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M&A総合研究所、「上場企業M&A動向調査レポート(不動産業界版)」を発表、コロナ禍でも不動産業に対する買収ニーズが増加

2021.09.09 16:39 更新

 M&A総合研究所は、2020年8月から2021年7月の期間内で上場企業が適時開示したM&Aに関する発表の中から、「不動産業」の企業を対象にしたM&A(買収)案件を集計した「上場企業M&A動向調査レポート(不動産業版)」を発表した。その結果、コロナ禍でも不動産業に対する買収ニーズが増加していることがわかった。

 2020年8月1日~2021年7月31日の期間において上場企業が公表した不動産業種の企業を対象にしたM&A(買収)の件数は34件だった。前年同時期における件数が32件であり、前年比106.2%と微増した。買い手となった企業を業種別に見ると、「不動産業」が最も多く17社で、情報・広告業や娯楽業など含む「サービス業」が6社、「金融・保険業」が4社と続いた。

 前年同時期の調査における買い手となった企業は、「不動産業」が15社で前年比113%と増加した他、「サービス業」が3社であったことから、前年比2倍に増加した。

 買い手が情報・広告業や娯楽業など含むサービス業の企業によるM&A(買収)の中では、留守宅管理や福利厚生運営代行、不動産事業など複数の事業を展開するリログループが日商ベックスグループ3社を子会社化した事例や、サイバーエージェントが不動産領域への参入、DX推進を目的として、スタートアップ企業やクリエーター向けにシェア型オフィスを企画・運営するリアルゲイトを買収した事例があった。新型コロナ禍においても業績好調な企業が自社の不動産事業の強化、新規参入を目的に買収意向を強めていることが考えられる。

 不動産業種の企業を対象にしたM&A(買収)の成約金額ランキングでは、オープンハウスが投資用マンション事業のプレサンスコーポレーションをTOBによって350億円超で子会社化した案件が、最も取引金額の高い案件となった。次いで中部電力が分譲マンションの開発やホテル、物流施設の開発などを手掛ける日本エスコンを第三者割当増資で子会社化した案件が204億円で2位、そして関西を中心とした総合不動産デベロッパーであるサムティが、ベトナムの住宅分譲事業会社であるS-VINを子会社化した案件が147億円で3位に続いた。最も取引総額が高かったオープンハウスの買収案件では、関西のマンション開発に強みを持つプレサンスコーポレーションを子会社化し、首都圏や関西の不動産開発で連携を強化することを目的として行ったものだった。

 同社が手掛けた不動産業界における成約事例では、7月30日付で成約した大幸商事(譲渡企業、以下「大幸商事」)とエトウ(譲受企業、以下「エトウ」)の事例がある。

 大幸商事は福岡を中心に展開する不動産業者。身内の事業承継は考えておらず、後継者不在に悩んだ3代目の代表者が、従業員のことを考えて、今の会社の環境を変えないことを条件とした企業譲渡を希望していた。

 エトウは家具関連の商品の開発・輸出入および卸売・住宅設計・メンテナンス事業を展開する創業103年の老舗の住宅会社。現在の事業エリアの拡大を目指して、同業界の企業で業歴が長く、従業員の勤続年数も長い信頼のある企業の譲受を検討していた。

 そして今回、両社の意向が合致したことでM&A総合研究所を介したM&Aが7月30日付で成立。最終的に4.5ヵ月と短期間で成約することができた。これによって大幸商事は新たにエトウのグループに入ることで後継者不在の問題を解消し、今後の従業員の安定した雇用を確保した。またエトウは経営資源を拡充することで、現在手がけている事業エリアを拡大することが可能になり、さらなる事業の発展が期待されている。

[調査概要]
調査対象期間:2019年8月1日~2020年7月31日および2020年8月1日~2021年7月31日
調査対象:調査対象期間中に公表された、不動産業種の企業を対象にした東証適時開示ベースのM&Aデータ
調査方法:東証適時開示データを解析

M&A総合研究所=https://masouken.com/


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