健康食品・医薬品

ファンケル、20年度売上高は国内の化粧品・サプリメント事業がけん引、19年度の過去最高益には及ばなかったものの17年比5.9%増で着地、21年度は国内外で持続的な成長を目指す

2021.05.11 19:47 更新

 ファンケルは5月10日、2021年3月期の決算および新中期経営計画についてオンライン説明会を行った。また、2021年度を初年度とする第三期中期経営計画を策定。「実行2020」をさらに発展させ、新型コロナウイルス感染症で生じた新たな「不」の解消を図るとともに、社会環境の変化に即応し、国内外で持続的な成長を全社一丸となって実現していく考えを示した。

 「“2030年のファンケルグループは、ベンチャーとして様々な事業領域に挑戦し、それぞれの事業が、日本にとどまらず広く世界で、より多くの消費者の美しく健康で豊かな生活を支え、信頼され愛される企業集団となっている”という『VISION2030』を掲げている」と、ファンケルの島田和幸社長が挨拶。「第2期中期経営計画『実行2020』(2018~2020年度)を振り返ると、連結売上高は、国内のファンケル化粧品、サプリメント事業がけん引。連結営業利益については、増収効果に加え、サプリメント事業の収益性の大幅な向上によって、2017年度の84億円から31億円増の115億円となり、ROEは8.5%から11.7%へ改善した」と、総括する。

 「各事業について、ファンケル化粧品はブランドの多角化を行い、新たなヒーローアイテムの上市もした。一方、アジア、米国ともに計画未達と海外は振るわなかった。アテニアは、国内における基礎スキンケアの顧客が大幅に増加。海外は越境ECの積極拡大が奏功した。ボウシャは、化粧品専門店向けの売上が振るわなかったものの、米国を中心に販路は大幅に拡大した」と、化粧品事業を振り返る。「健康食品は、既存サプリ事業の強化(スター製品の育成)について『内脂サポート』を『カロリミット』に次ぐ製品に育成。また、パーソナルサプリメントの展開では当初計画以上の実績となった。BtoBビジネスの強化では、ダイドードリンコ、ネスレ、永谷園に加え、キリングループとのコラボが本格化。中国サプリメント事業の展開では、越境ECにおいて、売上は当初想定以上のペースで拡大した。一般貿易販売(保健食品)も行った」と、好調だったという。「経営基盤強化については、キリンHDと資本業務提携を行った。これによって、両社が有する素材、研究力や販売チャネルを活用し、健康事業を中心に社会課題の解決を通じた成長を目指している。また、商品開発・チャネル間の協業だけでなく、マーケティングや人材育成などでも協力している」とのこと。「さらに、『マイルドクレンジングオイル』専用工場(2020年3月稼働)と『サプリメント』新工場(2021年4月稼働)が稼働を開始した」と、生産体制の拡大を図っているという。「『関西物流センター』(2021年6月稼働)も建設した」と、物流機能の強化も推し進めていると強調した。

 「第3期中期経営計画『前進2023』(2021~2023年度)では、『実行2020』をさらに発展させ、コロナで生じた新たな『不』の解消に取り組むとともに、社会環境の変化に即応し、国内外で持続的な成長を実現する」と、方針を指し示す。「そして、『変えないこと』、『変えること』を明確にし、メリハリを持って取り組んでいく」と、独自価値のある製品づくりと育成、ファンケルらしいOMOの推進、新しい事業の育成と開発、本格的なグローバル化の推進、キリングループとのシナジー創出、人材育成と人材活用、サステナブルな事業推進と永続的なSDGs貢献--といった7つのチャレンジを掲げる。「ファンケルらしいOMOでは、通販・店舗の両チャネルを使う消費者は、どちらか一方のチャネルのみ使いの消費者に比べ、継続率は1.5倍、年間購入金額は3倍に達するため、ITを活用して消費者の『体験価値』を高めていく」と、通販・店舗アプリ統合やスマホアプリAI肌診断、来店前事前予約サービスなどに今年は取り組むと話していた。「また、ITを活用して消費者をもっと深く知り、消費者一人ひとりに最適なアプローチを行うべく、IT基幹システム『FIT3』を2022年春に導入する。これによって、購買に至るまでの行動情報や当社からのアプローチへの反応など『顧客を“理解するためのデータ”』を収集し、分析する」と、ITを活用した顧客の深堀を図っていくと話していた。

