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富士経済、滋養強壮剤や胃腸薬などの国内市場調査、新型コロナ流行の影響を受け2020年は一部を除いて苦戦も2021年は回復に向かう

2021.08.14 12:49 更新

 総合マーケティングビジネスの富士経済は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う、海外からの渡航制限によるインバウンド需要の消失や、外出自粛、飲食店の利用制限などの影響を大きく受けている一般用医薬品の内、ドリンク剤、ビタミン剤、滋養強壮保健薬、検査薬、女性関連薬、神経用薬、胃腸・消化器官用薬、オーラルケア関連用薬、漢方・生薬製剤の9カテゴリー39品目の市場を調査した。その結果を「2021 一般用医薬品データブック No.1」にまとめた。トピックスとして、新型コロナ流行の影響を受け2020年は一部を除いて苦戦。2021年は回復に向かうと見られる。

 滋養強壮保健薬は、滋養強壮剤、薬用酒、強肝解毒栄養剤、カルシウム剤、造血剤を対象とする。2020年の市場は、新型コロナ流行の影響による外出自粛などに伴う購買機会の減少などから縮小した。しかし、健康維持に対するセルフメディケーション意識の向上に伴いブランド力のある製品を中心に消費者の関心は高まっており、加えて、ドラッグストアでの取り扱いも増えていることから、滋養強壮剤や薬用酒では実績を伸ばした製品もみられた。2021年の市場は、薬用酒の続伸、滋養強壮剤や強肝解毒栄養剤が回復に向かうことによって、前年比微増が見込まれる。

 滋養強壮剤は、継続的な服用によって健康維持を図る保健薬であり、販売チャネルとして個人薬局の位置付けが高い。2020年は、新型コロナの影響による外出自粛などで、個人薬局への来店が減少したため苦戦した。一方で、健康相談の機会が増え、その際に滋養強壮剤が推奨されて購入につながるケースもみられた。2021年は、近年盛り上がりを見せる生薬をキーワードに底堅い需要を取り込むとともに、前年から増えている健康相談の機会を有効に活用することで、前年比プラスになるとみられる。

 薬用酒は、2020年はコロナ禍における健康維持の自衛策として注目度が高まり、ドラッグストアが積極的に店頭陳列を進めたことによって伸びた。2021年も上位メーカーが店頭販売に力を入れていることや、個人薬局などの健康相談で推奨される機会が増えており、続伸が期待される。

 胃腸・消化器官用薬は、総合胃腸薬、健胃・消化薬、制酸薬、鎮痛鎮痙胃腸薬、過敏性腸症候群改善薬、胃腸内服液、整腸薬、止瀉薬、便秘薬、駆虫薬、痔疾用薬を対象とする。2020年の市場は、外食機会の減少による影響が大きく、特に胃腸内
服液や健胃・消化薬、総合胃腸薬が大幅に縮小したため、前年比5.1%減の648億円となった。しかし、便秘薬や痔疾用薬はコロナ禍におけるセルフメディケーション意識の高まりにより、ユーザーの裾野が広がったことから伸びている。2021年も緊急事態宣言の発出などにより外食機会の減少が続いていることから、市場は前年比1.5%の伸びにとどまるとみられる。

 総合胃腸薬は、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行によって、多人数での飲食機会が減少したため、需要が落ち込んだ。また、近年、上位メーカーを中心に獲得していたインバウンド需要が消失したこともあり、市場は前年比8.4%の縮小となった。2021年は新型コロナウイルス感染症の流行が続いていることから苦戦するとみられるが、主要メーカーが自宅での飲み過ぎ・食べ過ぎや、外出自粛などに伴うストレスによる胃痛への対応など、新たな切り口からのプロモーション展開に注力しており、一定の需要回復が予想される。

 便秘薬は、内服薬の瀉下薬と外用薬の浣腸薬・坐薬があり、内服薬は慢性的な便秘に悩む女性、外用薬は中高年層を中心に底堅い需要を獲得している。2016年に酸化マグネシウムを配合した製品、非刺激性訴求により新たな層を取り込んで以降、上位メーカーによる酸化マグネシウム配合製品の展開や、主力既存品のリニューアルによって、リピーターに加え新規ユーザーを獲得してきた。2020年は新型コロナ流行に伴う外出自粛によって、運動不足からくる便秘患者が増えたことで、一回目の緊急事態宣言が発出された4月から5月にかけて需要が増加し、インバウンド需要の消失などのマイナス要因があったものの、前年比で微増となった。2021年は上位メーカーによる酸化マグネシウム配合の新製品発売や主力製品のリニューアルに加え、コロナ禍において中高年層による通販での定期購入が増えていることから、前年比1.2%の伸びが期待される。

 痔疾用薬は、上位メーカーが繰り返すイボ痔の改善に特化した内服薬を2017年に発売し、服用の手軽さから新規需要の開拓に成功して以降、堅調な伸びが続いた。2020年は外出自粛やテレワークの普及によって運動不足や長時間着座するケースが増えたことから、症状に悩む生活者の増加や、外出自粛に伴う受診控えによって、需要が増加した。また、パッケージリニューアルなどの施策によって内服薬の認知度が高まったことが新たな層の獲得につながり、2020年は前年比2.3%増となった。疾患の秘匿性が担保される通販利用がコロナ禍によって増加しており、リピーターによる継続的な購入が期待されるため、2021年も伸びが予想される。

 ドリンク剤は、機能性飲料をはじめ清涼飲料との競合によって、市場縮小が続いている。2020年は外出自粛やテレワークの普及によって、購買・飲用機会が減ったことから需要が減少した。特にCVS向けの指定医薬部外品は大きな影響を受けた。

 ミニドリンク剤は、飲用効果が重視され、高価格帯で展開する製品が多いことから、ドリンク剤と異なり一般用医薬品が指定医薬部外品の市場規模を上回っている。ドリンク剤と同様、2020年は購買・飲用機会が減ったことから需要が減少し、特に高価格帯製品が大きく落ち込んだ。また、マスク着用により風邪罹患者が減ったことから罹患時の滋養強壮ニーズも減少したため、市場は前年比14.2%の縮小となった。今後は、新型コロナの流行が収束へと向かうことで需要は回復に向かうが、市場は低調に推移するとみられる。

 漢方処方エキス製剤は、漢方専門薬局におけるカウンセリング販売が主体であるが、一般への認知が向上した葛根湯や防風通聖散などがドラッグストアで展開されることで購入の間口が広がり、市場は拡大してきた。また、上位メーカーが女性向けやアレルギー対策などを訴求して販促を進めており、拡大に寄与している。

 2020年は、新型コロナウイルス感染症の流行によって専門薬局への来店頻度が減少したことや、感染症対策によって風邪罹患者が減り、葛根湯をはじめとした風邪症状対策の需要が落ち込んだため、微減となった。今後も風邪症状対策の葛根湯などの需要減少は続くとみられるため、参入メーカーは八味地黄丸をはじめとした、継続的な使用が訴求できる慢性疾患への対応製品を増やすことで需要開拓を図っている。個別ニーズに対応した漢方製品の提案が進むことによって、2021年の市場は前年比微増が見込まれる。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]3月~5月
[小売価格]
書籍版:16万5000円
書籍/PDF+データ版セット:20万9000円
ネットワークパッケージ版:33万円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


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