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矢野経済研究所、国内加工食品市場に関する調査、2021年度の市場規模はメーカー出荷金額ベースで前年度比99.6%の29兆7860億円に

2022.09.28 17:45 更新

 矢野経済研究所は、国内の加工食品市場を調査し、市場規模推移・予測や各カテゴリ別・品目別の動向、将来展望を明らかにした。その結果、コロナ禍の影響による業務用需要の減少を主な背景に、2021年度の国内加工食品市場は減少した。中長期的には、健康食品や高齢者対応食品、個食タイプの商品群、調理済の調理食品などの市場が堅調に推移する見通しとの見解を示す。

 2021年度の加工食品の市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比99.6%の29兆7860億円となった。

 2020年度以降、コロナ禍による店舗の営業時間短縮・休業、移動制限による人流の滞り等の影響で外食産業向けの酒類・飲料、食料品、屋外で活動する際の止渇飲料、土産用の菓子などが不調であった。

 また、在宅勤務が進みオフィスワーカーの行動範囲が変わったことで、都心部を中心としたコンビニエンスストアは苦戦を強いられ、ポケット菓子やガム、錠菓などのコンビニエンスストアにおける販売がメインの商材も不調であった。2021年度は外食産業が引き続きコロナ禍前の水準に戻らず、備蓄志向から2020年度は非常に好調だった家庭用食品の中には反動減がみられる品目もあり、結果として微減での推移となった。

 近年ますます健康を意識する消費者が増えており、健康に良いといわれる食品の需要が伸長している。特に、テレビ番組で健康効果が取り上げられることで需要が伸びる動きも良くみられる。

 品目別で見ていくと、飲料では豆乳や日本茶飲料、野菜飲料、ドリンクヨーグルトなど、“健康” を消費者がイメージしやすいカテゴリーの拡大が続く。特に好調となっている豆乳は、「大豆タンパク」や「大豆イソフラボン」が豊富に含まれていることに加え、高タンパク・低カロリーといった面も支持され、美容に関心の高い女性を中心にロイヤルユーザー化が進んでいる。さらに、近年は高齢者の飲用や運動後の体づくりを目的に飲用するケースも増え、男性の取り込みも進んでいる。チーズも健康機能が再認識されたことで、伸長要因の一つとなっている。納豆は、健康効果がメディアで取り上げられるなどして、消費者の関心が高まることで市場が拡大してきている。「イソフラボン」やアンチエイジング物質「ポリアミン」、「AIM」という血中タンパク質ががんの発症リスクを軽減するという報告がなされるなど、納豆の「健康食」としての認知の高まりが需要を後押している。油脂類ではごま油が健康志向によって好調である。低カロリー甘味料は、糖質制限による健康管理やダイエット効果の認知度の高まりを受けて、糖質オフ・ゼロがトレンドとなっており、好調が続いている。また、キムチなどが含まれる漬物市場は、コロナ禍によって免疫力増強に良いとされる発酵食品であることが消費者の購買要因となり、コロナ禍前から好調である。その他、ほぼ全カテゴリーで「減塩」を訴求した食品の投入が活発化し、販売が好調な商品もみられる。

 成分・機能面でみていくと、健康や美容、身体づくり、免疫力の増進、また、高齢者が陥りやすいフレイル・サルコペニア対策としてタンパク質を摂取する動きが依然として活発となっている。また、腸内環境をよくする食材も動きが良い。乳酸菌は腸内環境を整え、便秘や下痢の改善や免疫力の向上が期待できるため、ヨーグルトドリンク、チーズが好調である。納豆も納豆菌に整腸作用があり、免疫力の向上も期待できること等から好調である。食物繊維も整腸作用があることから、食物繊維含有を訴求した商品の投入がよくみられる。

 2026年度の加工食品市場は31兆984億円になると予測する。外食産業向けが回復傾向にあることに加え、食品の価格が値上がりしていることで市場規模は拡大する見込みである。中長期的にみれば、高齢化社会の進行や少人数世帯の増加によって、健康食品や高齢者対応食品、個食タイプの商品群、簡便志向が強まる中で調理済の調理食品などの市場が、堅調に推移する見通しである。

[調査要綱]
調査期間:5月~8月
調査対象:有力な食品メーカー
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話取材、アンケート調査、ならびに文献調査併用
[小売価格]15万4000円(税込)

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp/


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