医療最前線

バリアン メディカル システムズ、脳腫瘍に関する放射線治療の実態と現状および最新治療法についてプレスセミナー、新しい定位照射システムの特徴や導入効果を紹介

2021.03.26 20:13 更新

 放射線治療装置および関連システムを取り扱うバリアン メディカル システムズは、「脳腫瘍に関する放射線治療の実態と現状・最新治療法について」と題したプレスセミナーを3月24日に開催した。今回のセミナーでは、脳腫瘍における放射線治療の最前線で活躍している北海道大学放射線治療学教室 教授の青山英史先生が、脳腫瘍治療の実態と現状について説明した他、大阪国際がんセンター放射線腫瘍科主任部長の手島昭樹先生がリモートで講演を行い、汎用型放射線治療装置とその新技術による最新の治療法を紹介した。

 「当社は1948年に米国スタンフォード大学敷地内で創業し、現在は放射線治療のグローバルリーダーとなっている。世界における放射線治療装置の設置台数は8000台を超えており、162ヵ国で39の製品群を展開している。そして、様々なイノベーションを通じて放射線治療の進化を支えてきた」と、バリアン メディカル システムズの福島権一専務が挨拶。「日本国内では、約350の施設で約600台の当社製品が活用されている。放射線治療装置の納入シェアでは当社が50%以上を占めており、年間で約17万人の患者をサポートしていることとなる」と、日本市場においても放射線治療をリードしていると胸を張る。「今後もマルチモダリティな治療アプローチでがん医療を支援するとともに、AIや機械学習、クラウドソリューションへの取り組みによって治療全体の標準化・効率化を図り、当社ビジョンである『A world without fear of cancer(がんの脅威に負けない世界)』の実現を目指していく」と、放射線治療のさらなる進化に意欲を見せた。

 そして、北海道大学放射線治療学教室 教授の青山英史先生が、「脳腫瘍治療の実態と現状」について講演を行った。「がんの治療法には、手術、化学療法、放射線治療の3つの選択肢があるが、転移性脳腫瘍では放射線治療が主体となる。英国で行われた試験では、全身状態が良く、頭蓋外のがんが制御されている患者では、放射線治療を行うことで予後が改善することが示唆された」と、放射線治療は転移性脳腫瘍に効果的な治療法なのだと説明する。「放射線治療には、脳全体を広く照射する『全脳照射』と、転移病巣を1個ずつ照射する『定位照射』の2つの方法がある。このうち基本となるのが全脳照射で、画像で見えない微小転移を制御する役割を果たす。ただし、晩期放射線障害により認知機能が低下するリスクがある」とのこと。「一方、定位照射は、射線を病変に集中させることで、正常脳への照射量を減らし、放射線障害のリスクを低減できる。しかし、定位照射単独では、全脳照射併用時と比較して、脳内の腫瘍再発率が2~3倍高くなるという課題がある」と、放射線治療のメリット・デメリットを教えてくれた。

 「また、従来の定位照射システムは、病変の形状が複雑な場合、放射線の分布を腫瘍形状にうまく合わせることが難しいという弱点を抱えていた。さらに、転移病巣を1個ずつ照射するのに時間がかかりすぎるため、患者が長時間動けないという点も問題だった」と、定位照射システムの技術的な弱点にも言及。「これらの弱点を克服したのが、バリアン メディカル システムズが開発した最新の汎用型放射線治療装置となる。同装置の新たな定位照射システムは、複数の病変を分割照射できるSI-VMATに対応している他、骨合わせによる画像誘導法や寝台の全自動制御によって、安全性と腫瘍制御率の向上、さらには治療時間の大幅短縮が可能となった」と、革新的な定位照射システムが誕生したのだと力説する。「しかし、この新システムの施行には、放射線治療医の固定医が2名、医学物理士が1名必要となる。そのため、放射線治療医の育成が進んでいない日本においては、大都市圏以外の地域病院では治療が施行できないのが現状であり、放射線治療医不足の解消が急ぐ必要がある」と、日本のがん診療水準およびがん治療成績の向上には、放射線治療医の育成が不可欠であるとの考えを示した。

 続いて、大阪国際がんセンター放射線腫瘍科主任部長の手島昭樹先生がリモートで講演を行い、最新の汎用型放射線治療装置とその新技術について詳しく解説した。「バリアン メディカル システムズが開発した汎用型放射線治療装置は、挟み込み型の頭部シェルを用いて、多方向から照射するノンコプラナーVMATによる新しい定位照射システムを採用している。寝台角度0度、45度、315度、90度の4本のビームを備えており、適切な放射線強度で450方向からピンポイントで腫瘍を狙うことができる」と、高度な脳腫瘍治療を実現する新たな定位照射システムを搭載しているという。「また、同システムでは、放射線量低減のための効率的なコリメータ角度の最適化計算をほぼ全自動で行う。そのため、オペレーターの入室を必要としないノンコプラナー照射が可能となる。これによって、スループットを向上させながら、品質の高い脳定位放射線治療を提供できるようになる」と、新システムのメリットを強調した。

 「当院では、2019年度から新システムを導入しており、導入後は転移性脳腫瘍に対する定位放射線治療の実績が急増している。新システムにおける転移性脳腫瘍の治療病巣数は約7割が1~3個で、15個以上の症例もあった。また、新システム導入前と比べると、病巣数7個以上の治療件数が増加していることがわかった。さらに、新システムは、正常脳への放射線量を減らせることも治療実績から明らかになった」と、治療実績を踏まえながら、新しい定位照射システムの導入効果を紹介した。「新システムの治療を受ける際は、オーダーメイドマスクを着用するだけで、患者の身体に負担が少ないため、外来通院も可能となっている。また、身体の位置を補正するためのCT撮影や、様々な角度からのピンポイント照射を自動で行うことにより、約20分という短い時間で治療ができる点も患者にとって大きなメリットになる」と、新システムを活用することで、脳腫瘍患者に対する負担を軽減しつつ、高い治療成績が期待できるとの見解を述べた。

バリアン メディカル システムズ=http://www.varian.com/ja

 


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