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富士経済、料飲店や喫茶など8カテゴリー68業態の外食産業国内市場調査、焼肉料理の2021年市場見込は2020年比110.0%の5380億円に

2021.08.31 17:34 更新

 総合マーケティングビジネスの富士経済は、新型コロナウイルス感染症の影響によって休業や営業時間の短縮を余儀なくされたものの、テイクアウトやデリバリーの強化などで対応を進める外食産業の市場を調査した。その結果を「外食産業マーケティング便覧 2021 No.2」にまとめた。その結果、2021年市場見込(2020年比)では、焼肉料理は新規出店や他業態からの参入によって、前年比二桁の伸び5380億円(110.0%)を見込む。喫茶は高価格型喫茶店・コーヒー専門店で食事目的のファミリー層の客足が戻り1兆2096億円(111.6%)と予測する。

 この調査では、料飲店、ファミリーレストラン、喫茶、西洋料理、日本料理、東洋料理、エスニック料理、宿泊宴会場の8カテゴリー68業態の市場について現状を調査し、将来を予想した。

 なお、ファストフードやテイクアウトなど、6カテゴリー64業態の市場調査結果については「同 No.1」でまとめ、7月30日に発表した。また、No.1とNo.2に収載した業態の市場を客単価別や時間帯別など横断的に分析した結果については「同 No.3」でまとめ、今後発表する。

 居酒屋・炉端焼の市場は2000年代後半から均一価格型低価格チェーンと地鶏や海鮮料理、串カツなど特定の料理を提供する専門店型チェーンが台頭し、2010年まで拡大してきた。2010年代後半からは鶏料理を主力としたチェーンが積極的に店舗を増やしたものの、一部の専門店型チェーンで価格改定による集客力の低下、店舗数が飽和するなど、市場は縮小が続いている。

 2020年は宴会需要が減少した。また、外食を避けるケースや在宅勤務の増加によって仕事帰りのビジネスマンの利用も減り、他業態への転換や不採算店の閉店によって店舗数が大幅に減少し、市場は半減した。

 2021年は宴会需要の低迷や、テイクアウトやデリバリーなど他業態への需要流出が続き、店舗数はさらに減少すると予想される。一方、前年に比べ外出機会が増えており既存店を中心に1店舗当たりの売上が増加するとみられるため、市場は拡大が予想される。

 焼肉料理の市場は1990年代に無煙ロースターが普及し、多店舗展開する企業が増加したことで急速に成長した。2000年代以降BSE問題による米国産牛肉の輸入停止や景気の悪化、東日本大震災の影響で市場は縮小したが、2012年にテーブルオーダーバイキングがお得感から支持され拡大に転じた。その後は、郊外ロードサイド型を中心に市場は拡大を続けてきた。

 2020年の市場は年末の宴会需要が消失し、前年比二桁減となった。それでも無煙ロースターが店内を換気するため新型コロナの感染への不安感軽減につながったことや、テーブルオーダーバイキングなどが休日のファミリー需要を獲得したことから、外食産業の中では新型コロナの影響が比較的軽微であった。

 2021年は上位企業が新規出店を進めているほか、繁華街では居酒屋、郊外ではファミリーレストランといった他業態を展開していた企業の参入がみられるため、市場は前年比10.0%増が見込まれる。

 ジューススタンドの市場は2009年頃から青木商店が商業施設内を中心とした出店で店舗を増やしたことから拡大してきたが、2019年は最需要期の7月に気温が上がらなかったことやタピオカドリンクとの競合でわずかに縮小した。

 2020年はレモネードを展開するレモネード・レモニカが店舗数を増やしたことで好調だった。しかし、緊急事態宣言の発出により商業施設内店舗が休業となったことや、夏に第2波が到来したことで多くの企業が苦戦したことから、市場は大きく縮小した。

 2021年は上位企業が大容量商品や高付加価値商品を販売し客単価を上昇させているほか、新規出店を進めている。また、参入企業が独自商品やコラボ商品などを展開し集客に努めていることから、市場は拡大が予想される。

