医療最前線

ブリストル・マイヤーズとファイザー、静脈血栓塞栓症治療における抗凝固薬エリキュースの有効性や安全性を解説

2016.02.01 20:19 更新

 ブリストル・マイヤーズとファイザーは1月27日、「静脈血栓塞栓症(VTE)治療の変遷と最新動向」と題したセミナーを開催した。セミナーでは、血栓症治療の第一人者である三重大学 客員教授、村瀬病院 副院長/肺塞栓・静脈血栓センター長の中村真潮先生が、健康な人でも注意が必要な静脈にできる血栓や、手術後にできやすい血栓について解説すると共に、新たな選択肢として注目されるエリキュースがVTE治療において果たす役割と臨床現場にもたらす影響について講演を行った。

 「VTEは、深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症を合わせた病気。深部静脈血栓症ができると、慢性期に静脈便不全を起こすことが多い。また、肺血栓塞栓症を生じる可能性がある」と、VTEとは、どんな病気であるかを説明する中村先生。「VTEは、肺循環器障害と低酸素血症が起こる」と、症状について言及してくれた。「VTEのリスク因子として、凝固能亢進や、エコノミー症候群などの静脈血うっ滞、静脈壁損傷が挙げられる」と、血液が固まったり、血液の循環が悪くなったり、静脈自体を傷つけると発症しやすいと教えてくれた。「厚生労働省研究班の調査などによると、肺塞栓症の診断症例数は年々増加している」とのこと。「ただし、VTEは認知度が高くないため、診断・治療の開発が遅れている。また、診断が容易ではなく、診断率が低い。診断が遅れた場合の死亡率も高い。さらに、薬物療法が理想的とは言えない。慢性期の再発は多い」と、VTE診断の問題点について話してくれた。

 「肺塞栓症の治療のファーストチョイスは、抗凝固療法となる」と、治療のアルゴリズムを見せながら紹介。「これまでの日本におけるVTEの治療では、未分画ヘパリンを発症から10日間投与し、発症から5日後からワルファリンを投与する。しかしこの薬のコントロールが難しく、再発も多いことから、発症から10日間を間接Xa阻害薬であるフォンダパリヌクスという皮下注射を行う」と、Xa阻害薬を使用した新しい抗凝固療法が行われてるという。「ただし、フォンダパリヌクスではコントロールは容易となったが、注射薬である、外来治療が困難という問題点も浮かび上がってきた」と、入院してもらうことになり、患者の負担も大きくなると指摘する。「さらに、VTEに対する抗凝固療法は、危険因子が可逆的である場合は、継続期間は3ヵ月間とされ、特発性のVTEおよび先天性凝固異常症の場合は、少なくとも3ヵ月間継続する。ガン患者や再発をした場合は、より長期間の継続という治療になっている」と、3ヵ月を目途に治療を中止しなければならないとのこと。「理由は、抗凝固療法による重大出血の可能性が否めないから」と、重大出血の可能性があるからだと話していた。

 「そこで、ワルファリンに変わる新たな経口抗凝固薬の臨床試験がスタート。日本では3つの薬が使用できるようになった。その中のアピキサバンは、凝固第Xa因子を可逆的かつ直接的に阻害する」とのこと。「バイオアベイラビリティが高く、期待通りの抗凝固効果が得られ、モニターが不要。薬物や食物の影響を受けにくく、ヘパリンやワルファリンと比較して、効果や安全性は同等以上という利点がある」と、新規経口抗凝固薬の特徴について説明。「その一方、効果のモニターが容易ではなく、中和が簡便ではない」と、問題点についても指摘してくれた。「VTE治療におけるアピキサバンの特徴として、発症時からの内服治療エビデンスが示された。初期から長期にかけて安定した抗血栓効果も見られた。従来の経口治療と類似したシンプルな用法・用量でなじみやすい。さらに初期治療時の出血性合併症に留意すればよい」と、腎障害や高齢、低体重、抗血小板薬併用の患者に注意すればよいと話していた。「新しい抗凝固療法は、標準治療と比較して、効果は同等であり、安全性は向上した」と、長期の治療が可能となり、軽症例にも治療しやすくなったと話す。「初期から内服治療のみで治療できる」と、外来での治療開始が可能になったと述べていた。「以上の点から、アピキサバンは、安全性が高く、投与方法がシンプルで、外来治療も行いやすい」と、VTE治療の主流になった新抗凝固療法の利便性についてまとめてくれた。

ブリストル・マイヤーズ=http://www.bms.co.jp/
ファイザー=http://www.pfizer.co.jp/


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