医療最前線

大正製薬、毛髪アンチエイジングに作用する新たな成分の組み合わせをネイチャーラボとの協業で発見、MITOLの発現を高めるボタンピエキスが白髪や薄毛に有用な可能性を見出す

2021.07.16 20:23 更新

 大正製薬は、柳茂教授(学習院大学理学部)と共同で、ミトコンドリアユビキチンリガーゼ「MITOL(柳教授が2006年に発見したミトコンドリアの形態制御や品質管理などに関わる分子。Mitochondrial Ubiquitin Ligaseの略称)」が毛髪や皮膚のアンチエイジングにおいて重要な働きを有することをこれまでに解明してきた。今回新たに、若返りのカギであるMITOLの発現を高めるボタンピエキスが、毛髪のメラニンを維持すること、毛髪の成長期を延長すること、つまり、ボタンピエキスが白髪や薄毛といった毛髪のエイジングに有用な可能性を見出した。この研究成果を、6月25日~27日に開催された第21回日本抗加齢医学会総会(京都府京都市 国立京都国際会館)で発表した。さらに、毛髪アンチエイジングにおいて共同研究をしているネイチャーラボのブラックリバースペプチド1(ブラックリバース中のペプチドの1つ)が、ボタンピエキスの毛髪メラニンへの作用をさらに増強することを確認した。7月15日に行われた毛髪最新研究発表会では、ネイチャーラボとの協業で見出した「ボタンピエキス」×「ブラックリバースペプチド1」のシナジー効果による毛髪アンチエイジングの新たな発見について発表した。

 「当社では、『リポビタンD』や『パブロン』、『リアップ』などといったブランドでセルフメディケーション事業を展開している。中でもヘアケア事業においては、20年以上の毛髪研究の知見をもとに、ラインアップを拡大し、男女問わずあらゆる年代のニーズに対応してきた」と、大正製薬 セルフメディケーション開発研究所 製剤第3研究室の長濱徹室長が挨拶。「ミノキシジルを中心とした素材・成分探索に加え、毛包組織細胞、頭皮環境、製剤技術の4つのアプローチから研究成果をもとに、多様な悩みに応えるトータルケアを実現すべく、研究を行っている。特に近年はミトコンドリア研究を強化している」と、ヘアケア研究領域について言及した。「昨年は、頭皮環境悪化による発毛への影響とその改善の可能性について発表した他、第38回日本美容皮膚科学会において、ミトコンドリア動態を標的とした抗加齢戦略について柳先生が発表。第28回日本毛髪科学研究会においては、ミノキシジル作用メカニズム、MITOL研究、微粒子製剤技術などを発表した。今年は、第21回日本抗加齢医学会で、ミトコンドリアユビキチンリガーゼMITOLの毛包および色素細胞における機能解析を発表した」と、同社のトータルヘアケア研究の最新トピックスについて紹介した。「毛髪100年時代に向けて、毛髪サイエンスの先駆者として、オープンイノベーションに積極的に取り組み、研究開発をリードしていく」と、予防から治療まであらゆる毛髪ソリューションを提案していくと意気込んだ。

 日本毛髪科学協会 理事で毛髪科学研究会 世話人・なごみ皮ふ科 院長の齊藤典充先生が、毛髪サイエンスの最新動向および展望を発表した。「毛髪とは、身体を守るだけでなく、外見を決定づける重要な要素となっている。だが、加齢と共に、毛の直径が細くなり、毛包は消滅することが明らかとなっている」と、加齢と共に、毛髪は薄くなったり、抜け落ちてしまうのだと指摘する。「近年、加齢による老け髪(白髪・薄毛)の原因として毛包幹細胞の老化が明らかとなった」と、老け髪の原因がわかってきたのだという。「2011年以降、毛髪再生を中心とした細胞研究が花開き、色素幹細胞の発表から、白髪メカニズムが明らかになった」と、近年細胞をターゲットにした研究が進んでいると明かす。「細胞にフォーカスした研究が新たな毛髪エイジングを切り開く可能性がある」と、毛髪科学研究の展望を指し示す。「特にミトコンドリアは、毛髪に限らず、世界中で注目されている研究となっている」と、ミトコンドリア研究の論文数は2000年の約5.5倍にまで増えているとのこと。「ミトコンドリア活性によるアプローチなど新発想の研究に期待している」と、さらなる研究に期待を寄せていた。

 ミトコンドリア機能異常と老化疾患について学習院大学 理学部 生命科学科 教授の柳茂先生が講演を行った。「筋萎縮性側索硬化症の原因遺伝子産物である変異型SOD1はミトコンドリアを障害する」と、ミトコンドリアに蓄積する変性たんぱく質について解説。「若い神経細胞のミトコンドリアには、ミトコンドリアユビキチンリガーゼMITOLが存在。加齢によってMITOLの発現が低下することもわかった」という。「MITOL欠損によるミトコンドリアROSの産生と細胞老化も明らかとなった。つまり、MITOLはミトコンドリアの形態を制御する」と、MITOLはミトコンドリアの形態に大きな影響を持つのだと指摘する。「一方、MITOL活性化によって細胞が若返ることもわかった。そこで、MITOLを指標にしたエイジング素材の開発を行った」とのこと。「ヒトケラチノサイトを用いてMITOL mRNAを3倍以上上昇させる素材をスクリーニングした結果、MITOLを誘導する素材としてベルベリンを見出した」と力説する。「ベルベリンは紫外線による皺の形成を抑制。老化の抑制もみられた」と、マウスによる試験ではベルベリンによって脱毛が抑制されたと紹介する。「MITOL活性化成分は、新たな抗老化素材になる」とまとめていた。

