医療最前線

肌老化対策につながる肌疲労の解消法とは、活性酸素の除去と傷ついた細胞の修復の観点から皮膚科学や再生医療の専門家が解説

2021.07.29 12:45 更新

 多くの紫外線を浴びた夏の肌には多くの活性酸素が生まれてしまっており、その活性酸素が肌の細胞を傷つけ、修復が追いつかなくなることで肌疲労につながるとされている。また、肌疲労が蓄積されると、肌老化(傷ついた細胞が戻りにくくなる状態)が起こってしまうとのこと。そのため、肌老化の対策をするためには肌疲労の解消が必要だといわれている。

 そこで、肌老化対策につながる肌疲労の解消法について、活性酸素の除去と傷ついた細胞の修復の観点から、皮膚科学や再生医療の専門家であるBTRアーツ銀座クリニック院長(兼 神戸大学名誉教授)の市橋正光先生が解説する「紫外線を浴びて疲れた夏の肌をケア 肌老化の対策法とは」と題したオンラインラウンドテーブルを、7月15日に開催した。当日は、肌老化が起こるメカニズムや、対策法、活性酸素の除去と傷ついた細胞の修復が期待できる還元型コエンザイムQ10について説明した。

 「夏は紫外線が多くなり、肌に負担がかかることで肌悩みが増えるという人も多い」と、“肌が灼けてしまった”、“シミ・そばかすが増えた”、“シワ・たるみが増えた”、“大人ニキビなど炎症が起こってしまう”、“暑さと冷房の差で乾燥してしまう”といった悩みを訴える人が増えるのだと市橋先生は語る。「夏に紫外線を浴びて肌に負担をかけ、肌疲労を放置してしまうと、シミ・シワなどの肌老化につながってしまう。そのため、肌疲労が肌老化につながってしまう前に、しっかりケアをして、あとに残さないことが大切となる」と、肌老化のメカニズムを理解し、正しい対策法で肌疲労を解消する必要があると訴えた。

 「多くの紫外線を浴びた夏の肌は細胞が傷ついており、修復が追いつかなくなることで肌疲労につながる。また、肌疲労が蓄積されると、肌老化(傷ついた細胞がもとに戻りにくくなり、皮膚組織に傷んだタンパク質が増える状態)が起こってしまう」と、肌老化のメカニズについて解説。「肌疲労・肌老化の対策には真皮・表皮の構造と機能の回復が必要であり、そのためには、傷ついた細胞と細胞間物質の除去と修復および、活性酸素の速やかな除去が必要となる」と、肌老化の対策法について説明する。「活性酸素の速やかな除去に効果を発揮できる食材と要素として、チーズ・ヨーグルトのプロバイオティクス、トマトのカロテノイド、オリーブオイルのオレウロペイン、サーモンのアスタキサンチン、緑茶の茶カテキン、コーヒーのクロロゲン酸類が挙げられる」と、食材とその食材に含まれる要素について列挙してくれた。

 「新陳代謝を亢進させ、傷んだ物質の速やかな排除に役立つ手軽なものとしてはサプリメントが挙げられる。中でも還元型コエンザイムQ10がおすすめであるといわれている」と、肌老化対策には還元型コエンザイムQ10が効果的であるという。「還元型コエンザイムQ10(CoQ10)とは、すべての生物の体内に存在する脂溶性ビタミン様物質となる。高い抗酸化作用を持っている。その効果は世界中で認められており、酸化型のコエンザイムQ10は日本では『うっ血性心不全』の治療薬としても処方されている」と、医薬品としても扱われているのだと教えてくれた。「コエンザイムQ10には酸化型と還元型があるが、体内で効果を発揮するのは還元型。酸化型から還元型に変換する力は加齢によって低下するため、摂取するのは還元型が望ましい」と、還元型コエンザイムQ10を摂取する方が望ましいのだと話していた。

 「体内の還元型コエンザイムQ10は加齢とともに減少。皮膚中についても減少する」と、70歳代の皮膚中CoQ10量は20歳代の1/2以下なのだと指摘する。「還元型コエンザイムQ10は、高い抗酸化力を持ち、細胞内の活性酸素のうち、スーパーオキサイドアニオン(O2-)と呼ばれる成分の処理を行う(O2-を放っておくと細胞を破壊し続ける)。また、ミトコンドリアのエネルギー生産を促進する作用があり、細胞が働くために必要なエネルギーの生産を高めて傷ついた細胞の修復を助ける」と、傷ついた細胞と細胞間物質の除去と修復および、活性酸素の速やかな除去で肌疲労を終わらせるという肌老化対策で効果を発揮するのが、還元型コエンザイムQ10なのだと述べていた。

