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LIFULL、コーヒー廃材を活用したシロップをバリスタの井崎英典氏と共同開発、フィリピンのコーヒー農家の貧困問題に取り組む

2022.09.30 12:22 更新

 事業を通じて社会課題の解決に取り組む、LIFULL(ライフル)は、地球上でまだ光を当てられていない素材にフォーカスし、新たな食材を見つけるプロジェクト「地球料理 -Earth Cuisine-」を2018年から行っている。第4弾となる今回は「フィリピンのコーヒー農家の貧困問題」を課題とし、コーヒー栽培における廃材にフォーカス。9月29日に行われた説明会では、第4弾プロジェクトで、コーヒー廃材を活用したシロップを、LIFULLと世界的バリスタの井崎英典氏で共同開発したことを紹介。猿田彦珈琲、小川珈琲など、賛同企業からコラボ商品を10月から順次販売することを発表した。

 「『地球料理 -Earth Cuisine-』は、食べることが地球のためになる、地球の新たな食材を見つけるプロジェクト。社会問題や、環境問題を引き起こす素材に、“食べる”という新たな可能性が見つかれば未来は、大きく変わるかも知れない。持続可能な社会を叶えるために、生活を見つめ直す一皿を提案するプロジェクトになっている」と、LIFULL 川嵜鋼平CCO。「2018年10月『EATREE PLATES』から始まり、2019年3月に間伐材を使用したパウンドケーキ『EATREE CAKE ~木から生まれたケーキ~』を発売。第2弾では、放置竹林をテーマにした『BAMBOO SWEETS -竹害から生まれた和菓子-』を発表し、2020年2月からは原料に福岡県にある放置竹林の竹と笹を約24%使用した『BAMBOO GALETTE -竹害から生まれたガレット-』を発売した。第3弾では、カカオの廃材から生まれた新しいチョコレート『ECOLATE』を昨年4月から販売している」と、これまで実施してきたプロジェクトについて説明する。

 「今回、通常は廃棄されるコーヒーの花・葉・枝・カスカラ(コーヒー果実の皮と果肉部分)を使用したシロップ『PROUD LIBERICA COFFEE SYRUP』を、世界的バリスタの井崎英典氏と共に開発した。生豆以外の廃材部分を活用し、コーヒー農家の新たな収入源を年間を通じて生み出すプロジェクトに取り組む」と、第4弾プロジェクトの概要について紹介する。

 「国際コーヒー機関ICOの調査において、フィリピンを含めた世界のコーヒー消費量は年々増加している。輸出競争の激化、1889年さび病の蔓延、2000店を超える外資コーヒーチェーンの進出などから、フィリピン国内でのコーヒー生産量は減少の一途をたどっている」と、コーヒー生産の光と影について解説。「フィリピンのコーヒー農家は生豆の販売だけでは大きな収入を得ることができず、慢性的な貧困問題を抱えている」と、コーヒーの消費量は増えていても、コーヒー農家が潤うという社会構造にはなっていないのだと指摘する。

 「そこで、通常は廃棄されるコーヒーの花・葉・枝・カスカラを活用した『PROUD LIBERICA COFFEE SYRUP』を世界的バリスタの井崎英典氏を共同開発した」と、今回のプロジェクトで生産する商品について語る。「フィリピンで栽培される約82万本のリベリカの約640万ドルの廃材が活用可能で、年間を通じて生豆販売以外の収入源を生み出す」と、フィリピンのコーヒー農家の暮らしを豊かにするプロジェクトなのだと力説する。「リベリカ種をフィリピンコーヒーの象徴として復活させ、自国で生産するコーヒーへの誇りと関心を取り戻す」と、フィリピンコーヒーを復活させるのだと意気込んだ。

 レシピを監修したバリスタの井崎英典氏がビデオで共同開発に至った背景などについて語った。「コーヒー農家は、コーヒー生豆を売ることで生計を立てているが、収穫の機会は限られており、病害や気候変動などの影響も受けることから、収入は不安定になりがち」とのこと。「そこで、通常は堆肥か廃棄になる花、葉、枝、カスカラを原材料に『コーヒーの木を丸ごと味わうシロップ』を開発できれば、農家の収入の安定につながるのではないかと考えた」と、通常廃棄される材料で新たな商品を作り出すことにしたのだと語る。「4種の個性溢れるシロップを楽しむのと同時に、コーヒー農家やリベリカ種に想いを馳せてもらえると嬉しい」と、コーヒーの中でわずか1%しか流通されていないというリベリカ種を知ってもらう機会になればと話していた。

