催した。今回のセミナーでは、視神経脊髄炎スペクトラム障害の新たな治療薬である抗CD19モノクローナル抗体製剤「ユプリズナ点滴静注100mg」(一般名:イネビリズマブ(遺伝子組換え)、以下「イネビリズマブ」)について紹介した他、東北医科薬科大学 医学部 老年神経内科学教授の中島一郎先生を招き、視神経脊髄炎スペクトラム障害の「早期発見」と「再発予防」をテーマに講演を行った。

 「当社は、今年度からスタートした中期経営計画において、新たな『MISSON』と2030年に向けた『VISION 30』を策定した。創業から300年を超える当社の強みは、あきらめずに粘り強く、これまでにない医薬品を創生し続けてきたことにあると考えている。そこで、新たなMISSONには『病と向き合うすべての人に、希望ある選択肢を。』を掲げた」と、田辺三菱製薬 執行役員の吉永克則営業本部長が挨拶。「その中で、今年6月に発売した『イネビリズマブ』は、視神経脊髄炎スペクトラム障害治療の新たな選択肢を提供するものとなる。新規メカニズムによる治療薬であり、投与間隔が半年に1回という利便性から、患者の生活様式にあわせた治療に貢献できると確信している。今後は、中枢神経領域をはじめ国内の事業基盤をさらに強化し、『希望ある選択肢』を適正に提供できるよう注力していく」と、患者に寄り添う治療薬を提供し続けていく考えを示した。

 次に、同社 営業本部 炎症免疫部の田中峻輝氏が、視神経脊髄炎スペクトラム障害の新たな治療薬「イネビリズマブ」の製品概要について説明した。「『イネビリズマブ』は、視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防を適応症とした、ヒト化抗CD19モノクローナル抗体製剤となる。今年3月23日に製造販売承認を取得し、5月19日に薬価収載され、6月1日から発売している。通常、成人には、1回300mgを初回、2週間後に点滴静注し、その後、初回投与から6ヵ月に1回の間隔で点滴静注する」と、「イネビリズマブ」の基本情報と用法・用量について紹介。「ステロイド離脱下において『イネビリズマブ』を単剤処方することで、病因である抗アクアポリン4(AQP4)抗体産生B細胞への作用により、再発を抑制することが期待できる。また、半年に1回投与という特徴を持ち合わせており、治療における服薬の負担を軽減することができる」と、患者へのメリットを強調する。「注意が必要な副作用として、インフュージョンリアクション、B型肝炎ウイルス再活性化、感染症、進行性多層性白質脳症が現れることがある」と、安全性と副作用についても言及していた。

 そして、東北医科薬科大学 医学部 老年神経内科学教授の中島一郎先生が、「神経脊髄炎スペクトラム障害治療の新たな選択肢~早期発見と再発予防に向けて~」と題した講演を行った。「神経脊髄炎スペクトラム障害は、重篤な後遺症を遺す中枢神経の炎症性疾患であり、日本の患者数は約4000~5000人、その9割が女性となっている。好発は40歳前後だが、乳児から高齢者まで幅広い年齢層で発症する」と、神経脊髄炎スペクトラム障害とはどのような病気なのかを解説。「発症には抗AQP4抗体が関与しており、初期症状としては強い炎症が視神経と脊髄に生じやすい。慢性的な進行はないが、再発するごとに障害が蓄積されていく。再発では、体幹の痛みや筋痙攣、疲労などが後遺症として認められ、1回の再発で失明に至ることもある」と、再発を繰り返すたびに障害が蓄積するため、再発予防が重要であると訴えた。

 「治療法としては、発症時・再発時には、ステロイドパルス療法や血漿浄化療法、免疫グロブリン療法が行われる。再発予防では、経口ステロイド薬が中心であり、保険適応外として免疫抑制剤、リツキシマブが使われる。しかし、従来の経口ステロイド剤は、再発予防で長期投与する際には副作用が必発であり、その副作用対策に多くの内服薬が必要になるという弊害も発生していた」と、再発予防の中心は経口ステロイド剤であり、患者に大きな負担がかかっていたという。「そうした中で、今年6月に発売された抗CD19モノクローナル抗体製剤『イネビリズマブ』は、従来にはない新規メカニズムで神経脊髄炎スペクトラム障害の再発を予防する。日本を含む第II/III相国際共同臨床試験では、神経脊髄炎スペクトラム障害患者への『イネビリズマブ』投与による再発抑制効果が確認された。また、他の承認済み治療薬に比べて、投与間隔が半年に1回と長いため、患者にとっての利便性も高く、経口ステロイド剤からの脱却を可能にする治療薬になると考えている」と、再発予防治療の新たな選択肢として「イネビリズマブ」に期待を寄せていた。

田辺三菱製薬=https://www.mt-pharma.co.jp/


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