医療最前線

サノフィ、ポリオ感染症に対する未だに残る日本のワクチンギャップの解消と不活化ポリオワクチンの2回目の追加接種の意義について解説

2016.03.07 20:35 更新

 サノフィは2月18日、「『ポリオ』未だ残る日本のワクチンギャップ解消へ~グローバル化の進展に伴い、高まる子どもの感染症リスク~」と題したセミナーを開催した。セミナーでは、ワクチン接種に関する海外の最新動向と日本に未だに残るワクチンギャップについて、川崎医科大学小児科学教授の中野貴司先生が講演を行った他、千葉県立佐原病院 小児科部長の松山剛先生が、不活化ポリオワクチンの2回目の追加接種の意義について、臨床試験結果を交えながら解説した。

 「日本には、高い技術があるのだが、さらによりよくできる余地があるとも感じている。その一つに、利用できるワクチンのギャップが挙げられる」と、サノフィ サノフィパスツールのマイケル・マレット ワクチンビジネスユニットヘッドが挨拶。「ワクチンは世界の人々に貢献してきた。100年前には感染症で亡くなる人が多かったが、ワクチンの登場でそれはなくなった。当社は、ワクチンを提供していくことで社会に貢献してきたと自負している」と、ワクチンの重要性を訴える。「日本では、インフルエンザ、ヒブワクチン、ポリオワクチンなどを提供してきた。今後もイノベーションにあふれたワクチンを日本に投入していきたいと考えている」と、ワクチンを通じて、日本の社会に貢献していくことが、同社の使命であると語っていた。

 次に、中野先生がワクチンギャップについて講演を行った。「日本では、1991年から2006年まで新しいワクチンが承認されてこなかった。さらに、日本には公的に接種されるワクチンが少ない」とのこと。「定期接種が増えたとはいえ、まだ欧米に比べると少ない状況である」と、予防接種は少ないのだと指摘する。「今回のテーマであるポリオについて見てみると、2013年から2018年にかけて最終根絶計画が進行中だ」と、ポリオには有効なワクチンがあるだけに根絶が可能なウイルスなのだと訴える。「2000年にポリオウイルス2型が消滅し、野生株によるポリオしか発生していない」と、世界で数百人レベルの発生に減少したのだという。「ただし、人が国境を越えて移動するようになり、ポリオは国をまたいで伝播するようになった」と、移動手段の発達によって、発生国が流行国になるとは限らないという。「日本では、2020年に東京オリンピックが開かれるなど、感染症の伝播が懸念される」と、人の往来が多くなることで、感染症のリスクは高まると話していた。「1980年から1982年の3年間、成田空港に到着した27路線369機のトイレ汚水から936検体を採取し、ウイルスを分離したところ、22機、25検体に25のウイルスが検出された。このうち2つは野生型強毒株1型ポリオウイルス1型であった」と、海外からポリオウイルスが持ち込まれた事例もあるだけに、ワクチン接種について改めて考える必要があると説いていた。

 この話を受けて松山先生は、「海外から日本へポリオウイルスが持ち込まれるリスクがある、不活化ポリオワクチンによる抗体価は、乳幼児期の追加接種後に上昇した後、継時的に減退するが、2回目の追加接種によって再度大きく上昇する」とのこと。「欧米諸国では、4歳以降に追加接種が実施されているだけに、小学校入学前は、入学後に比べて高い接種率が期待できるのではないかと推察される」と、不活化ポリオワクチンの就学前接種の重要性について説明した。「イモバックスポリオ皮下注製造販売後試験について見てみると、不活化ポリオワクチンは、接種後経年的に抗体価が減衰するが、追加接種によって再度上昇を得られることがわかった」という。「海外では、不活化ポリオワクチンを4歳以降に追加免疫接種している」と、幼児期のみの1回接種ではなく、小児期に追加接種しているという。「米国では、4歳以降の追加接種を強く推奨している」と、海外と日本では、ポリオワクチン接種のスケジュールに違いがあると述べていた。「日本では、小学校就学前に行われる予防接種は、就学後に行われる予防接種に比べて、接種率が高い。それだけに、この時期の摂取が推奨される」と、4歳から6歳の間に不活化ポリオワクチンの追加接種を行うことが理想的であると話していた。

サノフィ=http://www.sanofi.co.jp/


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