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医師1000名に心の健康実態調査、コロナ禍で「心の不調」を抱える人は増加傾向に、心の不調改善には「胃の健康が重要」と9割以上が回答

2022.05.27 20:36 更新

 生活者の“健康と暮らし”に関する情報を発信するポータルサイト「マイライフニュース」を運営するヒューマン・データ・ラボラトリは、コロナ禍における “心の健康”の実情や適切な対処法を知るため、全国医師1000名を対象にアンケート調査を実施した(実施時期:3月29日~4月1日)。

 新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)は、生活者の心の健康にも大きな影響を及ぼしている。今回、コロナ禍以前と比べて「心の不調を抱える人が増えている」と回答した医師は9割以上に達した。性年代別では30~40代女性の割合が高く、心の不調を抱える人に多い口癖は、「どうせ」「だめだ」「むり」というネガティブな言葉が上位に挙がった。また、心の不調を抱える人の半数以上が胃の不調を訴えており、「心の不調の改善には胃の健康が重要である」と96.1%の医師が回答した。この結果を受けて、「ひめのともみクリニック」院長の姫野友美先生に、胃と脳の関係について話を聞いた。

 調査ではまず、新型コロナの感染拡大前と比べて、心の不調を抱える患者は増加傾向にあると思うかを聞いたところ、95.6%の医師が「増加傾向にあると思う」(とても思う51.0%+やや思う44.6%)と回答した。新型コロナの影響で、心の不調を訴える人が増えている実態が、医師への調査で明らかになった。

 心の不調を抱える患者が「増加傾向にある」と回答した医師に、心の不調の原因として多いものを聞くと、1位「コミュニケーション不足」(47.6%)、2位「職場環境」(45.3%)、3位「家庭環境」(44.9%)という結果となった。この上位3つの原因が40%を超える回答を集めており、リモートワークへのシフトや子どもの休校など、コロナ禍で職場や家庭環境が変化したことが心の不調につながっているものと思われる。

 心の不調を抱える患者の性年代別の割合を見ると、男性では40代(27.1%)、30代(25.9%)、50代(21.1%)の順、女性では30代(40.1%)、40代(35.6%)、20代(31.4%)の順となり、男女とも30~40代で患者が多いことがわかった。男女の割合を比べると、全年代で女性の方が高く、男性よりも心の不調をきたしやすいことが示唆された。

 心身症と診断された患者の病態について、あてはまるものを聞いてみると、「呼吸器・アレルギー系」(33.2%)、「消化器系」(31.1%)、「神経筋肉系」(30.2%)、「内分泌・代謝系」(30.1%)の4つの病態に回答が集まり、それぞれ3割を超えた。

 心の不調を抱える患者の中に、胃の不調を訴える人はどのくらいいるのか聞いたところ、「2人に1人」(21.5%)、「3人に2人」(21.4%)、「4人に3人」(10.1%)、「ほぼ全員」(7.5%)を合わせ、半数以上の医師が「2人に1人以上」と回答していた。心の不調を抱える患者は、胃の不調にも悩まされている実態が浮き彫りとなった。

 「心の不調を抱える人の口癖で多いのは何か」という質問では、「どうせ」(40.4%)、「だめだ」(31.8%)、「むり」(30.7%)、「でも」(28.9%)、「だって」(28.7%)が上位に挙がった。医師との会話の中でも、ネガティブな言葉が多く使われていることがうかがえる。

 心の不調を改善するために、胃の健康は重要なのかを聞いてみると、「重要であると思う」(「とても思う」(41.7%)+「やや思う」(54.5%))と回答した医師が9割以上(96.2%)を占めた。ほとんどの医師が、胃の健康を維持することは、心の健康にもつながると考えていることがわかった。

 「胃の健康が自律神経を介して脳へ良い影響を与えると思うか」という質問でも、9割以上(92.9%)の医師が「与えると思う」(「とても思う」(32.8%)+「やや思う」(60.1%))と回答した。胃と脳は自律神経でつながっており、心の健康にも深く関係していることがうかがえる結果となった。

 心の不調を抱える患者に勧めたいセルフケアの方法について聞いてみると、最も多かった回答は「十分な睡眠」で34.2%。次いで、「運動」(26.7%)、「胃を温める」(26.2%)、「腸を温める」(26.0%)、「食事」(25.8%)の順となった。

 心の不調を抱える患者に対して重視している治療法を聞くと、「自律訓練法」(35.9%)、「食事療法」(34.9%)、「マインドフルネス/瞑想療法」(32.5%)、「薬物療法(漢方薬も含む)」(30.7%)が上位に挙った。3人に1人の医師が、心の治療法として「食事療法」も重視していることがわかった。

 心の不調を抱える患者に勧めたい食材を聞くと、TOP3は、1位「ヨーグルト」(32.2%)、2位「納豆」(22.3%)、3位「高カカオチョコレート」(20.0%)となった。4位以下は、「オリーブオイル」(19.8%)、「ナッツ」(19.8%)、「豆腐」(19.4%)、「野菜」(19.3%)が僅差で並んだ。1位の「ヨーグルト」は、胃で働く乳酸菌を含む商品も発売されており、心の不調改善に役立つ食材として、多くの医師が推奨していることがわかった。

 心の不調を抱える患者に勧めたい心のトレーニング方法を聞いたところ、1位は「思っていることをノートに書き出す」(36.3%)となった。2位以下は、「積極的に誰かと会話をする」(33.9%)、「食事内容を意識する」(30.9%)、「否定的な言葉をやめる」(30.6%)と続いた。

