医療最前線

第一興商、長野県松本市の「退職後男性の生きがいづくり」事業として「スポーツボイス大学院」を実施、高齢者男性の介護予防・健康増進を支援

2016.08.10 10:46 更新

 第一興商は、長野県松本市が行う「退職後男性の生きがいづくり」事業を受託し、今年9月から2017年3月まで、同市における地域福祉の拠点である福祉ひろば5地区で、介護予防・健康増進プログラム「スポーツボイス大学院」を実施する。8月9日に行われた記者発表会では、同社と松本市、信州大学が参加した産官学連携プロジェクトとして2015年度に実施した「スポーツボイス大学院」の実証実験事業の概要と効果について説明した他、同プログラムで採用された第一興商の生活総合機能改善機器「DK エルダーシステム」および「スポーツボイス大学院」の事業展開について紹介した。

 「松本市は、2008年6月に『健康寿命延伸都市』構想を表明し、健康を活力ある超高齢社会の源と捉え、まちづくりの基本方針として市総合計画に反映してきた」と、松本市 商工観光部 健康産業・企業立地担当の平尾勇部長が挨拶。「その中で、健康寿命の延伸に関わる様々な課題は、行政だけでなく民間企業にとっても共通の課題であり、これを解決する取り組みは新たなビジネスチャンスにつながると考えた。そして、2011年7月に、産業創出のための関係者を集結したプラットフォーム『松本地域健康産業推進協議会』を設置。2013年から第一興商に加わってもらい、男性高齢者の介護予防・健康づくりへの参加を促すべく、同社の生活総合機能改善機器『DK エルダーシステム』を活用した、男性限定の健康・生きがいづくりの実証実験事業『スポーツボイス大学院実証事業』を2015年度に実施した」と、第一興商との実証事業に至る経緯について説明した。

 「『スポーツボイス大学院実証事業』では、市内3地区の福祉ひろばに『DK エルダーシステム』を設置し、閉じこもりが心配される定年退職後の男性を対象に、集団で全身運動、声帯ストレッチや腹式呼吸に重点を置くボディ&ボイストレーニングを行うプログラム『スポーツボイス大学院』を、2015年10月から2016年2月まで実施した」とのこと。「この実証実験事業について、信州大学人文学部と共同研究を行った結果、参加者のパーソナリティにポジティブな影響を与えたり、心理的な健康が向上したことなどが明らかになった」と、実証実験事業によって、男性高齢者の介護予防・健康づくりに寄与することが示唆された。「この結果を踏まえ、今年度からは、『退職後男性の生きがいづくり』事業として正式に予算化し、第一興商と共に『スポーツボイス大学院』をビジネス展開する。この事業を通じて、地域コミュニティの活性化、高齢者男性の社会参加、そして介護予防のさらなる促進を支援していく」と、“健康寿命延伸都市・松本”を実現するために産官学一体になって「スポーツボイス大学院」事業を推進していく考えを示した。

 続いて、信州大学人文学部の長谷川孝治准教授が、2015年度の「スポーツボイス大学院実証事業」における共同研究結果を基に、「スポーツボイス大学院」の効果について解説した。「共同研究では、『スポーツボイス大学院』の参加者およびその配偶者を対象にアンケートを行い、参加者の心理的な健康に及ぼす影響と共に、配偶者との関係の変化についても検証した。『スポーツボイス大学院』参加者と、同地区の福祉ひろばで別の活動をしていた統制群を比較したところ、『自尊心』、『反映的自己評価』、『積極的他者関係』、『人格的成長』、『一般的な健康』、『生活満足度』の各項目について、『スポーツボイス大学院』参加者のほうが高い結果となった」と、「スポーツボイス大学院」参加者は心理的な健康が有意に向上したという。「また、配偶者に行ったアンケートでは、『スポーツボイス大学院』参加者のほうが、『威圧的コミュニケーション』が低くなった一方で、『無視・回避されることがある』との回答は高くなった。これは、配偶者との関係性はよくなったが、参加者の興味が外向きになったことで、配偶者にとっては自分が避けられているように感じたものと推察される」と、配偶者との関係にも変化が見られたと述べていた。

