食事・レストラン

SakeとGastronomyの融合をコンセプトとしたペアリングイベント「第6回 小松Saketronomy」を開催、小松市の魅力を発信するペアリングコースを提供

2021.11.22 23:40 更新

 小松市美食バレー実行委員会は、11月12日・13日の2日間、「Sake」と「Gastronomy」の融合をコンセプトとしたペアリングイベント「小松Saketronomy(サケトロノミー)」を開催した。第6回目となる今回の「小松Saketronomy」は、昨年の第4回に引き続き招聘シェフとなった山崎志朗シェフが、同イベントのために10月中旬に石川県に入り、漁港や農園などを事前視察して生産者と交流を深め、農口尚彦研究所の仕込水(日本酒を造るために汲みあげる伏流水)を使用した出汁のほか、日本酒、酒粕焼酎、米麹、酒粕を使用した料理が多数提供された。

 日本最高峰の醸造家のひとりで、「酒づくりの神様」の異名をもつ農口尚彦杜氏の匠の技術・精神・生き様を研究し、次世代に継承することをコンセプトとした2017年新設の酒蔵 農口尚彦研究所が中心となり、有機米生産者の「護国寺農場」と有機野菜生産者の「西田農園」が参加して発足された「小松市美食バレー実行委員会」は、地元農産物や食に関わるクリエイターの発信拠点を創造し、小松市を「美食のまち」として世界中の美食家達の「旅の目的地」とすることを目標とし、国内外の著名シェフによる「Sake」と「Gastronomy」の融合をコンセプトとしたペアリングイベント「小松Saketronomy」を定期的に開催してきた。

 2019年3月に始まったこのイベントは、これまで「メゾン・ド・タカ芦屋」高山英紀シェフ、「台湾 祥雲龍吟(台湾)」稗田良平シェフ、「レストランA.T(パリ)」田中淳シェフ、「京料理たか木」高木一雄シェフを招聘し、このイベントでしか味わえないオリジナリティの高いペアリングコースを提供し、美食家の人々を引きつけてきた。

 今回の「小松Saketronomy」では、ソムリエの資格も有する山崎シェフが事前に酒蔵の全商品を入念に分析して創り上げたペアリングコースを用意。石川県の冬の味覚「加能蟹」や「香箱蟹」も贅沢に組み込まれ、料理10品と、農口尚彦研究所の日本酒・焼酎9種類のペアリングとなった。

 生産者代表として参加した農口尚彦杜氏は、「もうすぐ89歳になるが、今冬も生涯最高の日本酒を造ろうと一生懸命に酒造りに取り組んでいり。山崎シェフの料理とのペアリング体験が、これからの酒造りに良い刺激となった」とコメントしていた。

 来年7月には、隣接する旧西尾小学校がリノベーションされ、ホテル、レストランを併設する体験施設として開業予定とのこと。今後も「小松Saketronomy」を定期開催し、小松市の里山に「美食のまち」を創る取り組みを続けていく考え。

 では、山崎シェフのペアリングコースを見てみよう。「LIMITED EDITION NOGUCHI NAOHIKO 01 2017vintage」は、農口尚彦研究所の最高峰。開業初年度に醸した日本酒の中で農口尚彦杜氏が選んだ最高のロットをボトリングした4年熟成のヴィンテージ限定酒となっている。ワイングラスで、冷酒で提供された。

 ペアリングのメニューは、気温の下がった北陸の冬に来訪した参加者のお腹を優しく温めてくれる温かい料理「唐墨粥」でスタート。焼いた鱧でとった出汁と農口尚彦研究所の日本酒に、近隣の有機米生産者「護国寺農場」で収穫されたコシヒカリを使用、畑のキャビアと言われる「とんぶり」を加えたお粥の上には、能登塩と農口尚彦研究所の「酒粕焼酎」を使用して自家製で作った半生の「唐墨」を天ぷらに、スライスで盛り付けた一品。長期低温熟成を行うことで綺麗な旨味の乗ったNOGUCHI NAOHIKO_01に、鱧の出汁と唐墨の旨味を合わせたコースのスタートに相応しいペアリングとなった。

 「純米大吟醸 無濾過生原酒 2018vintage」は、農口尚彦研究所の日本酒ラインの中では最も繊細なお酒。果実を連想させる華やかな香りに、透明感のあるすっきりとした旨味が特徴の純米大吟醸酒は、同じく繊細な味わいの「香箱蟹」とペアリングされた。能登島硝子の器で冷酒で提供されていた。

 ペアリングしたのは、農口尚彦研究所の日本酒を使用して茹でられた石川県の冬の味覚「香箱蟹」を、外子、内子、蟹味噌の上に胴の身、脚と、シェフの繊細な手つきで甲羅の上に美しく盛られた一品。生姜酢で味付けられており、食べ始めて4分の1にまで減ったところで、純米大吟醸酒を加えて甲羅酒としても楽しんでもらうという二度美味しい仕掛け。盛り付けには松葉、柿の葉が添えられ、目にも美しい料理に仕上げている。

 山廃造りの中ではキレが良く、柑橘系の香りに、温めると一気に柔らかくなる「山廃美山錦 無濾過生原酒 2018vintage」は、椀料理の出汁の旨味とうまく調和させるために、旨味がちょうどよく引き出される温度、40度のぬる燗で提供。柔らかな日本酒が料理を包み込むような、絶妙なペアリング。小松市の九谷焼作家「田村星都」作の毛筆細字の器で冷酒で提供された。