 心の不調に陥らないために避けた方が良いと思う習慣について聞いてみると、「不規則な食事」(37.4%)、「偏食」(33.9%)、「アルコール」(32.6%)、「過食」(30.5%)と、食事に関連する項目が上位を占めた。心の健康を保つためには、日々の正しい食習慣が大切であることが示唆される結果となった。

 今回の調査結果を受けて、ひめのともみクリニック院長の姫野友美先生は、「調査では、9割以上の医師が、新型コロナの感染拡大後、心の不調を抱える患者が増加傾向にあると回答していた。実際に私のクリニックでも、コロナ禍で心の不調を訴える患者は増えている。その理由としては、緊急事態宣言による外出自粛や行動制限など閉塞的な日々が続いたことで、疎外感や拘束感、孤独感を感じるようになったことがある。特に、最も割合が高かった30~40代女性は、子育て世代であり、学校が休校になったことで一日中、子どもの面倒をみなくてはならない。また、夫もリモートワークで家にいるようになり、毎日毎食、家族全員の食事を作るなど家事の負担も増大する。その結果、自分の時間がほとんどなくなり、家庭内の不協和音が生じ、心の不調を引き起した人が多いと思われる」と、コロナ禍で心の不調を抱える人が増えている理由を分析する。

 「心の不調を抱える人の口癖では、『どうせ』『だめだ』『むり』『でも』『だって』など、ネガティブな言葉が並んだ。これは、心の不調を抱えていると、何をするにも思考パターンがマイナス思考に陥りやすい状態にあるからだ。そのため、つい口癖として、ネガティブな言葉が出てしまうと考えられる。こうした言葉を親が家庭で使っていると、子どもも思考パターンが似てくることがあるので注意してほしい」と、心の不調を抱えているとネガティブ思考になりやすいと説明した。

 「調査結果にも出ていたが、『心の不調』と『胃の健康』は、自律神経を介して密接に関係していると考えられている。脳内には自律神経の中枢があり、胃や腸などの内臓諸器官は自律神経の支配を受けている。このため、心の不調によって自律神経のバランスが崩れると、胃の消化機能がうまく働かなくなり、胃もたれや胃痛など、さまざまな症状が現れる。一方で、胃の調子が良い状態では、脳内で『ドーパミン』という神経伝達物質の分泌が促される。ドーパミンには、意欲の向上、集中力アップ、ポジティブ思考などの作用があり、心や身体に良い影響を与えるといわれている。このような『胃脳相関』の関係から、心の不調改善には、胃の健康が重要であるといる」と、「心の不調」と「胃の健康」は密接に関係していると教えてくれた。

 「ゴールデンウィーク明け頃から心の不調を訴える人が増えてくることで『五月病』という言葉がよく使われるが、私のクリニックでは以前から、6月~7月にかけて心身の不調を訴える患者が急増する傾向にあった。そこで、私はこの症状を『ジューン・シック・シンドローム』と名付け、注意を呼びかけている。4月から進学や就職など新生活が始まって、5月まではなんとか乗り切れたものの、その間に多くのエネルギーを消費し、さらに湿気の多い梅雨時期も重なって、6月以降に急速に、心身の不調に陥ってしまうケースが増えてくる。『ジューン・シック・シンドローム』を防ぐためには、5月を頑張りすぎず、十分栄養をとって、自分のペースを守りながら、6月に向けてしっかりエネルギーチャージしておくことを推奨している」と、6月以降に心身の不調をきたす「ジューン・シック・シンドローム」が増加傾向にあるという。

 「今回の調査結果でも、医師が勧めたいセルフケアの上位に挙がっていたが、心の不調を改善するためには、『睡眠』『運動』『食事』の3つの生活習慣を見直すことが大切だ。この中でも、胃の健康と関連の深い『食事』のポイントとしては、まずタンパク質をしっかり摂ること。タンパク質は、ドーパミンやセロトニンなど自律神経を整える脳内神経伝達物質の原料になる。そして、朝8時から9時までに朝食をとることも大切。ストレス対抗ホルモンであるコルチゾールは、朝8時頃にピークを迎える。そのため、このタイミングで朝食をとって体の代謝を上げることで、ホルモンと代謝のリズムが一致して、一日の生活をスムーズに始めることができる」と、心の不調を改善するための食生活のポイントについて言及。「心の健康を保つための朝食メニューとして、私がおすすめしているのが『朝スープ』。スープは、胃が温まり、消化も良く、簡単に作れるので忙しい朝にピッタリ。さらに、スープに野菜や卵を入れて具だくさんにすれば、栄養もしっかり補給することができる。特に、卵には良質なタンパク質をはじめ、ビタミンやミネラルなど豊富な栄養素が含まれている。また、医師が勧めたい食材で第1位となった『ヨーグルト』を朝食に取り入れるのもおすすめ」と、心の健康を保つための朝食メニューをアドバイスしてくれた。

[調査概要]
調査名:心の健康実態調査
調査対象者:20代~60代全国の男女、医師(心療内科医、精神科医、内科医)
調査手法:インターネット調査
※グラフのパーセンテージは四捨五入されているため合計値が100にならないものがある
調査時期:3月29日(火)~4月1日(金)

マイライフニュース=http://www.mylifenews.net/


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