 「また、還元型コエンザイムQ10は、傷ついた細胞と細胞間物質の除去と修復および、活性酸素の速やかな除去で肌疲労を終わらせるのを同時に行うだけでなく、美容に良いといわれているビタミンCやビタミンEを一緒に摂取した際の相乗効果も期待できる」と、還元型コエンザイムQ10は、活性酸素の除去に使われて抗酸化力を失くしたビタミンCやビタミンEを再生して元に戻すのだと教えてくれた。「2007年に発表した試験によると、還元型コエンザイムQ10を1%含有したクリームを31名の女性に1日2回、5ヵ月塗ってもらい、顔のシワの深さなどを評価したところ、還元型コエンザイムQ10を塗った55歳の女性はシワが浅くなり、効果が感じられる結果となった。また、酸化型コエンザイムQ10と比較しても、還元型コエンザイムQ10の方がシワが浅くなった」と、効果も実証されているのだと述べていた。

 「おすすめの肌老化対策としては、抗酸化作用の高い(還元型コエンザイムQ10、ビタミンC、ビタミンE、カシス、アスタキサンチンなど)ものや、総合ビタミン、コラーゲンマトリックス、ビタミンD3、DHA、EPAなどのサプリメント摂取。食事では、抗酸化作用が強い食べものを意識的に摂取したり、毎日多くの野菜と肉を食べる。赤ワイン少量、コーヒー2杯/日以上の摂取もよい」と、市橋先生も実践している対策法を紹介。「その他、紫外線防御(SPF、PA)や、睡眠の質向上、適度な運動(低山登山、散歩)、十分な睡眠、抗炎症効果・保湿を高める化粧品の使用、リフレッシュ(友人との楽しい時間や音楽鑑賞など)が効果的とされている」と、肌老化対策に良いものを体内に吸収するだけでなく、紫外線などの外敵からの防御や睡眠、運動、休息も効果が期待できると語っていた。

 また、東京医療保健大学 医療保健学部 医療栄養学科 細田明美先生考案の還元型コエンザイムQ10が含まれ美容効果が期待できるレシピについても紹介した。「豚肉とキャベツの韓国風和えもの」では、豚肉に含まれる還元型コエンザイムQ10、たんぱく質、キャベツに含まれるビタミンCで美容効果に期待できるとのこと。ビタミンCは免疫力向上にもつながるのだという。豚肉に含まれるビタミンB1で疲労回復も期待できるとのこと。豚肉をしゃぶしゃぶにすることで、柔らかく仕上げられるほか、エネルギーや脂質の摂取量の抑制を抑えることもできるのだという。

 「鮭缶とブロッコリーの簡単クリーム煮」では、ブロッコリーに含まれる還元型コエンザイムQ10で美容効果が期待できるとのこと。鮭はたんぱく質、カルシウム、ビタミンDなど丈夫な骨づくりに必要な栄養素が豊富なのだという。牛乳とチーズを加えて、さらにカルシウムを強化。また、鮭の赤い身は高い抗酸化力を持つアスタキサンチンが豊富でシミ、シワの発生を予防することができるとのこと。ホワイトソースも簡単に作れて、さらに、チーズを加えるとコクのある味わいに仕上がるという。

 「鯖缶と人参のナムル風サラダ」では、鯖に含まれる還元型コエンザイムQ10で美容効果が期待できるとのこと。缶詰は骨ごと食べられるため生魚に比べてカルシウムが豊富だとか。たんぱく質やビタミンDも豊富で、骨を強くしてくれる。脳を活性化するDHAや血液をサラサラにするEPAも豊富とのこと。にんじんに含まれるβ-カロテンは粘膜、目、皮膚、爪、髪の健康に必須な栄養素なのだという。

 「野菜のクミン炒め」では、大豆に含まれる還元型コエンザイムQ10で美容効果が期待できるとのこと。大豆に含まれるイソフラボンは、体内で女性ホルモンのエストロゲンに似たはたらきをし、血管や皮膚の老化を予防してくれるという。ピーマンやトマトに含まれるβ-カロテンは、粘膜、目、皮膚、爪、髪の健康維持に必須とのこと。クミンは昔から薬用にも使われるインドカレーに欠かせないスパイスクミンに含まれる植物ステロールは、コレステロールの吸収を抑えるはたらきもあるという。

BTRアーツ銀座クリニック=https://www.artsginzaclinic.com/mission.php


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