医療最前線

大阪大学発のベンチャー企業ファンペップ、機能性ペプチドの実用化に向けて研究開発を加速、医薬品や化粧品・医療機器として幅広い分野に展開

2020.11.06 16:01 更新

 大阪大学大学院医学系研究科によって発見された抗菌ペプチド「AG30」をもとに、特定の機能を強化した「機能性ペプチド」の研究開発が加速している。そして、この機能性ペプチドの研究成果を実用化し、広範な分野への事業展開を目指しているのが大阪大学発のベンチャー企業ファンペップだ。特に、先行開発している機能性ペプチド「SR-0379」は、難治性皮膚潰瘍の治療薬として日本で第III相臨床試験の準備が進められているという。今回、ファンペップの三好稔美社長に、機能性ペプチドの可能性と実用化に向けた展望を聞いた。

 「当社は、大阪大学で研究開発されている機能性ペプチドに着目し、その実用化を目的として2013年10月に設立した。ペプチド(peptide)の持つ機能(function)の可能性を追求し、人々に健康で明るく、楽しい人生(fun life)をもたらしていくという想いが込めて、社名をファンペップと名付けた」と、大阪大学発のベンチャーとして創業した経緯を語る三好社長。「ペプチドとは、アミノ酸が2~50個程度つながった化合物の総称で、大阪大学では、血管新生活性と抗菌活性を有する新規ペプチド『AG30』を発見。さらに『AG30』をもとに、ペプチド合成技術によってアミノ酸の数を30から20に絞り、特定の機能を強化した機能性ペプチドを開発した。当社は、2015年に機能性ペプチドに関する特許を取得しており、医薬品や化粧品、医療機器として実用化し、幅広い分野に提供することを目指している」と、機能性ペプチドの開発背景について説明した。

 「現在、当社では、『SR-0379』、『AJP001』、『キュアペプチン』の3つの機能性ペプチドについて、大阪大学と共同での研究開発および実用化に向けた取り組みを進めている」と、同社の持つペプチド技術を生かし、3種類の機能性ペプチドを実用化するべく、研究開発を加速しているという。「『SR-0379』は、血管新生作用と抗菌活性の機能をさらに強化した機能性ペプチド。難治性皮膚潰瘍を対象疾患として、医薬品としての開発を進めている。『AJP001』は、標的タンパク質に対する抗体を体内で産生させる抗体誘導ペプチドとなる。高額な抗体医薬品に対し、患者負担の少ない価格の代替薬として期待されている。『キュアペプチン』は、抗菌活性に最適化した機能性ペプチドで、化粧品や医療機器分野への応用を検討している」と、それぞれの機能性ペプチドの特徴について教えてくれた。

 「この中で、先行して開発を進めているのが『SR-0379』となる。『SR-0379』の持つ肉芽形成作用と抗菌作用によって、難治性皮膚潰瘍患者の植皮治療を早期に可能にする医薬品を開発している。2015年10月に、全世界における独占的研究開発・製造販売権を塩野義製薬に供与し、2018年7月から日本での第II相臨床試験を開始している。現在は、第III相臨床試験の準備を行っている」と、先行開発している「SR-0379」は、着実に実用化に近づいているという。「抗体誘導ペプチドの『AJP001』は、乾癬を対象疾患とする医薬品『FPP003』について、豪州で第I/IIa相臨床試験を実施しているほか、日本では強直性脊椎炎を対象疾患とする非臨床試験を行っている。また、花粉症を対象疾患とした医薬品『FPP004』についても非臨床試験を進めている」と、抗体誘導ペプチドの開発状況も紹介した。

 今後の展望について三好社長は、「まずは、早期に『SR-0379』を難治性皮膚潰瘍の治療薬として実用化することを目指す。また、抗体誘導ペプチドにより、高額な抗体医薬品に代わる新しい次世代医薬品の開発に力を注ぎ、患者の負担と医療財政負担の軽減に貢献していく。そして、今後も大学の知を発掘し、人々の健康と美容へとつなげていくことで、より豊かな人間社会の未来を目指した創薬ビジネスを展開していく」と意欲を見せた。

 なお、ファンペップでは、現在、大阪大学やアンジェスが進める新型コロナウイルスに対する予防用DNAワクチンの開発にも参画しており、ファンペップのペプチド技術(抗体誘導ペプチド「AJP001」)により、ワクチン接種でのさらなる抗体価上昇が期待されている。

ファンペップ=https://funpep.co.jp/


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