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矢野経済研究所、パーソナルヘルスケアサービスに関する調査、高齢化社会の進展を背景に引き続き拡大基調で推移

2022.08.31 11:58 更新

 矢野経済研究所は、国内のパーソナルヘルスケアサービス市場を調査し、サービス分野別の動向、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。その結果、高齢化社会の進展を背景に、パーソナルヘルスケアサービスは引き続き拡大基調で推移する見通しであることがわかった。個人向けサービス提供企業が、法人向けや医療機関向け、自治体向けサービスへ展開、自治体との連携も行われている。

 PHR(Personal Health Record)とは「個人が自らの生活の質の維持や向上を目的として、自らの健康情報を収集・保存・活用する仕組み」と定義され、個人の健康・医療・介護を含めた生涯の健康記録の一元管理がPHRの到達点とされる。個人向けのPHRは、現在、スマートフォンアプリとして無料の簡易PHRが広く普及しており、有料サービスは専門家サービスが受けられるものやカスタマイズされた情報提供を行うもの、複数のヘルスケアサービス・アプリがパッケージ化されたものなどが展開されている。

 個人向けのヘルスケア領域のサービスを展開する事業者がメディカル領域向けサービス展開に注力する事例が散見されている。ヘルスケアからメディカル領域まで、スマートフォンの利用を軸にしたシームレスなサービス展開を行う事例が見受けられている。

 また、個人向けサービスを提供していた企業が、個人向けサービスで培ったノウハウを法人向けや医療機関向け、自治体向けサービスへ展開する事例も広がっており、法人向けに健康経営支援ビジネスや自治体との連携が行われている。

 スマートフォンの普及に伴い、スマートフォンアプリを用いた疾患管理や疾患予防が注目されている。とくに糖尿病や高血圧症を対象とする生活習慣病管理アプリ、メンタルヘルス不調の予防や改善などを目的としたメンタルヘルスケアアプリにおいて、各社で治療用アプリ化を目指す計画(医療機器承認を得て保険適用)が進められている。疾患管理・予防アプリにおける新たなマネタイズ手法として注目される。また、生命保険会社との協業も生活習慣病管理アプリに加え、近年ではメンタルヘルスケアプリでもみられ始めた。

 同調査におけるパーソナルヘルスケアサービス市場とは、健康情報管理サービス市場、疾患管理・予防アプリ市場、その他ヘルスケアサービス市場の3分野を対象とする。高齢化社会の進展を背景に予防医療への関心が高まるなか、いずれのパーソナルヘルスケアサービスも拡大基調の見込みである。各市場の動向は以下の通りである。

 健康情報管理サービス市場では、近年、政府によるPHRの環境整備に向けた取り組みや民間事業者によるPHR団体の設立など官民の活動が活発化している。個人が健康情報の管理・閲覧ができる環境が整うことで、より主体的に自身のPHRを管理・活用した、効率的・効果的な保険医療やヘルスケアサービスの活用が期待される。

 疾患管理・予防アプリ市場では、企業向けや医療機関向けのサービス展開が検討段階や初期段階の企業が多く、今後さらなる拡大が見込まれる。加えて、自治体向けの展開も一部で見られ、「スマートシティ」や「スーパーシティ」への注目の高まりに伴い、今後拡大していく可能性がある。

 その他ヘルスケアサービス市場のうち、認知症予防・認知機能関連サービス市場には検査事業会社やIT企業、ベンチャー企業、食品系企業など多くの民間企業が参入している。高齢化社会を背景に潜在的な市場は大きいものと考えられる。

 また、自費リハビリサービス市場では、医療保険・介護保険でのリハビリテーションは日数制限や量・質の課題などが指摘されており、スマートフォンアプリを利用して保険外の自費リハビリサービスを提供する事業者が散見されつつある。

[調査要綱]
調査期間:2022年4月~6月
調査対象:パーソナルヘルスケアサービス参入企業
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、e-mail等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp/


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