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原料価格高騰で値上げが相次ぐ食用油、世界的な原料需給逼迫を受け「安定供給」の確保が価格改定の背景に、オリーブ油などの市場成長に期待

2021.11.25 20:02 更新

 急激な原料価格の上昇にともない、さまざまな食品の値上がりが相次いでいる。中でも食用油は、11月に今年度4回目となる値上げが行われ、消費者の家計への影響も懸念されている。ORICON NEWSが実施した意識調査によると、4回目の値上げに対して「仕方がない」と7割が回答した一方で、食用油値上げの原因となっている原料価格高騰の背景については、約半数の人が「知らない」という実態が明らかになった。そこで今回、家庭用食用油のリーディングカンパニーである日清オイリオグループに、原料価格高騰の実状や値上げを決断した理由、今後の市場展望について聞いた。

 食用油の値上げは、今年4月から始まり、次いで6月、8月、そして11月と、計4回にわたって行われてきた。今回の値上げは、大豆、菜種、パーム油など原料価格の高騰が理由とされており、日清オイリオグループ、昭和産業、J-オイルミルズの製油メーカー大手3社が、短期間に4回も同じ製品を一斉値上げするのは異例のことだという。ORICON NEWSが実施した意識調査では、この値上げについて74.8%が「仕方がないと思う」と回答。大半の人が食用油の値上げを、半ばあきらめ気味に受け入れていることがうかがえる。

 一方で、値上げの原因となっている原料価格の高騰について、その背景を知っているかを聞いた設問では、約半数の49.7%が「知らない」と回答した。なぜ食用油の値上げが続いているのか、その背景を理解できていない人も多いようだ。では、いま食用油市場では何が起こっているのか。日清オイリオグループ コーポレートコミュニケーション部の鈴木裕也氏は、「食用油の原料となる大豆や菜種など穀物価格が高騰している背景には、需給バランスの逼迫による在庫率のタイトさがある。コロナ禍からいち早く経済活動を再開した中国における食の需要増、そして温室効果ガス排出量削減の動きにともなうバイオ燃料としての需要増、この2つの大きな需要増を満たすには作付け面積や天候不順で供給が追い付かず、かつてないほど世界的に在庫がタイトになっている。長年製油業を営んできている当社にとって、特にこれまでの原料価格相場の上下要因となる“天候事情”や“作付け面積”の問題とは大きく違う新たな要因が“バイオ燃料”としての需要増。今後、構造的な課題となる“食とエネルギーの奪い合い”の状況が生じてきている」と、世界的に原料の在庫が逼迫しているのだと指摘する。

 こうした市場背景の中、食用油の値上げを決断した理由については、「当社を含めて製油メーカー各社とも、原料高騰の背景となっている世界的な状況・構造を踏まえ、日本国内への“安定供給”をミッションとして価格改定を行うこととした。もちろん引き続き、常に社内の自助努力も怠らず尽力していく」と、今起こっている原料価格高騰は一時的なものではなく、需給バランスの構造的な変革からくるものであり、食用油の今後の安定供給を確保するためには価格改定が必要不可欠だったと説明した。

 また、食用油の値上げを受け、食用油を主原料とするマーガリンやマヨネーズも相次いで価格が引き上げられた。これらの食品は、料理などで家庭で日常的に使われているだけに、今回の値上げは消費者の家計に大きな影響をおよぼすことが懸念される。ORICON NEWSの意識調査でも、「物価の上昇に対してどの部分の支出を抑えるか」の問いに対して、最も多かったのが「食費」(50.0%)であり、食用油の値上げはこの部分を直撃することになる。食品の値上げから家計を守るための行動としては、「特売をチェックする」(56.7%)、「高騰しているなかでも、手ごろなものを買いだめする」(34.7%)、「ポイント制度などを活用して上手に購入する」(32.8%)との回答が上位に挙がり、食費を抑えるためにさまざまな努力をしていることが浮き彫りとなった。

 「食用油は、家庭用商品はもちろん、業務用商品など様々な食品の素材としても使われているので、日本の食に与える影響は大きいと感じている。そのことも重々承知したうえで、それでも価格改定が必要だと判断した。オイルを取り巻く世界的な環境を理解してもらい、消費者と共にこの状況に対峙して今後の安定供給を進めていかねばならないと考えており、今後もそのための説明に真摯に取り組んでいく」と、生活に欠かせない食品であるからこそ、安定供給を続けていく必要があり、そのための値上げであることを強調した。

 今後の展望について鈴木氏は、「食用油は、大豆、菜種、パーム油などの汎用油のイメージが強いが、値上げの対象ではないオリーブ油やごま油もニーズが大きく、特にオリーブ油は近年の市場拡大をけん引している。当社では今年度、食用油を“かける”楽しさを一層広げる目的でオリーブオイル『BOSCO』の風味を活用したフレーバーオイル『BOSCO シーズニングオイル』を発売した他、食用油に馴染みの薄い人にも気軽に楽しんでもらえるよう『やみつきオイル』シリーズの充実を図った。また、最近話題の『MCTオイル』(中鎖脂肪酸油)も、さらに認知度を高め、幅広い人に使ってもらうべく、広告展開を強化していく」と、オリーブ油など価格改定の影響を受けない食用油の提案に力を注いでいくという。「食用油にできる“美味しさ”“楽しさ”“ヘルシー”への貢献は、まだまだシーズがあり、前例や前年の動きに捉われず、今を見つめて柔軟に提案していくことが求められていると考えている。食用油はすべての人の生活、食材やシーンとも馴染みが良いので、それができると信じている」と、今後も食用油の新たな可能性を追求し、人々の健康的な食生活に貢献していく考えを示した。

[ORICON NEWS調査概要]
調査時期:9月15日(水)~9月21日(火)
調査対象:直近半年で食品値上のニュースを見聞きしたことがある1000名(アンケートパネル「オリコン・モニターリサーチ」会員10代~60代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ
調査結果:https://www.oricon.co.jp/special/57516/

ORICON NEWS=https://www.oricon.co.jp/
日清オイリオグループ=https://www.nisshin-oillio.com/


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