医療最前線

気づいて!涙液トラブル啓発委員会、コロナ禍に伴う新しい生活様式の浸透から眼とデジタルデバイスとの新しい付き合い方を考える上で「涙」が重要な役割を果たす点を発信

2021.06.30 20:45 更新

 東邦大学医療センター大森病院 眼科の堀裕一先生、順天堂大学医学部附属順天堂医院 眼科の猪俣武範先生、ケイシン五反田アイクリニックの内野美樹先生をメンバーとする“「気づいて!涙液トラブル啓発委員会」Supported by 参天製薬”(以下、同委員会)は、発足以降2回目となる報道関係者向けのカンファレンスを6月29日にオンラインで開催した。7月3日は「なみだの日」(日本記念日協会認定/ドライアイ研究会設定)として制定されているが、特に今年は昨年からのコロナ禍の影響を経て、新しい生活様式化が定着しつつある中で迎える最初の「なみだの日」となる。様々な生活様式の変化で、目への負担が高まるシーンもあるが、これを機に正しいアイケア「なみだのケア」を定着させるべく、それぞれの眼科医がわかりやすく説明した。

 東邦大学医療センター大森病院 眼科の堀裕一先生は、「コロナ禍の経験と新しい生活様式の浸透で、動画コンテンツを視聴する人が増えている。新型コロナウイルス感染症拡大が収まっても、この傾向は続くと見られる」と、動画コンテンツを視聴する生活は今後定着していくと示唆する。「長い動画視聴は、眼の負担増につながるため、眼とデジタルディバイスとの新しい付き合い方が重要となってくる」と、動画視聴によって酷使された目をどうやってケアしていくかが課題になると説明する。「その中でとても重要な役割を果たしているのが“涙”で、角膜など目の表面の組織を潤し、乾燥から守ってくれる。また、目の表面の組織に栄養や酸素を供給。外界から侵入する菌や異物から目を守る。そして、角膜の表面の凹凸をなめらかな曲面にすることで、きれいな画像を脳に届ける」と、涙の機能性について解説してくれた。

 「『涙液トラブル』とは、涙の不具合が原因で起こる目の不快症状となる。涙液トラブルの頻度が増え、重症化すると、ドライアイや角膜の傷(角膜上皮障害)、眼炎症、視力低下につながる」と、涙液トラブルのリスクについて説明。「また、涙液トラブルは、多様な症状を招き、目の疾患だけでなく、生活の質の低下や労働生産性の低下、抑うつ症状が起こる可能性もある。それだけに、涙のケアによる予防・悪化の防止が大切となる」と、涙液トラブルを引き起こす前に対処する必要性があると訴える。「当委員会では、目の健康に対する意識の低い人が自身の目のトラブルに気づき、具体的な対策をとってもらうきっかけづくりとして、公平な視点や立場から、目のトラブルと涙の関係性についても正しい知識やエビデンスを発信し、目の疲れ、かすみ、不快感が、実は涙の不安定、涙液トラブルが原因という可能性があることの啓発活動を行っていく」と、同委員会が目指す役割について紹介した。

 ケイシン五反田アイクリニック 院長の内野美樹先生は、動画視聴とアイケアに関する実態調査について発表した。「15歳から69歳の男女1200名を対象に、5月15日~16日の2日間、インターネット調査でアンケートを行った。その結果、新型コロナウイルス感染症の拡大以降に増えた時間の過ごし方では、自宅で過ごす機会・時間が77.2%、テレビやスマホで動画コンテンツを見る機会・時間が45.4%に達した」と、自宅で動画を見る機会が増えているという。「動画コンテンツ視聴時間の変化について、増えた(とても増えた+やや増えた)の回答は5割近くに達した」と、半数近くが増加したと回答している。「動画コンテンツ視聴時間は約半数が1~4時間増えたと回答。使用している視聴ディバイスはスマートフォンが約8割超と最も多く、何かしらのデバイスに接している時間は、平日が7時間22分、休日が7時間29分だった」と、スマートフォンで長時間、動画コンテンツを視聴していることが明らかとなった。「動画視聴による体の不調を訴える人は多く、特に目に関する不調が過半数を占めた」と、動画視聴は目の不調につながることが浮き彫りになった。「一方で、4人に1人はアイケアを行っていないことがわかった」と、目に不調を抱えているにも関わらず、アイケアを行っていない人が一定数存在することが明らかとなった。

