医療最前線

アステラス・アムジェン・バイオファーマ、高コレステロール血症治療の変遷とPCSK9の発見についてセミナーを開催

2015.12.23 23:56 更新

 アステラス・アムジェン・バイオファーマは、バイオ医薬品の研究・開発・臨床に関わる最新の情報を届ける活動の一つとして、「高コレステロール血症治療の変遷とPCSK9(悪玉コレステロールを血中から取り除く肝臓の働きを低下させるタンパク)の発見~PCSK9発見者が語る最新のバイオサイエンス~」と題したセミナーを12月18日に開催した。セミナーでは、帝京大学臨床研究センター センター長の寺本民生先生が、高コレステロール血症治療の歴史と変遷を解説した。また、悪玉コレステロールを血中から取り除く肝臓の働きを低下させるタンパクとして注目を集めるPCSK9の発見者であるモントリオール臨床医学研究所 循環器・代謝疾患研究部門ディレクターのNabil G. Seidah先生が、PCSK9発見に至るまでの研究の経緯について講演を行った。

 「当社は、日本の患者のアンメット・メディカル・ニーズに応える新薬を提供するべく、2013年に事業を開始した」と、アステラス・アムジェン・バイオファーマの高橋栄一社長が挨拶。「当社では、ブレークスルー・サイエンスに基づく医薬品を日本の患者に提供し、健康な社会の実現に新たな貢献を果たすことを使命としている」と、同社が掲げるミッションについて説明した。

 次に、寺本先生が、「高コレステロール治療の歴史・変遷 現在の臨床的課題」と題した講演を行った。「コレステロール研究においては、LDL受容体の発見、ABCA1の発見、NPC1L1の発見、PCSK9の発見がサイエンスの進歩として挙げられる。一方、薬剤においては、スタチンの発見やエゼチミブの発見がある」と、研究の進歩について紹介。「コレステロールの合成はすべての細胞で行われている。コレステロールの吸収は小腸粘膜細胞(NPC1L1)から、コレステロールはLDL受容体を介して細胞に摂り込まれる。コレステロールは胆汁酸、ステロイドに変換、細胞膜にもなる。体からの排泄は、胆汁を介してコレステロール、胆汁酸として、それもコレステロールは50%、胆汁酸は90%以上再吸収される」と、私たちの体はコレステロールを大切に使っているのだと説明していた。「疫学的研究では、コレステロールが高いと心筋梗塞が多い。飽和脂肪酸やコレステロールを多く摂取する国でコレステロールが高く、心筋梗塞のリスクも高い」ということも明らかになっている。「そして家族性高コレステロール血症では、常染色体優性遺伝として、ホモ型とヘテロ型に分けられる。ホモ型は、LDL受容体が完全に欠損している。ヘテロ型は、LDL受容体は半分である」と、家族性高コレステロール血症についても言及してくれた。

 「また、食事中のコレステロールと飽和脂肪酸は、LDL受容体の合成を抑制する」ということもわかっている。「そこで、LDL受容体を上げる薬として誕生したのがスタチン系の薬剤だ」と、スタチン誕生について教えてくれた。「スタチンによって下がったLDLは、患者の死亡率を下げることもわかった」と、30%のリスク低下が見られたことも説明してくれた。「さらに、LDLコレステロールをより強力に下げ、HDLコレステロールを上げる。トリグリセライドを下げることが求められるようになった」とのこと。「そして、このLDL低下量を支える基礎研究として、コレステロールの吸収メカニズムを解明した」と、LDL受容体の発見と同程度のエポックメイキングであるのだと述べていた。

 「家族性高コレステロール血症における目標のLDLコレステロール値は、100mg/dlもしくは治療前の50%未満とされている」と、もっと強力に下げることが課題であると指摘する。「PCSK9は、LDL受容体を壊していく作用があることから、LDLコレステロールを強力に下げるキーとして注目を集めている」とのこと。「LDL受容体のパスウェイとして細胞へのコレステロール供給から細胞が必要な分を作り、それ以外は供給に依存する。血中のLDLコレステロールは減少し、結果、動脈硬化の予防につながる」と、細胞へのコレステロール供給が重要なのだと語っていた。

 続いて、Seidah先生が、PCSK9発見について教えてくれた。「コレステロールは動物にしか存在しない。細胞の出入り口で重要だ。ビタミンDにも必要だ」という。「コレステロールは、いつも悪玉とは限らず、体内の55%は自分で産生し、残りは食事で摂取している」と、私たちの体は、コレステロールを作り出せることが明確であり、足りない分を食事で摂取していると教えてくれた。「そして、LDLコレステロールが高いと、心臓の疾患に罹患する確率が高まる。LDLコレステロールの値が70~90未満に低下すると、イベントリスクも下がる」と、LDLコレステロール値を下げることが重要になると話していた。「こうした中、PCSK9が、高コレステロール血症と関係していることがわかり、様々な研究がされるようになった」とのこと。「PCSK9があると、血中にあるリセプターが働かず、LDLコレステロールが増えていくことがわかった」と、PCSK9はLDLコレステロールを増やす作用があることを突き止めたようだ。「PCSK9を無くすと、脂肪がつかなくなることもわかってきた」と、脂肪症という観点においてもPCSK9はキーになると話していた。「PCSK9はレセプターと一緒に血中に入ってくるが、この機能をブロックする抗体がFDAで承認された。日本でも承認されることを期待している」と、LDLコレステロールを減らす抗体として、日本への導入も期待されると話していた。

 最後に挨拶した、アステラス・アムジェン・バイオファーマのKlaus Beck研究開発本部長は、「家族性高コレステロール血症も、あまり認知されていない現状がある。こうした認知を高めるためにも、今回のようなセミナーを定期的に開催し、技術の可能性などについて学んでもらえれば幸いだ」と、今後も勉強会などを開催していくと話していた。

アステラス・アムジェン・バイオファーマ=http://www.aabp.co.jp/jp/


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