 「雲子椀」は、参加者が来てから削った鰹で引いた一番出汁に、炊いた「源助大根」、昆布を敷いて酒蒸しにした「雲子」を焼き目がつくように炙り、カブの芽が添えられた一品。お椀を開けると、出汁の香りと松葉の形に盛り付けられた「ゆず」の香りが立ち上がる、お腹も心も癒される一品となった。

 秋の限定酒「ひやおろし 無濾過原酒 2020vintage」は、「香りが穏やかで、ボディが強く、じっくり飲めるお酒」と山崎シェフ。香りの強い「口子」の余韻を伸ばしてくれるペアリングとなった。江戸切子のお猪口で、冷酒で提供された。

 「口子和」は、活き締めにした「鯛」の刺身に、炙った口子を細く切って和えたものを土佐酢で仕上げた。「岩茸」「よりうど」「わさび」「紫蘇の花」があしらわれており、目にも美しい一品となっている。

 「酒粕焼酎炭酸割り」は、農口尚彦研究所の酒粕焼酎を炭酸で割り、酢橘果汁と酢橘の皮を加えアルコール度数を8度くらいまで落としたもの。塩麹の味わいと酒粕焼酎由来の米の味、揚げ物に柑橘果汁と炭酸ですっきりとさせてくれるペアリングとなった。

 「塩麹漬」は、「なめら(キジハタ)」を農口尚彦研究所の麹で作った塩麹に半日漬けこみ米粉で揚げ、ペースト状にした百合根を敷いて自然な甘みをアクセントを加えた一品。

 農口尚彦研究所の王道の定番酒「本醸造 無濾過生原酒 2019vintage」は、ミネラル感があることから魚介類と好相性。荒々しさもあることから、蟹味噌の味わいを切ってくれる。錫製のお猪口で冷酒で提供された。

 石川県の冬の味覚「加能蟹」。一番出汁と「香箱蟹」の殻でとった出汁で、生の「加能蟹」を漬け込むことで、濃厚な蟹のスープをとり、しゃぶしゃぶにした至福の一品。添えられた蟹味噌は、白味噌と農口尚彦研究所の日本酒で煮詰めたもの。蟹の下には会場に隣接する有機農園「西田農園」の春菊が敷かれている。

 農口尚彦研究所の「山廃愛山 無濾過生原酒 2019vintage」は、「温めるとより柔らかくなる」と語る山﨑シェフ。40℃のぬる燗にすることで、よりクリーミーな味わいに優しい甘みが引き出される。珠州焼の器で提供された。

 「渋皮煮」は、季節の栗を渋皮煮にして、一度唐揚げにする。そして、出汁と醤油で作ったあんでとじ、その上に、さらにほぐした蒸し栗をあしらった一品。自然な味わいの栗と甘みが特徴の山廃愛山とのペアリングにはゲストから感嘆の声が上がっていた。

 「純米 無濾過原酒 2019vintage」は、酒蔵近隣の農家が栽培した酒米のみを使用して造られたテロワールがコンセプトのお酒。「米の旨みをガツンと感じ、ジューシーな味わい。味噌味の肉料理に白いご飯を合わせているペアリングイメージ」と語る山崎シェフのお気に入りの一品。小松市の九谷焼人間国宝「吉田美統」作の釉裏金彩のお猪口で冷酒で提供された。

 「能登猪」は、能登島で獲れた猪のロースをスパイスと日本酒、白味噌で作った味噌ダレに漬け込み、一旦火を通してから藁で燻製にして仕上げた一品。黒七味がアクセントとなっている。脂分の多い猪肉のお口直しには「柿」と「かぶなます」が添えられた。

 渋皮煮には「ぬる燗」でペアリングしていた「山廃愛山」の「無濾過生原酒 2018vintage」を常温で提供。「愛山」の飲み疲れしない優しい甘みが、ご飯と好相性とのこと。

 「蟹雑炊」は、しゃぶしゃぶで使用した出汁に「加能蟹」の胴の身をほぐしたものと、「香箱蟹」の外子を加えた食感も楽しめる贅沢な蟹雑炊。続いて、締めの土鍋で炊いた有機米には、山崎シェフ特製の「ご飯のお供」が3種類(農口尚彦研究所の米麹を使った「べったら漬け」、全麹甘酒、酒粕を使用した「筋子酒粕漬け」、農口尚彦研究所の日本酒を使用して仕込まれた「能登牛の時雨煮」)提供された。

 「山廃五百万石 無濾過生原酒 2018vintage」は、農口尚彦研究所のラインアップの中では、最も味わい深く、熟成による苦味も感じるお酒をあえて冷酒で提供した。

 枡に入れて提供されたデザート(氷菓子)には、加賀牧場でとれた牛乳を使って作ったアイスクリームに、農口尚彦研究所の酒粕焼酎を加え、能登の藻塩で味付けされた塩キャラメルソースの特性アイスクリーム。焼酎とキャラメルの苦味が、熟成酒の苦味とマッチしたペアリングとなった。

小松美食バレー実行委員会=https://komatsu-bishoku.jp/
農口尚彦研究所=https://noguchi-naohiko.co.jp/


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