日本酒造組合中央会、本格焼酎と泡盛の新しい魅力を紹介、バー向けの商品の開発など輸出促進に向けた動きが活況に

世界のトップバーテンダーによる蔵元招聘ツアーの記念撮影

日本酒造組合中央会は、“SHOCHUとAWAMORIを世界へ”を合言葉に、本格焼酎と泡盛の新しい魅力を届けている。

コロナ禍によってインバウンドによる需要は消失したものの、その間も海外へ向けたプロモーションは官民連帯で実施され、オンラインでの啓蒙活動も活発に行われてきた。1月末に財務省貿易統計から発表された焼酎の輸出実績によると、2022年度も最高額の更新をみせ、総額21億7200万円となった。昨年比124.4%で、2012年度の総額17億3100万円から着実に増加を続けている。本格焼酎と泡盛の輸出ランキングは、中国に続いてアメリカ、韓国。いずれも堅調な伸びを見せている。

世界のトップバーテンダーによる蔵元招聘ツアーの様子

世界のソムリエが日本酒のブランド力を高めたように、本格焼酎と泡盛の伝道師として期待されるのが、専門的な知識をもったバーテンダーだとか。昨年、海外のトップバーテンダーを招聘したツアーが再開し、世界の蒸留酒市場を目指したバー向けの商品が開発されるなど、輸出促進に向けた動きが活況になっている。本格焼酎と泡盛は、世界で親しまれる“SHOCHU&AWAMORI”へと踏み出したばかり。バーテンダーの活躍をきっかけに、本格焼酎と泡盛の魅力を知る人が増えることが期待される。

世界のトップバーテンダーによる蔵元招聘ツアーの様子

コロナ禍、中断していた蔵元招聘ツアー。日本酒造組合中央会が、海外における本格焼酎と泡盛の認知度を高め、プロモーションにつなげるために、世界のトップバーテンダー7名を招聘したとのこと。再開した5回目となるツアーは、昨年10月29日から1週間かけて、福岡から大分、熊本、鹿児島の8ヵ所の酒蔵を巡り、交流を深めた。

アメリカで活躍する5人のミクソロジスト

アメリカで活躍する5人のミクソロジストを招聘したのは、合同焼酎プロジェクトを立ち上げた鹿児島・宮崎・大分・熊本の4県。ツアー終了後の昨年11月12日に、東京で日本のバーテンダーを対象とした報告会を開催した。

5人がカクテルに使った本格焼酎。右から:大分の麦焼酎“iichiko彩天”、熊本の米焼酎“白岳吟醸しろ”、鹿児島の芋焼酎“薩摩白波蔵出し原酒”、奄美の黒糖焼酎“じょうご”、宮崎の芋焼酎“平八郎”。

「SHOCHU EXPERIENCE」と題して、現地を視察した5人が海外市場における本格焼酎の可能性と魅力について語り合い、その後それぞれ考案したクリエイティブなSHOCHUカクテルを披露してくれた。

Amami Island Colada

フレーバーとバランスの技に定評をもつ“Half Step”のクリス氏は、奄美でうけた南国のイメージから、和のピニャコラーダを創作したとのこと。黒糖焼酎“じょうご”、黒糖、抹茶、ココナッツクリーム、レモン、アプリコットリキュール、アンゴスチュラビターズでつくる“Amami Island Colada”を披露した。

YouTubeチャンネル「JapanSakeOfficial」で視聴できる、日本酒造組合中央会が世界に向けて日本の酒を発信するオンラインイベント「SAKE FUTURE SUMMIT2022」では、今年は日本のミクソロジストの第一人者、南雲主于三氏とシカゴのスターバーテンダー、ジュリアモモセ氏が登壇。ファシリテーターの日本の酒の情報館アドバイザーの児島麻理子氏と共に、バーテンダーにとっての焼酎の魅力について語り合っている。

