医療最前線

GEヘルスケア・ジャパン、小児に優しい画像診断のあり方や小児のMRI検査の症例および騒音の少ないMRI技術の有用性について解説

2016.03.30 20:55 更新

 GEヘルスケア・ジャパンは3月11日、優しい小児医療の在り方を考えるシリーズと題し、子どもに優しいMRI検査と、小児画像診断の安全性についてセミナーを開催した。同セミナーでは、神奈川県立こども医療センター 放射線科部長の相田典子先生が、小児に優しい画像診断の在り方について講演を行った他、大阪大学大学院医学系研究科 放射線統合医学講座 放射線医学教室 准教授の渡邊嘉之先生が、実際の小児のMRI検査の症例や騒音の少ないMRI技術の有用性および可能性などについて解説してくれた。

 「当社は、医療課題解決へのイノベーション作りに注力しており、課題先進国として位置付けているのが日本である」と、GEヘルスケア・ジャパンの川上潤社長兼CEOが挨拶。「当社が展開するMR『SILENT SCAN(サイレント スキャン)』は、音を小さくする技術ではなく、音を発生させない(検査環境音+3dB以下)世界初(2013年10月調査)の技術。検査環境音に対して、わずか3dB以下の騒音を実現した」と、ほぼ無音のMRなのだと胸を張る。「『サイレント スキャン』は、小児や大きな音の苦手な人などで利用され、現在では、T2とFLAIRは動き補正が併用可能となっている。万が一起きたり、動いてしまっても、多くはそのまま撮像が可能となっている。また、撮像領域を頭部中心から、整形、骨盤領域へと拡張中だ」と、「サイレント スキャン」の歩みについて言及してくれた。「患者にとってMRは暗い、音がうるさいなど心的な部分への影響のみならず、臨床上の利益の研究も行っている。とくに、小児の分野で活かすことができると考えている」と、小児での活用について研究が行われているのだという。「将来的には、『サイレント スキャン』がMRのデファクトスタンダードになっていく技術だと期待している」と、MRの常識が「サイレント スキャン」が使う技術になっていくと話していた。

 次に、神奈川県立こども医療センター 放射線科 部長の相田典子先生が、「子どもに優しい画像診断を目指して:小児画像診断を取り巻く状況」について講演を行った。「小児でのMRIの需要はより高まっている。この理由として、小児の無駄なCTを省くことで被ばくを低減できるからだ」と、MRIに注目が集まる理由について解説。「当医療センターにおいても、2013年からMRIを活用する件数がCTを上回った」と、できるだけCTを使わないようにしているのだと説明する。「小児の画像診断は、高い専門性が要求され、MRIでは長時間の安静保持のため、鎮静が必要となる。ただし鎮静にはリスクがともなうため、小児検査の適応と選択については、依頼医と診断医が十分に話し合うことが必要になる」と、小児画像診断の難しさについて述べてくれた。「小児であっても成人と基本的に値段は同じであることから、小児画像診断は採算が合わないという問題もある」と、6歳未満の加算はあるが、包括医療費支払では無効であるとのこと。

 「さて、日本のMRIは世界第一位の保有台数を誇り、全世界の35%を占める。その一方で、専門医は約5600名で全医師の2%に過ぎない。しかも、ほとんどの放射線科医は成人病やがんなどに対応しているため、小児に手が回らない現状がある」と、小児放射線診断医は非常に少ないのだと嘆く。「感受性が高く余命の長い小児は、被ばくを含めた侵襲に最も気をつけなければならない。それなのに、画像機器は適切に使用されているとはいえず、適応判断も検査方法も診断も十分ではない」と、日本の医療体制の問題点について言及していた。「そこで、日本小児科学会・日本小児麻酔学会・日本小児放射線学会によるMRI検査時の鎮静に関する共同提言を2013年に行った。共同提言では、体動のない画像を得ることが必要であることを説き、そのためには適切な鎮静が必須であり、鎮静のための安全対策も必須であると提言した」と、小児の画像診断の原則をまとめたという。「MR機器関連企業への説明会を開催するなどした結果、日本画像医療システム工業会規格の磁気共鳴画像診断装置施設の安全基準において、小児患者の撮影を行う際の項目が改訂された」と、MRI装置更新の際の仕様書に改訂内容を含めることが明記されたという。

 「子どもに優しい画像診断のため、医療機器メーカーでは、CT被ばく低減技術が飛躍的に進歩している。また、MRIの騒音の改善やMRI静音シーケンスも開発されている」と、各社が小児に目を向け始めているとのこと。「小児画像診断には、小児解剖・疾患特殊性の知識が必須となる。できた画像の読影だけでなく、検査の質や適応をコントロールするのが専門家の役目となる。それだけに、小児担当医と画像診断医の連携が必須となる」と、日本の子どもたちが、静音MRIなどの最先端技術を含めた質の高い画像診断を享受できるようになることが重要であると話していた。最後に、相田先生は、「小児画像検査は専門医の見識を持って厳選され、最もふさわしい方法で低侵襲かつ必要な診断情報を損なわないような形で行わなければならない。これは、放射線診断専門医がその能力を最も発揮できるところであり、専門知識を駆使しての積極的な関与が未来を担う子どもたちのために直接貢献する」と、子どもたちにより良い医療を願うメッセージを寄せてくれた。

 大阪大学大学院医学系研究科 放射線統合医学講座 放射線医学教室 准教授の渡邊嘉之先生が、「小児MRにおけるサイレント スキャンの有用性と可能性」と題した講演を行った。「撮像音を比較すると、通常は環境音+3dB以下で108dBとなる。一方、サイレント スキャンは77dBと、非常に静かなことが確認できる」と、撮像音について比較。「MRIは大きな電磁石」と、磁場を起こして画像を撮影するとのこと。「MRIは大きな電流が、様々な波形として頻繁に切り換わる。これが様々な周波数の大きな音となって発生する」と、MIRはスピーカーと同じ原理で大きな音が発生していると教えてくれた。

 そして、通常のMRとサイレント スキャンの実際の撮像音を流し、その違いを解説してくれた。「サイレント スキャンであれば、かなり音が小さく、T1ではほぼ無音といえる。また、サイレント スキャンは画像もこれまでのものと変わりがない」と、撮像音を抑えていながら、画像はこれまでと変わらないと話していた。「サイレント スキャンでは、小さいものを描出し、今まで見えないものを描出してくれる。さらに、撮像時間の短縮にもつながる。このため、音のしないサイレント スキャンは、患者に優しい検査が可能で、小児へのよい適応が期待される」と、患者に優しいMRがサイレント スキャンなのだと教えてくれた。

 次に、MRIにおいて、なぜ鎮静が必要なのかについて説明してくれた。「画像検査は動きに弱い。撮像時間はCTが0.3~0.5秒程度であるのに対し、MRIは1~5分程度要する。このため、検査中の安静が必要となる」と、MRIでは、1~5分間、動かないことが必要になるのだという。「サイレント スキャンであれば、導入時に音がしないので、少量の鎮静で開始可能だ。今までなら追加していた鎮静薬が不要となる。途中覚醒による鎮静追加も減少した。音に敏感な子どもでも検査が容易となっている」と、小児検査への応用面について言及してくれた。「サイレント スキャンは音の小さなMRI撮像が可能。小児において追加鎮静例の減少につながる。今後、多くの部位での撮像、装置の普及が望まれる」と、小児だけでなく、すべての人に優しい検査であるだけに、さらなる応用装置の普及に期待を寄せていた。

GEヘルスケア・ジャパン=http://www3.gehealthcare.co.jp/


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