 「化粧品事業では、無添加化粧品の『安心』、『安全』という絶対的な価値やブランドの多角化の推進は継続し、効果実感の高い新製品の発売と、肌本来の機能を高める無添加の価値を積極的に情報発信する」と、基本戦略を発表。「『The FANCL』ブランドでは、基礎スキンケアユーザーの拡大を目指し、洗顔市場No.1ブランドにする。さらに、高機能美容液も発売。化粧品定期サービスも開始した」と、ユーザビリティと継続率の向上を図るのだと述べていた。「『ビューティブーケ』では、スキンケアの定期の消費者の拡大を図り、2021年度は、キリングループと共同開発した高機能アンチエイジング素材を使いリニューアルを行う。『AND MIRAI』は、ブランド認知向上を図るため、インスタを核に情報発信を強化。海外展開を見据えた準備も行う」と、育成ブランドについて言及。「そして、Prestige新ブランドXを今年中に発売する。4月に新会社を設立し、ファンケルブランドと切り離したブランディング・製品提案を行う」と、国内はEC中心に、海外は越境EC展開を図るのだと教えてくれた。

 「『アテニア』では、『独自価値』、『一流品質』といったブランド理念と価値を継続しつつ、『国内ブランド』から『グローバルブランド』へ進化させる」と、海外ニーズに対応した製品を開発していくと意気込んだ。「『boscia』では、『ナショナルブランド化』、『インターナショナルブランド化』戦略を継続し、ポストコロナを見据え、ECをさらに強化。『プレミアムライン』の発売によるブランド価値向上と売上拡大を目指す」と、販路拡大にともなうマスブランド化を避けるため、「プレミアムライン」を新設するのだと話していた。

 「健康食品事業では、3つの戦略(『既存サプリ事業の強化』、『パーソナル対応』、『食品剤型の展開によるトライアル機会の創出』)を柱に成長を目指すと共に、少子高齢化社会とコロナにおけるニーズの対応に注力し、高収益のビジネスモデルを目指す」と、基本戦略について説明。「日本人の健康食品(サプリメント)使用率を引き上げ、健康寿命の延伸と医療費の削減に貢献する」と、2030年には50%の使用率に引き上げたい考えを示した。「既存サプリメント事業については、機能性表示食品を中心とした製品開発と、スター製品の定期的なリニューアルによる売上拡大を目指す」とのこと。「40~50代をメインターゲットに、『生活習慣病対策サプリ』を成長ドライバーに位置づけ、積極的な広告投資を行う。また、市場規模が大きく、コロナ禍において注目されている分野の機能性表示食品を発売(キリングループの素材を活かしたサプリ)する」と、「内脂サポート」や「免疫サポート」といった製品の売上拡大を目指すという。

 「『パーソナルワン』では、独自の尿検査技術を進化させ、顧客の不足成分をさら詳細に分析する。また、既存サプリ事業で開発した『免疫』などの新製品をパーソナルワンに導入し、新たなニーズに対応する」と、見える化技術や豊富な製品ラインアップを強みにしていくと述べていた。「『BtoBビジネス』については、食品メーカーと『おいしさと健康価値』を兼ね備えた食品を開発し、『ファンケルブランドの浸透』と『サプリメントの潜在的なユーザー』を開拓する」と、2021年度は、キリングループとのコラボなど複数の製品を発売予定していると教えてくれた。「中国サプリメント事業では、国薬との緊密なパートナーシップや越境ECの強化を図ると共に、越境EC『ビューティサプリ』の育成を強化。保健食品による一般貿易販売も本格化する」と、同社の強みを活かし、将来的には中国において「海外ブランド売上No.1」を目指すのだと意気込んだ。「さらに、中長期戦略では、『越境EC』と『一般貿易販売』の両輪で、売上を3倍に拡大する」と、2023年度60億円の売上を目標に掲げた。

 「経営基盤について、研究では、事業戦略の加速と、新たな『不』を解消するソリューション研究を推進する。また、キリングループの技術・素材を活用した新製品も開発する」とのこと。「インフラにおいては、供給体制の強化、フレキシブル化を図り、サプリメント三島工場を稼働(2021年4月)。さらに、製造リードタイムの短縮やBCP対策による安定供給も図る。関西物流センターの稼働(2021年6月)では、徹底した自動化・省人化や、届け日数の短縮・配送費削減を図る。そして、IT基幹システム『FIT3』を稼働する(2022年春)」と、製造、物流、ITについて言及してくれた。「人材については、次世代経営層をはじめとした階層別教育、グローバル教育の強化を図る。また、人材情報を整理・集約する人材マネジメントシステムを構築し、経営戦略に合わせた最適な人材配置と従業員エンゲージメント向上を実現する」との方針を打ち出した。「『サステナブル宣言』として、自然と調和した事業活動のために『環境』を、健康であなたらしい人生のために『健やかな暮らし』を、誰もが輝ける社会をつくるために『地域社会と従業員』を、重点テーマとして取り組む」と、持続可能な社会を目指すと宣言した。

ファンケル=https://www.fancl.co.jp/


このページの先頭へ