 「フィリピン農家の貧困問題を解決するために必要不可欠な『PROUD LIBERICA COFFEE SYRUP』の透明性として、農家の新たな収益源となる“透明なコーヒーシロップ”として生産していく」とのこと。「これまでのコーヒー豆の収穫タイミングは年に1回のみ。農家は年に複数回の新たな収入源を得ることが可能になる」と、年間を通じて、収入が得られるようにしていくという。「また、原価や利益まで開示した“高い透明性”を示す」と、バリューチェーンのすべての数字を開示すると語る。「シロップ生産に関わる原材料や産地、原料となる廃材の買取価格。製造、開発、流通のコストやマージン、農家の利益も開示する」と、すべてをオープンにするのだと述べていた。「そして、製造プロセスやレシピのすべてを公開する」と、透明性を追求したオープンデータを開示するとのこと。「廃材の精製方法やシロップの加工技術、アレンジレシピといった商用利用可能な情報を無償公開する」と、製造過程を開示することで、参入業者を増やし、材料の需要を増やしていくのだと説明する。

 「サステナブルなプロジェクトで重要なことは“共感を生むこと”。草の根で広め、新しい人を巻き込み、本質的な賛同を得られるようにすることが大切だと考えている。今回、当社が構想した『PROUD LIBERICA COFFEE』に共感してもらい、多くの企業から賛同してもらいたいと思っている」と、プロジェクトに賛同してくれる企業がさらに増えていくことに期待を寄せていた。

 プロジェクト賛同企業によるコラボ商品を見てみよう。恵比寿のスペシャルティコーヒー専門店「猿田彦珈琲」をはじめとして、創業70周年を迎える京都の老舗「小川珈琲」、カリフォルニア発のスペシャリティコーヒーショップ「VERVE COFFEE ROASTERS」、SG Groupが運営する「zero-waste」をコンセプトとしたカフェ&バー「アッシュ」の4ブランドで、PROUD LIBERICA COFFEE SYRUPを使用したドリンクが、10月以降に各店舗で販売される。

 猿田彦珈琲の安部潤バリスタ/スーパーバイザーは、「当社ではコーヒー農園とのダイレクトトレードによるコーヒー豆の買付けを続けている。その中で、高品質なコーヒーを持続して作り続けてもらうための環境作りや農園との関係性が重要だと考えるようになった。リベリカ種のフィリピン産のコーヒーは日本では馴染みのないものだが、廃材を活用したシロップを使用するというアプローチによって、今回新たなコーヒードリンクを開発するきっかけとなった。このドリンクを通して、まずは目の前の消費者に喜んでもらうこと。そしてそれが、コーヒー農園にとって、持続可能な環境作りへとつながれば嬉しく思う」と述べていた。

 小川珈琲の吉川寿子チーフバリスタは、「『PROUD LIBERICA COFFEE』プロジェクトは、コーヒーの新たな魅力だけでなく、コーヒービジネスにおける新たな可能性をも引き出すプロジェクトだと感じた。コーヒーには、美味しさだけでなく、世界を潤す普遍的な力がある。心を潤し、人をつなぎ、コミュニケーションを育んでくれる。私たちコーヒーロースターは、生産者と何度も対話を重ねコーヒーを創り、その情熱を冷ますことなく届けている。コーヒーを日常にとって、かけがえのないものにし、珈琲文化を未来につなぐことが、私たちの世界を豊かにするものであると信じている」と語っていた。

 ヴァーヴコーヒーロースターズジャパンの深浦哲也マネージャーは、「『地球料理 -Earth Cuisine-』という取り組みは、過去のプロジェクトにおいても、より未来へのポジティブなメッセージを持った商品、体験を社会へ発信していることに、尊敬と共感をもっていた。今回のプロジェクトでは、今までコーヒーショップまで届いていなかった花や葉、枝といったものを商品として昇華させることで、生産者や消費者たちに、新しい可能性や価値を見出していく素晴らしいきっかけになると確信している。そして、VERVE COFFEEとして、そのようなプロジェクトに参画し、私たちの消費者に直接商品を届けられることをとても光栄に思うとともに、楽しみにしている」と話していた。

 SGマネジメントの大渕修一Bar Managerは、「通常は廃棄されるコーヒーの花・葉・枝・カスカラといった“廃材”を使用してシロップを作る、という『PROUD LIBERICA COFFEE SYRUP』のコンセプトが、当社が運営する『ゼロ・ウェイスト』をコンセプトにした、廃棄物ゼロを目指してメニューからオペレーションまで様々な取り組みにチャレンジしている『アッシュ』zero-waste cafe & barとの親和性が高いと感じたため、プロジェクトに賛同することを決めた」と賛同した経緯について述べていた。

LIFULL=https://lifull.com/


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