医療最前線

中外製薬、指定難病・視神経脊髄炎スペクトラム障害を啓発するショートフィルム「あの子を連れて旅に出たら、わからないことをわかりたくなった話」を制作

2021.07.06 19:59 更新

 中外製薬は、指定難病のNMOSD(視神経脊髄炎スペクトラム障害:指定難病の視神経脊髄炎と同義)の啓発を目的としたショートフィルム「あの子を連れて旅に出たら、わからないことをわかりたくなった話」の制作記者発表会を7月5日に、オンラインで行った。発表会には、ショートフィルムの原作者で作家の岸田奈美氏と柳明奈監督がリモートで参加。「知ってもらうことの大切さを伝えたい」という岸田氏のメッセージを柳監督が見事に映像化した作品になっていることをアピールした。

 「NMOSDとは、自分の細胞を間違って攻撃してしまう“自己免疫疾患”のひとつで中枢神経の病気。全国に約4300人の患者がいるとされ、患者の9割が女性で、発症年齢は30代後半から40代前半が多い」と、中外製薬の通崇夫氏が病気について解説。「NMOSDの原因は、体を外敵から守る免疫の仕組みに異常が起こり、自分自身の脳や脊髄の細胞を攻撃して、壊してしまう」と、病気のメカニズムを説明する。「神経細胞を結ぶアストロサイトの足突起には、水分子の出入りを調節するアクアポリン4(AQP4)というたんぱく質がたくさんある。免疫異常によって増産されている自己抗体(抗AQP4抗体)がこのたんぱく質をターゲットとして攻撃する」と述べていた。「NMOSDは、主に、脳や脊髄、視神経に炎症が起こるのが特徴。人によって、炎症が起こる部位が異なるので、症状もさまざまとなっている」と、目が見えにくくなったり、視力が欠けるなどの他、しゃっくりが止まらない、吐き気や嘔吐がある。または、手足の一部がしびれたり、感覚がなくなったり、強い痛みを感じるなどといった症状が見られるとのこと。「症状が急に進むので、できるだけ早く、脳神経内科などの専門医、または入院治療ができる眼科を受診することが大切となる」と、早期に医療機関を受診してほしいと語っていた。

 「NMOSDの患者は、体を動かした後に強い疲労を感じることがある(運動疲労)。歩いたり、動いたりするときに、活動する時間とともに体が動きにくくなる状態をいう。また、活動の有無に関わらず、強い倦怠感が生じることがある。起きたばかりなのに疲れていると感じる、全く動けないなど、生活に支障をきたすほどの症状が出ることもある」と、疲労や倦怠感が患者を悩ませるのだと訴える。「最初の発作で重い症状が現れることが多く、数時間から数日間で急激に進行する(急性期症状)。いったん、症状が落ち着いた後(寛解後)、無治療の場合は1年に1~1.5回の頻度で再発するといわれている。1回の発作で失明や歩行障害などの症状が残ることもあり、再発を繰り返すと、後遺症が増え重症度が進んでしまう」と、重い急性期症状と再発を繰り返して進行するのだと教えてくれた。「NMOSDの治療は、急性期治療と再発予防治療、対症療法の3つからなる」と、治療目的に応じた治療法があるのだと述べていた。

 そして、より多くの人にこの疾患を知ってもらうことが、早期発見・早期治療や、患者のサポートにつながる活動であると考え、今回ショートフィルムを制作。作家の岸田奈美氏、柳明奈監督、俳優の堀田真由さん、須藤理彩さん、松岡広大さんを迎えて、「あの子を連れて旅に出たら、わからないことをわかりたくなった話」が完成した。原作者の岸田氏は、今まで自身の家族とのエピソードをエッセイにして伝えてきただけに、「今回の話をもらった時は、知ってもらうことの大切さを伝えるのは私しかいないと思い、制作に入った」とコメント。

 また、制作のポイントとして「病気自体はセンシティブなことだが、もっと身近に感じてもらうためにいろいろな小ネタを仕込んだ。すると柳監督が、すべて小ネタを映像化してくれてうれしかった」と岸田氏は話していた。一方、柳監督も「岸田氏の愛のある優しい言葉を、一つもこぼれないように拾い集めることに注力して表現するように努めた」と、岸田氏のメッセージを映像化することに集中して撮影に臨んだのだと語っていた。

 さらに、柳監督は「最初は不安もあったが、撮影を進めるうちに、わからない・知らないことを伝えるためには言葉ではなく一つひとつの感情を描いていくことが一番だと気づき、その感情を映像にすることがぴったりだと思った」と、当時を思い出しながら熱く語る。また、メイキング映像の紹介では、岸田氏から「現場に行きたかった」と、撮影現場に足を運べなかったことを悔やんでいた。

 “家族の愛”をテーマとした同作では、堀田真由さんを主人公一家の女子大生・日下部美月役に抜擢。堀田さんは「周囲の人に症状を気付いてもらいにくいNMOSDの深い部分を知ってもらいたい。主人公一家を通して家族の在り方を考えるきっかけになれば嬉しい」とし、視聴者へは「家族の在り方を考えるきっかけになれば嬉しい」と制作・公開に向けての意気込みをビデオメッセージで語ってくれた。

[作品概要]
タイトル:あの子を連れて旅に出たら、わからないことをわかりたくなった話
公開日:7月中旬予定
公開場所:中外製薬 YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/user/chugaijp
出演:堀田真由、須藤理彩、松岡広大
監督:柳明奈
制作:中外製薬、ワンメディア

中外製薬=https://www.chugai-pharm.co.jp/


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