また、海外市場をターゲットにしたカクテル向きに開発されたプレミアムな焼酎が続々登場している。いずれも原材料のフレーバーが強く感じられる酒質を狙い、世界の蒸留酒に並ぶアルコール度数は40度以上となっている。海外の蒸留酒市場への参入を目指している。本格焼酎は世界の蒸留酒の中でも珍しい、食事と一緒に楽しむ食中酒。スタンダードなアルコール度数は20~30度で、一回蒸留した40度以上ある原酒に割り水と呼ばれる仕込み水を加え、度数を調整して仕上げている。対して、ジンやウオッカなど世界の蒸留酒のスタンダードは35~45度。食前酒や食後酒、カクテルのベースとして、強いフレーバーと飲みごたえのあるハイアルコールが一般的となっている。新たなジャンルとなったアルコール度数が40度以上の本格焼酎。2022年度のTWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)焼酎部門では、24点の最高金賞受賞のうち14点が40度以上の本格焼酎が受賞されるなど、すでにプレミアムな焼酎の実力は認められている。今後世界のバーテンダーの目に留まり、輸出をけん引する一手になることが期待される。

左から:麦焼酎 iichiko 彩天、芋焼酎 DAIYAME 40、米焼酎 MUJEN

麦焼酎「iichiko 彩天」(大分・三和酒類)は、アメリカのトップバーテンダーと共同で開発したとのこと。麦焼酎の良さを最大限に引き出したカクテルベースになるお酒として、アルコール度数は43度に設定した。原酒に近い度数設定で、焼酎本来の麹による深く豊かな味わいと複雑な旨味を引き出している。

芋焼酎「DAIYAME40」(鹿児島・濵田酒造)は、独自の技術「香熟製法」によってライチのような香りを引き出し、40度に設計した芋焼酎とのこと。「香熟芋」を用いて黒麹で仕込み、発酵熟成させたもろみを40℃~50℃の低温で1回減圧蒸留することで、柑橘系の香りや発酵由来のフルーティな香りがありながら、原料由来の魅力を引き出したナチュラルな味わいに仕上げている。

米焼酎「MUJEN」(熊本・繊月酒造)は、女優で起業家のソンドラ・ベーカー氏と、全米に店舗を持つ老舗ステーキハウスのオーナー一族のブルース・ボッツィ氏が、ロサンゼルス・ハリウッドでMUJENSPIRITS社を立ち上げ、繊月酒造と共同でアメリカ市場に訴求できる球磨焼酎を開発した。3タイプあるうちの42度は10年以上熟成した樫樽貯蔵酒だという。

新泡盛「尚」

泡盛にも、世界のバーで飲まれるスピリッツとなるべく開発された新泡盛「尚」がある。目標としたのは、米麹100%のスピリッツとして求められる品質だった。このとき泡盛の設計図を書き換えるために採用されたのが、定量的記述分析法と呼ばれる官能評価“QDA法”とのこと。海外では、食品の商品開発に用いられる一般的な官能評価の手法だが、日本ではまだ導入事例は少なく、酒業界においては初の試みだったという。泡盛はこうあるべきという因習的な評価ではなく、トレーニングを受けた人たちの泡盛の味覚や嗅覚の感度を数値化、人の感覚を科学的なデータとして取り扱い、評価する手法となっている。

このQDA法のトレーニングを受けるために集められたのは、沖縄の酒造会社の製造技術などを担う20人。100時間かけて官能評価のトレーニングを行い、感覚の視覚化ができるようになったところで、世界のプレミアムホワイトスピリッツを競合と捉えた泡盛の新たな酒質を設計した。1回蒸留が常識とされてきた泡盛を3回蒸留させ、スピリッツらしい強さと華やかな香りを目指した。その結果、これまでの泡盛とは大きく違う、米麹のやさしい甘味と華やかな香りを引き出すことに成功した。そうして2019年に生まれたのが、12社が共同開発した40度の新泡盛「尚」だという。そのプロセスを追っていくと、日本で最も古くて新しい蒸留酒のユニークさがわかる。

日本酒造組合中央会=https://www.japansake.or.jp/
JapanSakeOfficial「Shochu as a Global Beverage」=https://www.youtube.com/watch?v=b47xyXg_NFg&t=146s


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