医療最前線

ファンペップ、抗体誘導ペプチドに関するメディア説明会を開催、抗体誘導技術を用いた治療ワクチンの開発と出口戦略について解説

2021.05.21 19:48 更新

 ファンペップは、独自のペプチド技術により開発を進める治療ワクチン(抗体誘導ペプチド)に関して、「次世代医薬品がもたらす未来」をテーマにしたメディア説明会を5月19日に開催した。説明会では、大阪大学大学院医学系研究科 健康発達医学 寄附講座教授の中神啓徳先生を招き、抗体誘導技術を用いた新たなモダリティとして治療ワクチンの開発とその出口戦略について講演を行った。

 「当社は、大阪大学大学院医学系研究科の機能性ペプチドの研究成果を実用化することを目的に、2013年10月に設立された。大学発の創薬系バイオベンチャーとして、大学の研究成果を製薬会社に橋渡しする役割を担っている」と、ファンペップの三好稔美社長が挨拶。「ヒト由来抗菌ペプチド『AG30』を起源とし、当社の持つペプチド加工ノウハウを強みに研究開発パイプラインを構築。この結果、アジュバント(ワクチン製剤に含まれ免疫反応を増強する物質)機能を最適化した抗体誘導ペプチド『AJP001』を見出した。さらに、抗体誘導ペプチドによる創薬プラットフォーム技術『STEP UP』を開発し、3品目の医薬品候補を創出した」と、抗体誘導ペプチドの開発経緯を説明した。

 「従来の抗体医薬品は、動物細胞を使い施設で製造された抗体が使われていた。一方で、抗体誘導ペプチドは、標的タンパク質に対する抗体を体内で産生する。これにより、製造コストを低減できると共に、治療効果が持続するため投与回数も少なくすることができる」と、高額な抗体医薬品に対する代替医薬品として期待されているのだと強調した。「当社では今後、抗体医薬品に不満のある患者、および低分子医薬品に不満を持ちながら抗体医薬品が使えない患者など幅広い患者層を対象に抗体誘導ペプチドを展開し、新たな医薬品市場を開拓していく。また、対象疾患を広げ、抗体誘導ペプチドプロジェクトのパイプラインも拡充する。さらに、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン研究にも取り組んでいく」と、今後の展開についても言及した。

 続いて、大阪大学大学院医学系研究科 健康発達医学 寄附講座教授の中神啓徳先生が、「抗体誘導ペプチドを用いた治療ワクチンの開発とポストコロナ時代の出口戦略」と題した講演を行った。「人間の免疫システムは、自然免疫と獲得免疫の二段構えとなっている。自然免疫の中でも樹状細胞は、細菌やウイルスなど敵の情報を獲得免疫の司令官であるヘルパーT細胞に伝える役目を持っており、この情報をもとにヘルパーT細胞が、キラーT細胞やB細胞、抗体の働きを調整している」と、免疫システムについて解説。「現在、当大学では、抗体誘導型治療ワクチン基盤技術の確立に取り組んでいる。この技術は、自己抗原ワクチンでアジュバントによる樹状細胞の活性化を図り、ヘルパーT細胞を介してB細胞を活性化させ、標的分子に対する抗体の産生を促すものとなる。これまでの基礎研究では、マウスレベルで様々な生活習慣病・慢性疾患に対して効果のある治療ワクチンを開発している」と、自己免疫力で抗体を作る新たな治療ワクチン基盤技術の開発に力を注いでいると力説した。

 「新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、医療の現場も大きく変化している。特に、不要不急の外出制限やソーシャルディスタンスの徹底により、オンライン診療やパーソナルヘルスレコードの活用が急速に進んできている。治療法についても、従来のように病気になってから病院で治療するのではなく、日常生活での病気予防・健康増進の意欲がさらに高まっている。将来的には、疾患ごとの治療ではなく、個別化医療が進んでいくと考えている」と、新型コロナウイルス感染症の影響により医療および治療法の変化が加速しているという。「抗体誘導型治療ワクチンの出口戦略としても、個別化医療が重要になるとみている。例えば、生活習慣病では、高血圧・脂質異常症等に対する経口薬連日投与を、年に数回の治療ワクチンに切り替えることができる。がんや慢性炎症疾患などでは、抗体医薬の維持療法を数回の治療ワクチンに切り替えることが可能になる。最終的には、早期から疾患発症を予防するワクチンの実用化を目指しており、ワクチンで老化細胞を除去する治療法の確立にもチャレンジしている」と、抗体誘導型治療ワクチンの出口戦略に向けた構想を語った。

ファンペップ=https://www.funpep.co.jp/


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