 今回の「スポーツボイス大学院」事業で採用された生活総合機能改善機器「DK エルダーシステム」と今後の事業展開について、第一興商 執行役員 エルダー事業開発部の戸塚圭介部長が説明した。「当社は、『うたと音楽』のエンターテインメント企業として、業務用カラオケを中心に事業展開をしている。現在、カラオケは老若男女問わず広く浸透しているカルチャーであり、全世代、多種多様な人々が自主的に集うたまり場を創出するツールとして活用されている。この特長を生かして、2001年からは高齢者の健康づくり・介護予防に向けた取り組みを開始している」と、レジャー事業だけでなく健康事業にも力を入れてきたという。「健康事業の中核として展開しているのが、カラオケをベースにした生活総合機能改善機器『DK エルダーシステム』となる。同システムでは、高齢者が『うたと音楽』を活用して楽しみながら継続でき、かつ効果的な介護予防教室を提供するべく、健康増進・介護予防プログラムの開発や専門スタッフの育成を進めている。今年8月現在で、デイサービスや老健・特養など介護施設を中心に約1万9500ヵ所に導入されており、ここ数年は自治体関連施設への導入も加速している」と、多くの介護施設・行政保有施設で「DK エルダーシステム」が活用されているのだと胸を張る。

 「松本市と実施した『スポーツボイス大学院実証事業』では、『DK エルダーシステム』を活用し、閉じこもりが心配される定年退職後の男性に向けてボイストレーニング教室を実施。集団で歌を練習し、発声練習として筋力トレーニングを行った。2015年10月から2016年2月の5ヵ月間で、計49回の講座を行うと共に、発声トレーニングの成果を披露する合同発表会を開催し、平均年齢71.1歳の男性延べ1206名が参加した。継続参加したのは72名で、そのうち47名は、自主グループとして活動を継続している」と、産官学一体で進めてきた「スポーツボイス大学院」の取り組みが市民にも浸透しつつあると力を込める。「今年度からは、正式に事業化され、市内の福祉ひろばのうち、島内地区、里山辺地区、寿地区および今井地区の4地区で男性限定の『スポーツボイス大学院』を、鎌田地区では女性限定の『スポーツボイスカレッジ』を同事業として実施する。1回あたり約90分の発声・歌唱方法を学ぶ講座を行い、各地区の高齢者は8000円(税別/16回分)を負担することで参加できる。また、講座運営にあたっては、昨年度の『スポーツボイス大学院』の修了生に先生役を務めてもらうことになっている」と、今年度から事業化する「スポーツボイス大学院」の展開についても言及していた。

 そして、「スポーツボイス」の開発者であるGOLDWAXの東哲一郎代表取締役が、実演を交えながら、「スポーツボイス」のプログラムについて紹介した。「20年ほど前、米国で超一流歌手のツアーメンバーと一緒にレコーディングをした際に、歌の技術の素晴らしさに驚かされた。どうやってトレーニングすれば、同じような技術を身につけられるのかと考えたことが、『スポーツボイス』開発のきっかけだった」と、歌の技術はトレーニングによって身につけることができるのだと力説する。「『スポーツボイス』は、アスリートのように横隔膜を動かしたり声帯ストレッチを行うことで、歌の技術を向上させるトレーニングプログラムとなっている。このプログラムに取り組むことで、声帯に余計な力をかけず、お腹から力強い声を出して、思い通りに歌えるようになる。今回の『スポーツボイス大学院』を通じて、多く高齢者が歌の技術を身につけ、自身の介護予防に役立ててほしい」と、「スポーツボイス」が高齢者の介護予防と健康増進につながることを願っていた。

第一興商=http://www.dkkaraoke.co.jp/
松本市公式ホームページ=https://www.city.matsumoto.nagano.jp/



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