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滋賀県茶業会議所、甲賀市産の茶葉を使用して開発したほうじ茶「土山一晩ほうじ」を販売、甲賀市の新たな名産として育成

2022.09.16 20:29 更新

 滋賀県茶業会議所は、甲賀市産の茶葉を使用して開発したほうじ茶「土山一晩(つちやまひとばん)ほうじ」の販売を9月1日から開始した。9月15日に東京・日本橋の滋賀県情報発信拠点「ここ滋賀」で行われた新商品発表会では、「土山一晩ほうじ」ブランドについて紹介した他、「土山一晩ほうじ」それぞれの製品の飲み比べなど、新たにデビューするブランドほうじ茶「土山一晩ほうじ」を堪能する時間が設けられた。

 「滋賀県の中でも7割以上の茶葉を生産する甲賀市土山町。滋賀県は約1200年前の平安初期に、最澄が中国から茶の種子を持ち帰り、比叡山の麓に植えたとされ、それが日本茶の始まりといわれている」と、滋賀県は日本茶の発祥の地なのだと甲賀市の岩永裕貴市長は語る。「甲賀市土山町は、寒暖差が大きく、冬寒いが雪は少ない。そして水が豊富なため、良質な茶葉が育つ環境にある」と、お茶の生産に適した環境なのだと紹介する。

 「しかし、歴史的な背景も高品質な茶葉もあるが、茶産地として知名度が低く、日本茶全体の消費量も減少。後継問題などによって茶農家が激減している」と、甲賀市土山町は大きな課題に直面しているのだという。「これに新型コロナウイルス感染症が追い打ちをかけて、県内の荒茶の売り上げは、約半減してしまった」と、コロナ禍のダメージも大きいと嘆く。

 「甲賀市の茶産業を継続させるためには、思い切った取り組みが必要と考え、2018年に滋賀県茶業会議所によるプロジェクトを発足した」と、茶農家、茶匠、JAこうか、甲賀市など土山町の茶産業に関わるメンバーがワンチームとして結束することにした」と、プロジェクトチームを発足し、甲賀市の茶産業の発展に向けて議論を重ねたのだという。「そこで土山町では“萎凋(いちょう)”と“焙煎”という独自の技術を活かした新しいほうじ茶を産地一体となって開発することにした」と、土山茶のブランドを創り上げていくことにしたのだと振り返る。

 「そして誕生したのが『土山一晩ほうじ』。約4年の歳月をかけたほうじ茶となっている」と、甲賀市土山の人々の熱い思いが込められたほうじ茶が完成したと力説する。「7月にはクラウドファンディングで『土山一晩ほうじ』を販売。初日で目標額に達した。また、9月1日からは『土山サービスエリア』内に給茶器を設置して『土山一晩ほうじ』を提供している」と、「土山一晩ほうじ」を知ってもらう活動を行っていると説明する。「10月には茶産地土山をめぐるティーツーリズムを実施する予定となっている」と、「土山一晩ほうじ」を甲賀市の新たな名産としてアピールしていきたい考えを示した。

 「土山一晩ほうじ」のブランドについてエイトブランディングデザインの西澤明洋代表が説明した。「茶産地土山には、寒暖差が生む、香りと旨みの強い茶葉があり、焙煎に向いている。また、小さい産地だからこそ連携がしやすく、研究熱心で個性のある茶農家が多い。さらに、焙煎の知見を有する茶匠も存在し、県の茶業指導所で新香味茶を施策していたという強みが元々あった」と、土山には新たな茶を生産する土壌が備わっていたと語る。「その一方で、茶産地ブランドとしては後発で、大規模産地と比較して生産量が少ない。しかも、寒いため新茶の時期が遅い」と、弱みもあったのだと説明する。