 MITOLの白髪に関する新発見と題し、大正製薬 セルフメディケーション開発研究所 基盤研究室の新井良平主任が研究結果を発表した。「色素細胞におけるMITOLの重要性を検証した」と、MITOL低下細胞の作製と解析を行ったという。「MITOL低下で色素細胞の増殖が抑制された。また、MITOL低下で、メラニン産生酵素が低下した。さらに、MITOL低下で、メラニン受け渡し機能が低下した」と、MITOLは色素細胞にとって極めて重要であることがわかったとのこと。「色素細胞のMITOLを高める素材を探索。その結果、ボタンピが色素細胞のMITOLを高めることを発見した」という。「ボタンピは培養毛包の成長期を延長した。また、ボタンピ添加培養毛包ではメラニン量が多いこともわかった。つまり、ボタンピは、MITOLを上昇し、成長期を延長。メラニン量を多く維持する」と、毛のエイジング(白髪・薄毛)に有用な可能性があると示唆した。

 ネイチャーラボ セルラボ所属 共同開発コンサルタントの竹岡篤史氏は、ブラックリバース(BRペプチド1)とその作用について報告した。「大正製薬と当社は、オープンイノベーションによる研究と商品開発を加速させる」と、新たな取り組みを両社で行っていくとのこと。「白髪の種類と原因から対策を練る試みを行っていく」と、白髪ケアの可能性への挑戦を行うのだと力説する。「ブラックリバース技術とは、シグナルペプチドと植物幹細胞のシナジー効果とされる」と、ブラックリバース技術のメカニズムについて解説。「毛包メラノサイトの活性化と毛髪黒色化についてブラックリバースによる頭皮老化への作用も研究で明らかとなっている」と説明する。「本来の黒髪に戻して、維持するブラックリバースの研究を今後も行っていく」と、さらなる研究を行っていくと述べていた。

 ネイチャーラボとの新協業、MITOL×ブラックリバースの研究成果について、大正製薬 セルフメディケーション開発研究所 製剤第3研究室 開発1グループの阿部晃也グループマネージャーが発表した。「ボタンピのMITOL発現促進効果をブラックリバース(BR)ペプチドが増強。ボタンピ×BRペプチドによって毛包中のメラニン含量が増加した」と、ボタンピ×BRペプチドは、MITOLを上昇し、メラニン含量を増加させるのだと説明する。「そこで、ホームユーステストを行ったところ、ボタンピ×BRペプチドで白髪が減少したように感じると回答した」と、ボタンピ×プラックリバースは毛のエイジング(白髪・薄毛)に有用な可能性があると示唆した。「当社では、素材・成分探索、毛包組織細胞、製剤技術、頭皮環境の4つのアプローチで生活者の多様な悩みに応えるトータルケアを実現する」と、ヘアケア研究で生活者の悩みを解消したいと意気込んだ。

 国際毛髪皮膚科学研究所 代表理事の本山典子先生は、オンライン環境下での“老け髪”対策ミニ講座と題した講演を行った。「老け髪とは、30代後半からはじまる、加齢変化にともなう白髪や薄毛が悪目立ちする状態を指す」とのこと。「白髪のある異性に対し、約半数以上が“老けて見える”印象をもつ」と、白髪は年齢を高く見せる原因の一つであると訴える。「コロナ禍でオンラインの増加等にともない、約6割の男性が、自らの老け髪を気にしている。オンラインの多用が、毛髪の成長に悪影響を及ぼしている可能性がある」と、眼精疲労による血行不良で、髪質が低下する可能性や、PC・スマホのブルーライトが細胞に影響を及ぼし、毛髪の老化につながる可能性があると指摘する。「オンライン上での、老け髪脱却ポイントとしては、カメラは見上げる位置に設定。レフ板代わりに白い紙を活用してほしい。手の皮脂(天然オイル)を使った手ぐしでツヤだしも効果が得られる」と、即効対策として3つのポイントを挙げていた。「日常での予防対策としては、頭皮のツボマッサージを行う、シャンプー前の3分間で血行を促進する。洗髪では、頭皮を寄せるようにして洗う。そして、赤・黒・緑・黄・白の5色を意識した食事も有効とみられる」と、漢方や植物と同じように、自力での良質な髪づくりを目指すべく、老け髪予防を習慣化してほしいとアドバイスしていた。

大正製薬=https://www.taisho.co.jp/
ネイチャーラボ=https://www.naturelab.co.jp/


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