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矢野経済研究所、高齢者の食事実態と食ニーズ探索に関する消費者アンケート調査、「外食」や「旅行」などのリベンジ消費に期待

2021.12.24 19:08 更新

 矢野経済研究所は、65歳以上の高齢者男女1230名を対象に消費者アンケート調査を実施し、コロナ禍における高齢者の食事と栄養、健康と安全、行動様式の変化など、心理面や行動面の変化について分析した。その結果、コロナ禍の中、高齢者の趣味や運動、食事と栄養、食料品の購入場所などが変化。外出自粛が影響し、「外食」や「旅行」などのリベンジ消費に期待が高まる。

 同調査では、2021年10月~11月に全国在住の65歳以上の高齢者男女1230名を対象に、食事実態と食ニーズ探索に関する消費者アンケート調査を実施した。

 なお、2018年10月~11月にも65歳以上の高齢者男女1000名を対象にアンケート調査(調査対象者は異なる)を実施しており、その調査結果との比較によって、新型コロナウイルス感染症拡大後の健康に対する意識の変化についても分析を行った。

 健康維持・増進方法は、2018年調査(新型コロナウイルス感染拡大前)の「食事のバランスに気を付ける(66.2%)」から、今回調査(新型コロナウイルス感染症拡大後)では「規則正しい生活(70.9%)」が一番になった。「適度な運動」も回答率が増加した。

 趣味や運動では、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて「旅行や温泉に行く(17.3%)」が大幅に減り、その代わりに家でできる「ストレッチ(18.5%)」をする高齢者が増えた。緊急事態宣言発出で県を跨ぐ移動が制限されたことで、旅行に関しては大幅な減少となった。また、スポーツジムなどが休業し、外出自粛が続いたことが影響していると思われる。

 食事で一番重視する点は2018年調査と今回調査であまり変化が無く、「野菜や果物を食べる(72.8%)」ことが最も多く、次いで「バランスの摂れた食事」や「魚を食べる」ことである。「水分を摂る」に関しては増加しており、これはウイルス対策には小まめな水分補給が大切であるといわれているためと思われる。コロナ禍で家に居ることが増えたことが原因で、「食べすぎや飲みすぎ」に気を遣う人も増えた。

 高齢者が選ぶ売場では、「スーパー(94.6%)」「ドラッグストア(22.3%)」は変わらないが、コロナ禍で「生協(22.0%)」の利用が増えた。外出自粛が続く中で配達されて買い物に行かずに済むことが、また、食品に限らず生活用品も品揃えが豊富な点が支持されたと思われる。

 なお、コロナ禍を機に高齢者のインターネット通販利用が増えており、利用率が高まっている。食品の購入も増加したが、高齢者においては食品の利用自体が少ない。

 その他、食事宅配サービス(弁当宅配)の食事としての普遍的な価値に対する不満は拡大している。コロナ禍で高齢者の利用は拡大した。新たな利用者を繋ぎとめるためには、商品と価格がつり合い、健康を維持するために必要不可欠なサービスとなることが求められる。

 新型コロナウイルス感染症拡大以降の高齢者の食品購入行動の変化について、「買い物の回数を減らした(39.1%)」「まとめ買いをするようになった(28.4%)」「買い物には1人または少人数で行くようになった(17.6%)」が多い。以前に比べて購入が増えた食品は「冷凍食品(29.8%)」「レトルト食品(15.9%)」「缶詰(11.5%)」、自宅での食事頻度は「変わらない(58.0%)」「やや増えた(29.9%)」「かなり増えた(11.6%)」の順となり、コロナ禍の中で自宅での食事頻度を減らした高齢者はほとんど居なかった。変化した自身の行動の変化では、「手洗い、うがい、消毒、マスク着用の徹底(78.5%)」「できるだけ人との接触を避けた(72.8%)」「外食を減らした(63. 1%)」の順で、また「運動量が減少した」「外出を伴う買い物の減少」は75歳以上の属性では顕著であり、コロナ禍での高齢者の運動不足が現れている。一方で、コロナ禍の収束後に試してみたいリベンジ消費は、「国内旅行」「友人と会う」「家族や親戚と会う」の順となった。「特にない」=リベンジしないとの回答は4. 8%とわずかであった。ほとんどの高齢者が何かしらコロナ収束後にリベンジしたいと回答しており、収束後には、観光関連消費の拡大が見込まれ、飲食サービスや宿泊サービスに関連する食市場の拡大が期待される。
 新型コロナウイルス感染症拡大後の健康に対する意識の変化について、「少し高まっている」が39.2%、「変わらない」31.3%、「かなり高まっている」29.0%、「少し、およびかなり低くなっている」0.5%と、約7割の高齢者が高まっていると感じている。 約7割の健康に対する意識が「高まっている」高齢者(属性)については、「できるだけ人との接触をさけた」ために、「買い物回数が減少」し、「まとめ買い」をする傾向が現れた。その結果、コロナ禍以前に比べて購入が増えた食品は「冷凍食品」「レトルト食品」「缶詰」「インスタント食品」などの加工食品、非生鮮食品である。加工食品は賞味期限が比較的長く、外出自粛期間が長引く中でも、買い物に行かずに済み、手軽に調理ができる点が評価されたと思われる。 一方で、約3割の健康に対する意識が「変わらない」高齢者については、特に「買い物回数の減少」や「まとめ買い」も見られず、コロナ禍以前に比べて購入が増えた食品も「特にない」。感染対策も意識が高い属性に比べると徹底したものとはいえず、特に新型コロナウイルス感染症拡大による変化は見られなかった。 

[調査要綱]
調査期間:10月~11月
調査対象:全国在住の65歳以上の高齢者の男女1230名
調査方法:インターネットアンケート調査、ならびに文献調査併用
[小売価格]24万2000円(税込)

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp/


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