 「茶市場に目を向けると、ほうじ茶のブームが到来。渋みを嫌う若年層を中心に人気を博している。このため、ほうじ茶の開発を中心に試行錯誤を重ねた結果、産地が一体となって萎凋×焙煎の新しいほうじ茶をつくった。このほうじ茶には規格を定めて、クリアした製品のみに商標を付与することにした。そして、作り手の個性が生む多様な味わいの『土山一晩ほうじ』が完成した」と、4年の歳月を経て新たな茶ブランドが誕生したのだという。「ロゴには、日本古来からある日月紋をモチーフに、太陽と三日月の萎れた茶葉で一晩寝かせた茶葉を表現した」と、ロゴデザインなどブランドコンセプトについて紹介する。「WEBサイトも開設し、ブランドムービーも制作した」と、「土山一晩ほうじ」をアピールするツールを増やしながら認知度向上に努めていくと意気込んだ。

 茶生産者の農事組合法人グリーンティ土山の竹田知裕氏が「土山一晩ほうじ」の製造について説明した。「『土山一晩ほうじ』は一般的な緑茶に比べて、萎凋と焙煎という工程が加わるため、手間暇をかけられたお茶であるといえる」と、12時間以上茶葉を寝かせる萎凋と茶葉を焙煎する工程が「土山一晩ほうじ」の最大の特長なのだと力説する。「萎凋は、摘んだ茶葉を風通しのいい場所で保管し、茶葉を微発酵させて独特の香りを立たせる工程。萎凋の工程中は、茶葉の様子を見ながら、均一な萎凋のために葉を攪拌させる作業を行う」と、萎凋について詳しく解説する。「そして、『土山一晩ほうじ』には、土山町茶業協会員が栽培・製造した茶葉を使用。12時間以上萎凋させた香り高い茶葉を使用する。さらに、滋賀県茶商業協同組合員または土山の生産者が焙煎したほうじ茶という規格を設けた」と、3つの規格をクリアした製品のみ「土山一晩ほうじ」と名乗ることができるのだと述べていた。

 茶師十段でマルヨシ近江茶の吉永健治代表が、焙煎の工程について解説した。「寒暖差があるため、土山茶葉はゆっくりと成長する。これによって葉の厚みが増し、焙煎に負けない茶葉になる」と、土山茶葉の特長について語る。「萎凋させた茶葉の華やかな香りに焙煎の香ばしさが掛け合わさることで、香りに奥行きが出る」と、焙煎による効果について教えてくれた。「繊細な香りをもつ萎凋茶葉の焙煎は難易度が高く、各社試行錯誤を重ねながら個性を出そうとしている」と、「土山一晩ほうじ」であってもそれぞれ個性の異なるお茶になっていると述べていた。

 それでは、「土山一晩ほうじ」を代表する商品をみてみよう。

 甲賀農業協同組合「土山一晩ほうじ(リーフ)」は、甲賀市土山町で生産された2種類の萎凋茶をブレンドし、芳ばしい香りと飲みやすさをベースに萎凋茶ならではの香りをアクセントに加えている。

 マルヨシ近江茶「土山一晩ほうじ」は、萎凋度合いの違う2種の茶葉と、2種の焙煎を施したこだわりのほうじ茶とのこと。軽やかな香ばしさの中に、華やかな香りを楽しめる。すっきりした後味も特長となっている。

 農事組合法人グリーンティ土山「MOKURAN」は、一番茶の茶葉を使い爽やかな新茶の香り、萎凋の花のような香り、焙煎の香ばしさが楽しめる。一煎目は70℃のお湯で香りを、二煎目は熱湯で旨味と渋みを味わうのがおすすめだとか。

 カネサン 立岡製茶「紅ほうじ」は、三つの異なる萎凋を施し、完全発酵させた茶葉を焙煎した、深みのある香りと味を追求したほうじ茶となっている。

 商品紹介後、各社の「土山一晩ほうじ」を飲み比べする試飲会が行われた。4種の「土山一晩ほうじ」の他、マルヨシ近江「土山一晩ほうじ『スフレケーキ』」がふるまわれた。

滋賀県茶業会議所=https://www.hitobanhouji.com/


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