 2020年の喫茶は、市場構成比の高いコーヒーショップと喫茶店・コーヒー専門店において、緊急事態宣言の発出に伴う臨時休業や外出自粛から、モーニングや休憩目的の来店が減少した。また、上位企業が新規出店を進めたため店舗数は増加したが、個人の喫茶店・コーヒー専門店が減少したことが影響し、前年比27.1%減の1兆841億円となった。2021年は商業施設の客数や高価格型喫茶店・コーヒー専門店において食事目的のファミリー層の客足が戻りつつあるため、市場は11.6%増の1兆2096億円が見込まれる。

 2020年の料飲店は、新型コロナの影響や在宅勤務の増加で宴会や仕事帰りの需要が減り、上位企業が不採算店の閉店や他業態への転換を進めたことから、市場は前年比52.1%減の2兆5342億円となった。2021年も営業時間の短縮で9割以上を占めるディナー帯の需要獲得が難しいため店舗数の減少がみられる。また、ランチ営業やテイクアウトなどの売り上げは向上しているが、アルコール提供の制限が継続され、市場は前年比2.5%増の2兆5964億円にとどまると見込まれる。

 2020年のファミリーレストランは、営業時間の短縮や臨時休業などによってこれまで好調であったイタリアFRやチャンポンFRが前年比で大きく縮小したほか、テイクアウトやデリバリーに注力してきた総合FRも客数減で売上が減少し上位企業が不採算店の閉店を進めたため、市場は前年比28.2%減の9142億円となった。2021年は3月以降客足が戻りつつあり、テイクアウトやデリバリーが好調なため、市場は前年比7.5%増の9832億円が見込まれる。

 2020年の西洋料理は、営業時間の短縮や臨時休業でプレミアムハンバーガーやステーキ・ハンバーグレストランなど全業態が縮小し前年比33.0%減の6,106億円になった。2021年はプレミアムハンバーガーがテイクアウトやデリバリーで好調なほか、ステーキ・ハンバーグレストランやフランス料理、イタリア料理なども客足が戻りつつあり、市場は前年比6.8%増の6520億円が見込まれる。

 2020年の日本料理は、これまで好調であったすきやき・しゃぶしゃぶや、インバウンド需要が消失したてんぷらなど、全業態が営業時間の短縮や臨時休業を余儀なくされ、市場は前年比29.1%減の1兆8373億円となった。2021年は上位企業の新規出店による店舗数増加ですきやき・しゃぶしゃぶが回復に向かうほか、すしなど他業態でも客足が戻りつつあるため、市場は前年比6.9%増の1兆9635億円が見込まれる。

 2020年の東洋料理では、焼肉料理は無煙ロースターによる店内換気が新型コロナの感染への不安感を軽減することや、テーブルオーダーバイキングなどのメニューが好評で縮小幅は比較的小さかったものの、高級中華料理は宴会需要が減少したことで大幅に縮小するなど、苦戦した業態も多く、市場は前年比23.7%減の1兆870億円となった。2021年は大手企業の新規参入で焼肉料理が二桁伸長するとみられる。また、その他の業態も前年に比べて伸長するものが多いとみられ、市場は前年比8.1%増の1兆1750億円になると見込まれる。

 2020年のエスニック料理は、上位企業がテイクアウトやデリバリーに注力したが、在宅勤務の定着や営業時間の短縮によるランチやディナーの需要減少がみられ、特に、アルコール需要が高いメキシコ料理は大きな影響を受けたことから、市場は前年比21.8%減の1133億円となった。2021年に入っても緊急事態宣言下が発出されているが、エスニック料理の利用は少人数が多く、また、外食ならではのメニューを楽しめることから客足は回復に向かっており、市場は前年比10.6%増の1253億円が見込まれる。

 2020年の宿泊宴会場は、新型コロナの影響でホテルではインバウンドからビジネスまで様々な利用機会が減少し、結婚式場では婚礼のキャンセルや延期、少人数ウェディングの増加によって単価が低下したため、前年比50.0%減の1兆9431億円となった。2021年は宿泊施設のビジネス利用が減少しているほか、結婚式などの宴会需要も減っている。しかし、後半からは国内旅行客数や宴会需要が徐々に回復に向かうとみられるため、市場は前年比47.1%増の2兆8588億円が見込まれる。
[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]3月~6月
[小売価格]
書籍版:12万1000円
書籍/PDF+データ版セット:16万5000円
ネットワークパッケージ版:24万2000円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


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