 この結果から内野先生は、手軽にできるアイケアを紹介。「乾きを防ぐためのメガネやグッズを使ったり、温かいタオルで目を温めることも効果が高い。また目薬を使ったり、瞬きをすることで目を潤してほしい。最近はまつ毛シャンプーも販売されているので、これを使って目元を清潔にしてほしい」と、ケアグッズを活用しながら、目を労わってほしいという。「その他、睡眠をしっかりとり、適度な運動も大切となる。さらに心身を落ち着かせるための深呼吸も効果的といえる。また栄養バランスの整った食事やサプリメントの活用も目の不調の改善につながる可能性がある」と、目を直接ケアするだけでなく、生活習慣を改善することで、目をケアできることも教えてくれた。

 順天堂大学医学部付属順天堂医院眼科の猪俣武範先生は、長時間にわたるスポーツ観戦とアイケアについて講演を行った。「これから楽しみにしているイベントとして、約4人に1人がスポーツ観戦を楽しみにしており、そのうち7割以上がテレビ放送で観戦・応援を予定している」と、テレビでスポーツ観戦したいと回答。「新型コロナウイルス感染症拡大以降、家で過ごす時間が増えて、テレビやスマホ、PCでのスポーツなどの視聴に夢中になっている人も少なくないと思われる。これが目に負担をかけてしまうシーンの増加につながる」と、長時間のスポーツ観戦は目の不調につながる恐れがあると警告する。「それでも目のケアを何もしないことは、状態が悪化するリスクとなる」と、モニター作業時間の増加はドライアイの重症化リスク因子なのだと教えてくれた。「目のかすみや疲れ、不快感を感じたら、涙液トラブルの状態かもしれない。放置すると、ドライアイの発症やさらには視機能への影響も懸念される」と、点眼薬を使用したり、連続して視聴する時間をあらかじめ決めておくなど目への配慮が大切だと話していた。「また、スマートフォンなどの小さい画面は、目のピント調整が普段から活発に行われ、それらが原因で目の負担が大きくなると想定される」と、スマホやタブレットが目に与える影響を解説してくれた。

 一方、スポーツをしている際の涙液トラブルについても紹介。「スポーツをしている時、まばたきの回数は減少する。まばたきをすることで目の潤いを保っているので、目の乾きを感じやすくなる。ドライアイをきっかけに実用視力が低下するケースもある」と、スポーツをする時のアイケアの必要性を説く。「目薬をさす時間やタイミングを決めて、定期的に行う。渇きを感じたタイミングがあれば、点眼する」と、適切なアイケアを継続することが重要だと訴える。「注目を集めるeスポーツは、ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル(VDT)作業だといえる。動くものを注視する機会も多いため、eスポーツは目への負担が大きい。eスポーツやテレビゲームに限らず、モニターを用いた作業は涙の不満定性による目の不快症状、すなわち涙液トラブルを引き起こす可能性が高い」と、eスポーツにおいても定期的に目を休めることや、点眼薬などで涙をケアすることが一層大切となると述べていた。

 では、涙液トラブルを放置するとどうなるのだろうか。「ドライアイ症状があるのに、ドライアイと診断されない未診断者は53.8%に達している。こうした未診断者は涙ケアが必要になる」と、ドライアイ症状がありながらドライアイと診断されない未診断者はまさに涙液トラブルの状態なのだと警告する。「ドライアイは現代病の1つとして今後も増加するとみられる。しかし、その多くの人がドライアイを診断されずに、症状に苦しんでいる可能性もある」と、ドライアイと診断されなくても涙液トラブルを発症しているため、涙のケアが必要になると訴える。「今年は正しいアイケアを始める出発点として、『なみだケア元年』にするべく、当委員会では積極的な啓発活動を行っていく」と、涙液トラブルで悩む人々に涙ケアの重要性をアピールしていくと意気込んだ。

 “「気づいて!涙液トラブル啓発委員会」Supported by 参天製薬”では、目の健康に対する意識の低い人が自身の目のトラブルに気づき、具体的な対策をとってもらうためのきっかけづくりとして、公平な視点や立場から、目のトラブルと涙の関係性についての正しい知識やエビデンスを発信し、「目の疲れ、かすみ、不快感は実は涙の不安定性、涙液トラブルが原因」という可能性があることの啓発活動を行うとしている。

「気づいて!涙液トラブル啓発委員会」Supported by 参天製薬=https://ruieki-trouble.com/


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